政治を斬る!

新聞記者やめます。あと45日!【「書くのが好き」再発見!〜連載折り返し点を過ぎて】

50歳を目前に新聞社へ退職届を提出し、ひとりぼっちの小さなメディア「SAMEJIMA TIMES」を立ち上げたのが2月末。退社日の5月末まで毎日書き続けると宣言して開始した連載「新聞記者やめます」は折り返し点を過ぎ、きょうで「あと45日!」となった。想像を超える多くの方々に読んでいただいている。改めて感謝もうしあげます。

政治部デスクになったのが10年前。以来、人の原稿をいじったり、管理職として部下に指示したり、記者職を外されたり、言論サイト「論座」の編集者を務めたり、紆余曲折をたどったが、この間、自分自身の署名で原稿を書く機会がほとんどなかった。退社日まで毎日原稿を書き続けることができるのか、開始時はすこし不安もあったが、杞憂だった。私は書くのが大好きな自分を再発見したのだった。

「論座」の編集者を務めた3年間、取材の最前線を離れた50〜60代の先輩方に執筆をお願いして回った。かつては敏腕記者として鳴らした面々だ。取材現場を離れてデスクなど中間管理職を長く勤めた後、さらに出世して経営陣に加わった人、ビジネス部門に転じた人、取材現場に戻った人…さまざまである。私からの執筆依頼に対してもっとも多かった回答は「最近は書く気力がなくて…」だった。

私は彼らのかつての敏腕ぶりを思い浮かべて意外な気持ちになる一方、「書く気力を失った」という心境がすこしわかる気がした。記事を書くとかなりの気力・体力を消耗する。みんなそれを知っているから、書き始めるのがおっくうなのだ。まして取材現場を離れ管理職を長く勤めていると、いちから取材して記事を執筆することが面倒になる。よほど書きたいこと、伝えたいこと、訴えたいこと、表現したいことが胸の内からこみ上げてこない限り、50歳を過ぎて、いちから文章を書くことが煩わしく思えてくるのだろう。いわば「創造力」の喪失である。

私も10年間ほど、いちから原稿を書くという作業を怠ってきた。ほんとうに毎日書けるのか。先輩諸氏の姿をみてきたので、多少の不安があったのは事実である。

ところが、2月末に悪戦苦闘しながら自力でホームページを開設した後、パソコンに向かって来る日も来る日も自転車操業のように原稿を書き始めると、書きたいこと、伝えたいこと、訴えたいこと、表現したいことが次々にわいてくるではないか。ああ、私は「執筆欲」を失っていなかった、「創造力」が枯渇していなかった、書く気力も体力も充分だ、49歳で独立を決断して、良かった! 今から書き続ければ、気力も体力も保持できるであろう。

6月以降の暮らしはまったく見えない。でも、いまは毎日原稿を書いていて、実に楽しい。原稿は朝と晩に書く。昼間は情報収集をする。疲れたら昼寝をする。来る日も来る日も決められた時間に通勤し、決められた時間の会議に出席し、会社内であちこちに気を配りながら、「これ、何の意味があるの?」と思う仕事をこなす日々より、はるかに自由で居心地が良い。

SAMEJIMA TIMESには部長もデスクもキャップもいない。私一人だ。ひとりぼっちである。だからこそ、自分の好きな記事を好きな時に好きな分だけ書いて掲載できる。誰も妨げる人はいない。そしてそれを楽しみにしてくれる読者の方々がいる!

ということで、「新聞記者やめます。あと93日!序章【私は会社の誘いに乗った】」から始まるこの連載もついに折り返しを過ぎ、「あと45日!」までたどりついた。この間、新聞社を去る理由、政治報道の裏側、調査報道への思い、サラリーマン記者の悲哀など、誰に遠慮することなく、思いつくまま自由に原稿を書き連ねてきた。

ありがたいことに、このサイトの「講演・執筆依頼」の欄へ、さまざまなお話をいただいている。6月以降はSAMEJIMA TIMESに加え、他の媒体でも、時事の政治のこと、メディアのことなどを執筆していくつもりだ。講演・執筆依頼以外にもいくつか興味深い提案をいただいているので検討していきたい(様々なご提案、これからもお待ちしています!)。

政治学者の中島岳志東工大教授が東京新聞の論壇時評「記者クラブの弊害深刻 権力との共犯関係を断て」で週刊文春や赤旗と並んでSAMEJIMA TIMESを取り上げてくださったのは感激だった。「小さなメディア」として「小さな一歩」は踏み出せたと思っている。

退職前でも許される範囲でいくつかお仕事を引き受けさせていただいた。5月30日にはクレヨンハウスの「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」で講演させていただくことになった。尾野真千子主演の映画「茜色に焼かれる」にPRコメントを寄せる依頼もいただいた。こうした他メディアでの情報発信は「講演・執筆依頼」の横の「メディア出演」の欄にまとめていくのでご覧ください。

そして何よりも心づよいのは、ひとりぼっちだったSAMEJIMA TIMESに手弁当で参加してくれる「筆者同盟」の仲間が現れたこと。アイスランド在住の小倉悠加さん、教育現場専門カメラマンの飯塚尚子さん、明治大学の小田光康先生。個性派の御三方にお好きな時にお好きな内容をお好きな文体で「筆者同盟」欄に自由に執筆いただいている。とくに小倉さんと飯塚さんはSAMEJIMA TIMESへのお問い合わせ・コメントを通じて私と知り合った間柄だ。規則なし、ノルマなし、原稿料なしのフラットな関係で書きたいことを書いて連帯する「ゆる〜い同盟」である。我こそはという方はぜひ名乗りを上げて欲しい。お待ちしています!

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