政治とマスコミを斬る
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こちらアイスランド(73)2022年5月、最近どうよ?地方選から政局スキャンダル、アート展、ゼレンスキー演説、公邸訪問〜小倉悠加

すっかりレイキャビクは夏らしくなった。

暦の上では4月21日には夏を迎え、日照の長さが夏を物語る。朝晩の気温も零下まで落ちることはなく、最高気温も5度を超え、ラッキーだと二桁台に乗るようになった。

友を呼んでいるのか夏を謳歌する鳥の声、葉先を凍らせないよう慎重な木の葉も顔を見せ始めた。なんといっても明るい空気感が夏だ。

今回のこちらアイスランド、軽くあれこれの話題を投げてみたい。


アイスランド地方選挙
2022年5月14日、アイスランドの地方選挙が行われる。新参者の私はノホホンとしていた。投票権を得ることができるのは居住5年後からだと記憶していた。それが最近の法改正により、3年以上になった。

私は突然アイスランドでの投票権を得た。ただし外国人住居者の投票権は地方選挙に限られる。国政参政権はアイスランド国籍所有者のみだ。

こちらでの選挙戦は日本ほどガチガチではない。各政党の選挙事務所ではオープンハウスを行い、訪問者にビールやコーヒーなどを振る舞いながら世間話や政策に関してを気軽に話すことができる。

アイスランドは比例代表制を採用し、地方選(私が住んでいる場所)は11の党がひしめいている。そのうちの4党が中核を担い、特に今回は海賊党の追い上げが激しいらしい。人気がガタ落ちなのは独立党。

このSAMEJIME TIMESでもご紹介したく、データを集め始めた。選挙後にお伝えできればと思っている。


政治スキャンダル
イスランズバンキという銀行が民間へ売却された。2008年の経済崩壊の際、国が救った銀行のひとつだ。この銀行のシェアは、条件が合えば誰でも優先的に買うことができたし、それは一般にアナウンスされた。

このシェアを事前購入したひとりが、独立党党首であり財務経済大臣の父親だった。不公平だ、インサイダー取引だと現在毎日のようにプロテストが国会の前で行われている。

この件、身内に経済記者がいて、逐一夫に報告がくる。それを聞いていると、大臣は父親に買わないでほしいと頼んだらしい。が、父親はそれを無視して、自分には権利があるとシェアを購入。若干グレーだと解釈される部分はあるものの、経済崩壊前のやりたい放題的な酷い話ではないと記者氏は夫に話す。むしろ正当に行いたかった気配の方が濃厚だ、と。

それでも、いまや独立党をつぶさんとばかりのスキャンダルとなっている。地方選前に不利が嵐のように降っている。


デザイン・マーチ開催5月4日-8日
デザインマーチとは、「デザイン3月」の意味だ。私はずっと「デザイン行進」だと思っていた。

2020年は規模を縮小して6月に開催され、2021年は無し。2022年は2年ぶりの登場で、今年からこの催しは5月に行われることになった。ということはデザイン・メイにしなくていいのかな?

このイベントの催しのオープニングが、ハルパという豪華なコンサートホール&コンベンション・センターで行われた。ブラスバンドの音楽あり、ワイン、ビール等の飲み物も自由。もちろんマスクなど誰もしていない。デザイン関係者が多いだけあり、おしゃれな参加者が多い。

これはパブリック・イベントなので、誰でも参加できる。こういう雰囲気、本当に久々だ。何も気にせず、屈託なく、ほろ酔い加減で街を歩きながら、目に楽しい、奇抜な発想を見て回る。これでいいのだ〜。

デザイン・マーチは一箇所で行われる大規模な展示会ではなく、街のあちこちで展示が行われる。その数、100か所以上!その100か所各々でもオープニング・イベントが行われていたので、この日の夕方から夜は、久々に街全体に華やいだ雰囲気が漂っていた。


ゼレンスキー大統領アイスランド国会演説
5月6日14時から、アイスランド国会史上初のストリーミング演説が開催された。ウクライナのゼレンスキー大統領のスピーチだ。

アイスランドには大統領と首相の両方が存在し、首相は政治の実務を、大統領はシンボル的存在として機能している。そのため大統領はほとんど国会に出てこないし、出てくる義務もない。その大統領が今回は、ゼレンスキー大統領の前にスピーチしたことも大きな話題だ。

ゼレンスキー大統領のスピーチ自体は、ウクライナ語からアイスランド語に翻訳されたため、私には理解できなかった。アイスランドのグズニ大統領、ゼレンスキーの話の後に登場したカトリン首相は英語だった。

首相は厳しい言葉でロシアの責任を弾糾し、ウクライナを支持すると明言。ただし、軍隊を持たないため人道支援を核にしていること、最後は「自由、人道、平和の名の下に尽くす」という締めだった。


日本大使公邸訪問
日本人は政治に縁遠い感覚を持っているのではと思う。日常のあちこちで政治は絡んでくるのに、いまいち身近なことと思えない。少なくとも私は政治や国務、外交に関してそういう感覚しか持っていない。

その大きな原因は国家が巨大であること。地方政治は身近なものであるべきだけど、なにせ町内会のオッサンがまずは胡散臭い。少なくともうちの町内は御長老男性が会長でいろいろと困った。そうなると、まして地方政治のセンセーなどとは関わりたくない。それじゃ自ら遠ざけてるんでしょ!と言われそうだけど、ま、そういうことかも。

アイスランドとの関わりを持つようになり驚いたのが、政治・政府機関がとても身近にあること。もうひとつが女性の活躍だった。その話は以前ここで触れている。

アイスランドに関わり始めて随分と年月も流れ、いまや国会議員の知り合いも増えた。アイスランドの地方政治も国会も、割合近い感覚を持っている。もちろん国全体が小さいこともある。レイキャビク市長のダーグルは私のツイッターのフォロワーでもある。

在アイスランド日本大使館は遠い存在として君臨し続けてきた。けれど、その感覚に少しずつ変化が現れている。

去年春からアイスランドに駐在している鈴木遼太郎大使のツイッターが、アイスランド人に大人気なのだ。自身の活動や趣味を英語で発信している。私の周囲のアイスランド人ツイッター民で、彼をフォローしていない人はいない!という程発信力が高い。

そして私は先日大使公邸にご招待いただいたのです!その上、そしてとびきり美味しい日本料理に涙うるうる。

左からフェリックス、私、バルドゥル、ヤコブ、鈴木大使

メンバーはユーロヴィジョン・コンテストのアイスランド監督役を務めるフェリックス。彼のパートナーであり政治学者のバルドゥル、私の長年の友人で国会議員のヤコブ(彼はミュージシャンとしても有名)。そして外交官としてはあり得ないほどフレンドリーで庶民目線の鈴木大使。

アイスランドと日本の間に大きな問題はなく、北欧諸国全般、割合落ち着いて駐在できる国でもあろうと思う。また北欧は女性政治家も多く、堅苦しい日本人男性では・・・という懸念は個人的に持っていたので、今回の大使は本当にありがたい。

今回のこのコラム、ぎりぎりに書いた〜。鮫島さん、遅くなってごめんなさい!

小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、アイスランド在住メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。自己紹介コラムはこちら