女子アナを使って中居正広さんらの性接待を繰り返していた疑惑が浮上しているフジテレビの港浩一社長がようやく記者会見を開いた。
とはいえ、記者クラブ加盟社以外の参加を拒否し、撮影も認めない「密室会見」だった。これでは信頼を回復できるはずがない。性加害問題で壊滅したジャニーズ事務所以下の対応だ。
このような記者会見を許した記者クラブ加盟の新聞社・テレビ各社もフジテレビの隠蔽工作に加担した格好だ。オールドメディア全体がフジテレビの共犯というほかない。
港社長はこの密室会見で、第三者委員会を設置するというばかりで、何を聞かれても「調査委員会で」「回答を控える」と逃げ続けた。この密室会見では第三者委員会の設置だけを表明し、その調査が終わるまでは口をつぐんで世論の批判が鎮まるのを待つつもりなのだろう。
この日の会見は、2月に予定されていた社長の定例会見を前倒ししたものだ。今回の会見実施を口実に2月の記者会見も実施せず。このまま説明責任を果たさずに逃げ切る作戦を描いているに違いない。
そのようなみっともない記者会見の映像が流れれば、フジテレビの印象はますます悪化する。だから撮影禁止にはこだわったのだろう。
テレビ局でありながら、社長の記者会見の撮影も認めない。フジテレビの記者の皆さんは恥ずかしくないのだろうか。
フジテレビはこれから取材現場でカメラを回す資格はない。
記者会見の参加を記者クラブ加盟社に限定したのも最悪だった。
一連の疑惑をスクープしたのは、女性セブンと週刊文春だ。その疑惑を広く伝えてきたのは、ネットメディアやユーチューブチャンネルである。彼らは記者クラブに加盟しておらず。記者会見に参加できなかった。
この疑惑をほとんど報じてこなかったテレビ局や新聞社だけを会見に招いて社長が何を語ったところで、それは記者会見とはとても呼べないシロモノだ。
港社長はテレビ各社や新聞各社の追及なら十分にかわせると踏んだに違いない。テレビ各社や新聞各社は舐められている。
この記者会見の撮影が禁止されたことで、私たち国民は、この疑惑をほとんど報じてこなかった記者クラブ加盟のオールドメディアの「忖度だらけのニュース」を通じてしか、港社長の説明を知ることができない。
オールドメディアの報道は、当事者が認めたこと、当局が発表したことを垂れ流すだけだ。それではフジテレビの闇は暴けない。
私はそもそもテレビ各社や新聞各社の記者が港社長に厳しく切り込むことは期待していなかった。だが、記者会見の生映像さえ配信してくれれば、港社長の表情や口ぶりから得られる情報は数多あり、それに期待を寄せていた。「フジテレビの社長が怖いのなら厳しく追及しなくていいから、せめて映像だけは配信してよ」という思いだったのである。いまやオールドメディアが役に立つのは、映像を配信することくらいだ。
その願いもあっけなく打ち砕かれた。オールドメディアはまったく役に立たない。むしろ害悪だ。記者クラブとして「密室会見」に加担しているのだから。
テレビ各社や新聞各社が信頼を取り戻したいのなら、フジテレビに社長会見のやり直しを迫るべきだ。そして会見に応じないフジテレビの姿勢を、番組や紙面で連日糾弾するほかない。さらっと会見ニュースを流して「報道しましたよ」というアリバイづくりに終始するなら、フジテレビとともに凋落するのは必至だ。