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石破首相に恨み骨髄!“喪が明けた”萩生田氏ら旧安倍派が反撃開始!鍵を握る国民民主党の動向

喪が明けた男たちの逆襲

政治の世界において、何よりも強いエネルギーの源泉となるもの——それは「怨念」である。政局で裏切られた者たちは、長い沈黙の後に復讐の機会を虎視眈々と狙う。いま、自民党最大派閥だった旧安倍派の幹部たちが、その恨みを晴らす時を迎えた。

かつての「5人衆」として党内に影響力を誇った萩生田光一氏と西村康稔氏。彼らは裏金事件の責任を問われ、自民党から厳しい処分を受けた。昨年の総選挙では党公認を得られず、無所属で辛うじて生き残った二人だったが、ついに4月3日、その処分期間が終了した。

彼らの標的はただ一人——石破総理である。石破氏は、裏金事件の混乱の総選挙で彼らを切り捨て、総理の座を守った。その恨みは深い。

萩生田氏と西村氏は3月、旧安倍派の若手議員らを都内の中華料理店に集め「喪が明けたら、もう少し面倒を見られる」と語ったという。旧安倍派を立て直し、石破おろしを仕掛ける決意表明にほかならない。

しかし、怨念だけでは政局は動かない。旧安倍派の最大の課題は、「ポスト石破」を誰にするかという点である。

旧安倍派の選択肢

旧安倍派は昨年の総裁選で、候補を一本化できずに敗北した。最大派閥だったにもかかわらず、高市早苗氏や小林鷹之氏らに派内の支持は割れ、結果として石破氏に総理の座を奪われる形となった。

この苦い経験を繰り返さないためには、次の総裁選では一致団結して「勝てる候補」を担がねばならない。

その有力候補の一人が茂木敏充氏である。茂木氏は今年1月に勉強会を開き、萩生田氏も旧安倍派の議員10人を引き連れて参加した。茂木氏としても、旧安倍派の支持は喉から手が出るほど欲しい。

しかし、旧安倍派の中には右派の高市氏や小林氏を推す声も根強い。特に高市氏は最近、テレビ番組で「自民党が何をやりたい政党なのか分からなくなってきた」と発言し、さらに「財務省に洗脳されている」とまで言い放った。これは財務省寄りの石破政権への強烈な批判であり、右派の支持層へのアピールに他ならない。

高市氏のこうした発言に対し、党内からは「焦りすぎではないか」という声も聞こえる。その背景には、昨年の総裁選で応援してくれた旧安倍派の議員が大量に落選し、支持基盤が弱まっている現実がある。そして、もう一つの大きな要因として、現状の「少数与党」という国会の構造がある。

石破おろしの成否は「国民民主党」がカギ

現在の国会では、自民党単独では過半数に届かず、野党の協力なしには成り立たない。日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組が首相指名選挙で立憲民主党の野田佳彦代表に投票せず、自党の党首に投票したからこそ、石破氏は首相に就任できた。だが、もし「ポスト石破」に高市氏が浮上すれば、野党側は結束して野田佳彦氏や国民民主党の玉木雄一郎氏を担ぐ可能性がある。

こうなると、自民党は与党の座から転落する。旧安倍派の萩生田氏や西村氏、さらには麻生派、旧茂木派がどんなに結束して石破おろしに成功しても、国会で多数派を形成できずに野党に転落したら、元も子もない。

そのため、石破おろしを本気で進めるなら、国民民主党を取り込むしかない。維新の前原誠司共同代表は石破総理と盟友関係にあり、主流派を仕切る森山裕幹事長は、立憲民主党の安住淳衆院予算委員長と昵懇だからだ。

国民の玉木代表や榛葉幹事長は、岸田政権時代に麻生太郎元総理や茂木幹事長とガソリン税減税を巡って協議を重ね、親しい関係を築いている。彼らが旧安倍派・麻生派と連携すれば、少数与党の現状を打破し、石破政権を倒すシナリオも描ける。

しかし、それは国民民主党にとってもリスクが大きい。「自民党の延命に加担した」「旧安倍派や麻生派の復権を後押しした」との批判を浴びる可能性がある。特に、勢いを増している国民民主党が、支持層を広げる機会を失うことになりかねない。

石破おろしの行方は?

石破総理では夏の参院選を戦えないとして退陣を望む勢力は数多い。旧安倍派はもちろん、麻生派も、さらには維新や国民民主党も動向を注視している。しかし、問題は次の総理を誰にするか、そしてその人が国会で多数を確保できるかという点に尽きる。

萩生田氏や西村氏は、かつての影響力を取り戻し、旧安倍派を再興することができるのか。麻生氏や茂木氏との連携は成功するのか。そして、国民民主党はどちらに転ぶのか。

喪が明けた男たちの逆襲は、まだ始まったばかりである。