大新聞の中枢が崩壊していく過程を克明に描く『朝日新聞政治部』の発売日がついにやってきました。
私が27年間勤めた朝日新聞を退社して独立してから1年の節目。激動の新聞記者人生の裏側を包み隠さずに綴ることで、読者よりも政治家や官僚の目線に立つ今の新聞ジャーナリズムに一石を投じ、新聞が権力監視の役割を果たす覚悟を取り戻すことを願って書き上げました。
新聞社の内幕や新聞記者の素顔をここまで赤裸々にさらけ出した書籍はほとんどなかったと思います。
多くの方々に支えられてここまできました。皆様に感謝もうしあげます。
アマゾンの売れ筋ランキングではPR開始後に総合3位に躍り出て、政治やメディアなどの部門で1位を維持し、発売前重版も決定しました。
発売日の27日には朝日新聞朝刊3面に大きな広告が掲載され、政治学者の中島岳志さんから「これほどの生きたジャーナリズム論に出会ったのは、はじめてだ」という推薦コメントをいただいています。
朝日新聞も私も「傲慢罪」という罪に問われているのだーーこのキャッチコピーは強烈ですよね。「傲慢罪」って何?と思う方はぜひ『朝日新聞政治部』の表紙を開いてみてください。序章でいきなりその答えが出てきます。
発売日前日(5月26日)に都内の大きな書店に足を運ぶと『朝日新聞政治部』は一足先に平積みになっていました。
電子書籍は26日に日付が変わった瞬間から読めるようになりました。出版業界もデジタル化の荒波を受けています。
講談社が設定した発売日は5月27日。全国津々浦々の書店の書棚にこの日までに並ぶように5月25日に本を発送し、翌26日に本を受け取ってすぐに店頭に並べた書店もあったのでしょう。
これに対抗してアマゾンは電子書籍を購入した読者へ26日に日付が変わった瞬間に配信しました。電子書籍なら本屋さんで購入するよりも早く読めるーーというのがセールスポイントなのでしょう。
私は「吉田調書事件」で記者職を解かれ、朝日新聞の著作物を管理する知的財産室に勤務して他社との出版契約書の作成業務を担当していた時期があるのですが、その経験から察すると、アマゾンと講談社の間で、この発売開始時期をめぐってはさまざまな駆け引きがあったに違いありません。
『朝日新聞政治部』は私にとって退社後、はじめての著作です。デジタル化時代が本格化した出版業界の最前線について初めて知ることもたくさんありました。
私も今は小さなウェブメディア「SAMEJIMA TIMES」を運営する身。コンテンツビジネスの最前線は他人事ではありません。
さて、先行公開は第5弾になります。先日もお伝えしましたが、この先は朝日新聞を揺るがした「吉田調書事件」の核心部分に入ります。いわゆる「ネタバレ」要素もありますので、ストーリー性を重視して読み進めたい方は単行本や電子書籍でお読みになることをおススメします。
前回の第四章「内閣官房長官の絶大な権力」は私が2007年〜2008年に与謝野馨、町村信孝の両官房長官を担当した時のエピソードを中心に「官房長官番記者」の実態を伝える内容でした。
その後、2009年の政権交代・民主党政権誕生、2011年の東日本大震災・福島原発事故、2012年の自民党政権復帰・安倍内閣誕生ーーと日本政界は目まぐるしく変遷します。
私の記者人生もそれにあわせて大きく変貌していきます。この間、じつにさまざまなことが起きるのですが、その詳細は単行本や電子書籍に譲って(この詳細なストーリーは本書の最大の「売り」だと私は思っています)、先行公開の第5弾は一足飛びに2014年、「吉田調書」のスクープが報じられた後に移ります。
歴史的な大スクープになるはずだった「吉田調書」報道に対し、安倍政権はどう反撃したのか。朝日新聞の経営陣はどう動いたのか。本書のクライマックスを垣間見ていただきます。重要場面ということで、特別公開期間は今月末まで。お見逃しなく!
特別公開は明日、明後日のあと2回。明日はますます重苦しい世界へ突入します。いよいよ大詰めです。