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失脚したドンが福岡自民を壊す!蔵内騒動が高市政権に突きつける難題

福岡県議会を長年牛耳ってきた蔵内勇夫・前議長が、議員辞職から2カ月半を経て、ようやく記者会見を開いた。ところが、金銭授受疑惑は全面否定。「名誉を汚されたが、耐えている」と自らの潔白を訴えた。

会見は記者クラブ加盟社に限定され、ライブ配信も禁止。質問は各社1人など、異例の制約が設けられた。県議会のドンとして君臨してきた蔵内氏が、最後まで情報公開に後ろ向きな姿勢を崩さなかった格好だ。

最大の焦点は、2012年の副議長就任前、料亭で現金500万円を受け取ったとする新村雅彦・元県議の証言である。新村氏は茶封筒に入れた現金を手渡したと具体的に説明している。一方、蔵内氏は「とても信じられない話」「私はうそをついておりません」と全面否定。新村氏が所属していた会派の政務活動費流用問題を持ち出し、証言の信憑性に疑問を投げかけた。

しかし、新村氏は反論を「あきれました」と一蹴。さらに、500万円のうち約200万円は当時の会派の政務活動費を流用したものだったと新たに証言した。単なる「渡した、もらっていない」の水掛け論では済まされない。金の出どころも含め、徹底した検証が必要である。

疑惑はこれだけではない。ゴルフ会やフランス料理店での飲食代について、蔵内氏は会計を担当していないとしながらも、割り勘だった、「お包みを渡した」と説明した。海外視察では高級ホテルへの宿泊や中国視察の予算執行をめぐり、配慮不足や疑念を持たせたことを認めた。ワンヘルス関連事業については、予算の集計方法に誤解があると反論し、筑後市の3億円のモニュメントへの関与も否定した。

問題は、蔵内氏が辞職しても福岡自民が決別できていないことだ。

自民党県連は、蔵内氏に近い県議中心の体制から、国会議員が会長を務める体制へと刷新された。新会長には旧岸田派の古賀篤衆院議員が就任。麻生太郎氏と武田良太氏の双方に配慮した布陣となった。一方、県議会議長には武田氏に近い大島道人氏が選ばれた。福岡の主導権争いは、麻生・武田の新たな対決局面に入っている。

だが、県議団の対応は煮え切らない。蔵内氏を「尊敬する1人」と評し、決別についても「そういう時期が来るのを待つしかない」と語る。これでは、蔵内体制の清算が進んでいるとは言い難い。

高市政権も事態を重く見ている。党本部は、現状のままでは県議選候補への公認を出せないと県連に警告。県連は体制刷新に動き、若手を優先して公認する方針を打ち出した。蔵内騒動は、もはや福岡だけの問題ではない。自民党本部が地方組織の改革を迫られる事態となっている。

来春の福岡県議選では、自民党に逆風が吹く。参政党は30人、維新は20人以上、国民民主党は10人以上の候補者擁立を目指す。参政党は既存政党への不信を取り込み、維新は議員定数や報酬の削減、海外視察の見直しを掲げる。国民民主党も独自の県議団を立ち上げ、自民党の補完勢力というイメージからの脱却を狙う。

自民党が失った信頼を取り戻せなければ、福岡県議会の勢力図は大きく変わる可能性がある。しかも、旧民主党系会派も蔵内騒動をきっかけに分裂し、既存政党全体への不信が広がっている。

福岡市長選も異例の展開だ。現職の高島宗一郎氏が不出馬を表明し、後継指名もしなかったことで、新人13人が乱立。誰も有効投票総数の4分の1を得られなければ再選挙となる。再選挙になれば、石丸伸二氏の出馬説まで浮上する。福岡の政治地図は、県議選と市長選の双方で大きく揺れている。

蔵内氏は今後の選挙には一切出ないと明言した。しかし、政治家を辞めたからといって、長年築いてきた人脈や影響力が一夜にして消えるわけではない。本人が名誉回復を求めて抵抗を続ければ、福岡自民はいつまでも過去の体制を清算できない。

失脚したドンの最後のあがきに、福岡自民は振り回され続けるのか。来春の統一地方選は、高市政権が地方組織を本気で立て直せるのかを問う選挙にもなる。