新刊『朝日新聞政治部』は私が朝日新聞社を退職・独立して1年を機に上梓した初の単著です。
5月27日発売を前に大反響をいただき、発売初日からネット書店では品切れに。リアル書店でも品薄状態に陥りました。早々に第3刷が決定し、累計で3万部を突破しました。講談社によると、今週末には全国の書店に追加分が行き届き品切れは解消するそうです。
この間、みなさまにはご迷惑をおかけしてまことにもうしわけございませんでした。
昨年2月に退職届を出すと同時にウェブサイト「SAMEJIMA TIMES」を創刊し、連載『新聞記者やめます』を開始した後、いくつかの出版社から書籍化の打診をいただきました。
ただ、私自身、特別報道部デスクとして担当した吉田調書報道を朝日新聞上層部に取り消され、懲戒処分を受け、ネットでは「捏造記者」との罵詈雑言を浴び続け、社内調査の「被告席」に座らされて「戦犯」扱いされた四面楚歌の日々を振り返り、原稿に仕上げようとすると、孤独と恐怖の体験がフラッシュバックして執筆作業はなかなか進みませんでした。いったんは執筆作業を打ち切ってしまったのです。
そんな私に年が明けて改めてアプローチしてくれたのが、講談社の編集者である山中武史さんでした。山中さんもかつて社内で「被告席」に座らされる体験をしており、私は当事者としての体験を共有する彼と二人三脚なら執筆作業を進められると思い直して、いちから執筆を開始したのでした。
私も朝日新聞時代は言論サイト「論座」で編集者を務めました。著者が最初に心を吐露する相手が編集者です。第一読者である編集者の受け止め方次第で、著作の方向性は大きく決まってきます。著者と編集者は強い絆で結ばれた関係になります。
その山中さんに加え、講談社の販売部長とともに6月9〜10日、都内の5つの大手書店に「営業活動」してきました。
増刷で品切れが解消し、いずれの書店にも1階など多くのお客さんの目につきやすい書棚に平積みに展示していただいています。販売部長は「ここから第二の発売日だと思って頑張る」と意気込んでいました。
私も色紙にサインをして売り場に飾っていただきました。対応してくださった書店の皆様、ありがとうございました。
9日に訪れたのはジュンク堂池袋本店と紀伊國屋新宿本店。いずれも平積みにしたこの日は朝から好調に売れているということでした。
9日の様子は以下のツイッターで動画にまとめましたのでご覧ください。山中さんと販売部長もちらりと登場します。書店の方が色紙を工夫して飾ってくれました。ありがとうございます。
10日は三省堂有楽町店、丸善丸の内本店、丸善日本橋店にお邪魔しました。こちらは講談社のツイートで紹介されています。
三省堂有楽町店は私が朝日新聞時代によく通った書店です。築地にある本社と永田町にある国会を私はなるべく徒歩で行き来するようにしていましたが、途中でちょっと寄り道をして立ち寄ったものでした。懐かしい書店の一階に拙著が山積みにされているのはとてもうれしい光景でした。
続いて東京駅近くにある丸善丸の内本店。こちらは1階や2階のお客さんが多いところに多面展開してくれていました。
私は当初、政治関係者やマスコミ関係者に読まれる本なのかなと思っていたのですが、蓋を開けてみると想像以上に経営者や企業人から「読んだよ」という連絡をいただきました。政治やマスコミに関心はなくても企業の危機管理や組織論に加え、サラリーマンの生き方を考える題材としても好評いただいているようです。ビジネスマンが行き交う丸の内でも多くの方にお手に取っていただければうれしい限りです。
最後は丸善日本橋店。本好きの方々には最も愛着のある書店という声も多いのではないでしょうか。私も大好きな書店です。一階正面から入ってすぐのカウンターにたくさん積まれていて(しかもすでに何冊か売れていて)感激! 色紙のサインにも力が入りました。
講談社の編集者の山中さんは私のサインの字を「味がある」とツイートしてくれました。しかし、新聞記者時代にとにかくあわててペンを走らせてきた私の取材メモは、自分でもあとから読み返すと判読できない場合があるほどの乱筆です。「味」とはかけ離れています。
告白すると、今回のサインは本の表紙の『朝日新聞政治部』と題字の書体を意識して書きました。この題字はとても味があります。
表紙の題字から帯の写真、レイアウトなどブックデザイン全般を手がけてくれたのが、日本を代表する装幀家である鈴木成一さんです。原稿をじっくり読んでデザインを仕上げてくれるといいます。
私は『朝日新聞政治部』の題字の書体がとても気に入ってしまい、サインにそれが乗り移りました。
改めて一冊の本を完成・販売させるまで多くの方のお力をお借りしていることを実感した書店回りでした。
ようやく品薄が解消され、講談社は週明けからPRを大々的に展開するそうです。読売、日経、朝日のほか地方紙にも大きな広告が掲載されていく予定です。
現代ビジネスでは推薦コメントをいただいた政治学者の中島岳志さんと私の対談の連載がはじまります。それにつづいてれいわ新選組の切り込み隊長である大石あきこ衆院議員との対談(大石さんも講談社から新刊『維新ぎらい』を出版するため講談社が企画した対談)も現代ビジネスで連載されます。いずれもSAMEJIMA TIMESのYouTube動画でも紹介します。乞うご期待。
うれしかったのは、ソニーからグーグル日本法人に転じて社長を務めた辻野晃一郎さんが『朝日新聞政治部』を読んで高く評価し、書評を執筆してくれたことです。朝日新聞社の凋落は日本の大企業の凋落と重なり合い、日本経済凋落の原因を映し出しているという、経済人の鋭い視線からの解説で、私も食い入るように読まさせていただきました。こちらも現代ビジネスで近く公開される予定です。
『朝日新聞政治部』の販売サイン会を兼ねたイベントも予定されています。
6月18日(土)午後2時からは東京・文京区の文京シビックセンターで「車座政治論議」を開催します。リアル会場は先着50名様で、残席わずかです。申込先は主催者のメール inochi@lepia.org へ。オンライン参加も可能です。
6月26日には大阪で『朝日新聞政治部』の販売サイン会を兼ねたトークイベントも予定しています。詳細は近く発表します。関西在住の方ともお会いできる機会を楽しみにしています。