安倍晋三氏と麻生太郎氏の盟友関係は岸田政権発足後に軋み始め、その行方が今年の日本政界最大の焦点となるーー私が「特別寄稿/2022政界徹底解読」を経済情報誌「I.B」に寄稿したことは、SAMEJIMA TIMESやツイッターで何度か紹介しました。
記事は1月14日にネットで先行配信され、たくさんの反響をいただきましたが、それに続いて「I.B 2022新春特別号」が1月31日に発行されました。「資本主義 再構築」の表紙はとてもスタイリッシュです。ページをめくると、私の寄稿とは別に、れいわ新選組の山本太郎代表の独占インタビューも掲載されています。
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私の「特別寄稿」に最新の政局動向を加えた解説をYouTubeにアップしました。山本太郎代表のインタビュー記事も解説しています。ぜひご覧ください。
以下、「I.B 2022新春特別号」に掲載されているれいわ新選組・山本太郎代表の独占インタビューの「見どころ3点」を紹介し、解説します。
①参院大阪選挙区(改選数4)では、れいわ「八幡愛」と共産「辰巳孝太郎」で野党2議席を!
山本代表は今夏の参院選の目標を「5議席以上」としています。現有5議席(衆院3、参院2)に加え、新たに5議席以上を獲得してれいわ新選組の議席数を二桁台に乗せるという目標です。
このため、東京(改選数6)、神奈川(改選数4+欠員補充1)、大阪(改選数4)など4人区以上は「必ず立てる」、さらには「3人区の兵庫も立てよう」という気持ちになり、それならば「2人区以上は立てるのが一番シンプル」と、かなり強気に語っています。
ここで注目されるのは、大阪についての発言です。前回参院選では維新が1位、2位を独占し、3位に公明、4位に自民が食い込み、立憲民主と共産は共倒れしました。
今回は共産が元参院議員の辰巳孝太郎氏を擁立します。この辰巳氏は爽やかで切れ味の鋭く、私もとても評価する政治家の一人です。
立憲民主は衆院選で落選した辻元清美氏の擁立論もありましたが、辻元氏は比例区に転じました。辻元氏は大阪選挙区で勝つのは難しいと判断したとみられます。立憲民主党は支持率低迷にあえいでおり、野党第一党が大阪で「不戦敗」に追い込まれるという前代未聞の事態に陥る可能性もあると私はみています。
そのなかで、れいわは先手を打ってタレントの八幡愛氏の擁立を発表しました。
山本代表はインタビューで「辰巳さんもものすごく有益な人材だと思うので勝ってもらいたいし、私たちも大阪で1つ取りたい。野党で2議席を取る」と明言しています。この発言は大注目です。「野党2議席」を「共産とれいわで占める」と言っている。つまり、野党第一党の立憲民主をすでに「度外視」しているんですね。
立憲民主は共産との野党共闘を「失敗」と総括し、連合や国民民主党へ接近する姿勢を鮮明にしています。これに対し、山本代表は野党共闘について「一番大きなチーム(立憲民主党)がリーダーシップを発揮してまとめていくことが必要だった。だから政権交代ができなかった」と明言しており、立憲民主への不信感をにじませています。
山本代表のインタビューから読み取れるのは、れいわは参院選で「野党共闘」の枠組みには残るものの、実質的には共産との連携は探りつつも立憲民主とは一線を画し、れいわ自身の議席増に全力を尽くす「単独路線」を強めるということでしょう。
②日本維新の会は自民党よりもひどい!
二つ目は、維新を「自民党よりもひどい」と言い切っていることです。維新は「新自由主義の先頭を走る政党」であり、「ひどい自民党があって、それを上回るひどさの維新があって、互いに連携している。お仲間なのです」と酷評しています。「両党はほぼ一体に近い」とも言っています。
日本経済が25年間停滞して不況が続くのは「自民党が間抜けな政策(緊縮財政)をしてきたため」である。そして維新は「自民党を上回る新自由主義的な政策を推し進めようとしている」。それが山本代表の見立てです。だからこそ「当然、この2つの政党に対抗していくのが絶対に必要」ということになります。
この立場は、自公政権に対抗するため維新とも連携を探る立憲民主党の泉健太代表や小川淳也政調会長と真っ向から矛盾します。衆院選で躍進した維新とどう向き合うかは、参院選に向けて野党各党の立ち位置をわける重要な要素であり、この点においても立憲民主とれいわの「共闘」は極めて困難になったといえるでしょう。
③衆院選で神奈川2区(菅義偉氏)や神奈川13区(甘利明氏)からの出馬を検討していた!
さいごに昨秋の衆院選について。
私は衆院選前のサメタイの記事で、山本代表を野党共闘のシンボルとして菅義偉氏の神奈川2区や甘利明氏の神奈川13区に擁立し、野党各党が一致結束して支援するという野党共闘戦略を提唱しましたが、山本代表はこのインタビューで、実際に神奈川2区と13区からの出馬を検討していたことを明かしています。
しかし野党第一党の立憲民主に「山本代表を野党共闘のシンボルとして活用する」という発想はみじんもなく、むしろ山本代表をライバル視する向きもあり、実際には「山本太郎カード」を有効活用できずに野党は惨敗したのでした。
山本代表のインタビューで興味深いのは、自民党が仕掛けた「共産党を含む野党共闘」に対するネガティブキャンペーンへの見解です。山本代表は「ネガキャンを乗り越えていかに『私たちはこれをやるのだ』とプレゼンするのかが重要」なのに、立憲民主は「とにかく『選挙区空けてよ』という雰囲気が強かった」と振り返り、野党共闘はインパクトに欠けたと総括しています。ここでも共産との共闘を「失敗」と総括しようとする立憲民主の泉代表とは相いれないことがわかります。
山本代表は「未来永劫、野党共闘していこうと誓い合ったわけではない。これがそのまま更新されるわけではない」とも語っています。この点においては衆院選の野党共闘を「歴史的一歩」と総括し、去りゆく立憲民主への未練をにじませる共産との温度差もあります。
以上、山本代表の独占インタビューの見どころ3点を紹介させていただきました。
全体的な総括としては①新自由主義の急先鋒である維新との対決姿勢を鮮明にする②野党共闘を率いるリーダーとしての自覚に欠ける立憲民主党とは一線を画すーーがれいわ新選組の基本戦略であり、今夏の参院選では単独路線を強め、「衆参あわせて10議席以上」の本格政党に躍り出ることを最大の目標に据えているとみていいでしょう。
山本代表の本音が至るところににじむインタビューです。このほかにも読み応えがある情報誌でした。ぜひ手に取ってお読みください。