今夏の参院選は関西が熱い。「維新王国」の圧倒的優位が崩れ、大阪・兵庫・京都の3府県で従来の勢力図が大きく崩れているからだ。一方で、自民・公明の与党も盤石とは言えず、減税政策で勢いづく国民民主党が台風の目になりそうだ。今回は、大混戦となった関西3府県の最新情勢を詳しく解説する。
大阪:自民は壊滅状態、維新圧勝は続くか
大阪の改選数は4。従来、維新が2議席、自民1、公明1という構図が確立されていたが、今回は先行き不透明だ。
維新は大阪万博への批判で失速した後も、本拠地・大阪では昨年の総選挙で19選挙区を全勝し、底力を見せつけている。
しかし、今回は不安要素もある。今回改選組の東徹氏は昨年の総選挙で衆院に鞍替えし、梅村みずほ氏もスリランカ人女性が入管施設で死亡した問題をめぐり国会で遺族を傷つける乱暴な発言をしたとして党員停止処分を受けた問題が影を落とす。現在、維新は男女1名ずつの候補を擁立するとして予備選を実施中だが、これまでのように圧倒的優勢な状況ではない。
さらに厳しいのが自民党だ。現職の太田房江参院議員は6年前にギリギリで当選した。3年前に当選した丸川るい参院議員は安倍派裏金問題にくわえ、自民党女性局のパリ漫遊旅行でも批判を浴びた。衆院選は全選挙区で維新に敗れており、有力な国会議員は姿を消してしまったのだ。
そこで、右派に人気で自民党全体で党員獲得数1位の青山繁晴参院議員を外部から府連会長に招聘し、大阪自民の再建を目指している。青山氏は就任初戦となる参院選でなんとしても議席を確保するため、現職の太田氏の候補者を差し替えたい意向とみられる。このため、自民党では全国でただひとつ、選挙区の候補者が決定していない事態に陥っている。
公明党もまた危機にある。かつて大阪では衆院選の選挙区を棲み分けし、4選挙区で議席を確保していたが、昨年の衆院選では維新と決裂。結果、公明の現職議員は全敗し、「常勝関西」の看板が揺らいだ。創価学会の高齢化で組織力・活動力は年々低下しており、今回も楽勝といえる状況にはほど遠い。
こうした状況の中、注目を集めているのが国民民主党だ。現在、候補者は未定だが、擁立すれば有力候補として浮上するのは間違いない。維新、自民、公明の指定席の一角を崩す可能性は十分にある。
れいわ新選組も昨年の衆院選で、大石あきこ氏と八幡あい氏が比例復活しており、大阪での支持基盤を広げてつつある。国民民主党と同様に、減税政策を掲げて政党支持率も上昇しており、強い候補者を擁立できれば当選圏に食い込む可能性もある。
兵庫:維新の逆風と泉房穂氏の参戦
兵庫の改選数は3。これまで維新、自民、公明がそれぞれ1議席ずつを確保してきたが、今回は情勢が大きく変わりつつある。
維新は過去2度はトップ当選する強さを誇っていたが、6年前に当選した清水貴之氏が昨年、兵庫県知事選に出馬し、斉藤元彦知事に惨敗。今回の参院選に再び立候補する予定だが、有権者の理解を得られるかは不透明だ。さらに、維新内部では斎藤知事と親しい県議が処分を受けるなど、混乱が続いている。
一方、自民・公明も決して盤石ではない。
この状況を見て無所属での出馬を表明したのが、テレビ出演で知名度の高い前明石市長の泉房穂氏だ。当初、立憲民主党と国民民主党の推薦を受け、当選確実との見方もあったが、出馬会見で「魅力的な政党はない」と発言し、国民民主党が推薦方針を撤回。独自候補擁立の準備に入っており、さらに混迷を極めている。
京都:野党同士の熾烈な争いに
京都の改選数は2。6年前は自民と共産が議席を分け合った。
自民党現職の西田昌司氏は旧安倍派の裏金問題や「石破おろし」発言で批判を浴びているものの、野党乱立の影響で逃げ切る可能性が高い。
共産党にとっては厳しい選挙となる。支持層の高齢化で組織力が大幅に減少し、政党支持率も低迷。野党乱立のなかで議席確保は容易ではない。
維新は共同代表の前原誠司氏の地元であり、元カンテレキャスターの新實彰平氏を擁立。一方、民主党時代は前原氏と盟友関係にあった立憲民主党の福山哲郎元幹事長は自らの秘書だった山本和嘉子氏を擁立しており、維新と激しいバトルが繰り広げられそうだ。
れいわ新選組は西郷南海子氏を擁立し、野党乱立のなかでチャンスをうかがう。国民民主党も候補者を擁立する方針で、大混戦の様相を呈している。
関西の参院選はこれまでの構図が崩れ、新たな勢力が台頭する可能性を秘めている。
- 大阪:維新が依然として強いが、自民・公明の足元は揺らぎ、国民民主党やれいわが浮上。
- 兵庫:維新は大逆風、自民・公明も不安定。無所属の泉房穂氏と国民民主党の動向がカギを握る。
- 京都:共産の議席維持は厳しく、維新と立憲が議席奪取を狙う。れいわや国民民主党の動向次第でさらに波乱も。
維新の勢力図が変わるのか? 国民民主が躍進するのか? 参院選が近づくにつれ、ますます目が離せない展開になりそうだ。