政治を斬る!

石破総理をトランプが“完全スルー”!? 火に油を注いだ25分の電話会談

「日本はアメリカを搾取してきた」

そんな痛烈な言葉が、日米首脳の電話会談直後に、トランプ大統領のSNSに投稿された。これは、石破茂首相にとって“敗北宣言”にも等しい内容だ。

今月7日夜、石破首相は25分間にわたってトランプ氏と電話会談を行った。トランプ氏が打ち出した「トランプ関税」によって、日本株が暴落するなど経済への影響が深刻化していたためだ。

石破首相はなんとか説得しようと臨んだが、結果は逆効果。トランプ氏の怒りを買い、「もうお前とは話さない」と言わんばかりに、今後は担当閣僚を決めてそちらに交渉の舞台を移すことになったのだ。

石破首相の何が悪かったのか。そこには、日本の指導者としての「致命的な弱さ」が浮き彫りになっている。


誠意よりも政治力が問われる外交の現場

石破首相は、電話会談に先立ち「誠意を尽くして説明する」と意気込んでいた。実際、会談では「関税によって日本企業の投資余力が損なわれる」と懸念を伝え、「双方の利益になる幅広い協力を追求すべき」と語ったという。

しかし、これはトランプ氏にとっては“説教”と映ったに違いない。彼が求めているのは「誠意」ではなく、「取引(ディール)」なのだ。

相手がその場で即断即決できるだけの“政治的権力”を握っていなければ、そもそも交渉の相手として認めない。

いまの石破政権にその力はあるか。残念ながら答えは否だ。

少数与党で、野党との連携なしには法案も通らない。党内基盤は脆弱で、すでに「石破おろし」の声も高まっている。内閣支持率も低迷し、国民からの信任も得られていない。

そんな総理大臣を、トランプ氏が相手にする理由はどこにもない。


「石破はずし」加速、トランプが指名したのは…

電話会談の唯一の“成果”は、「今後は担当閣僚を決めて協議を進める」という点だった。だがそれすら、主導権はトランプ氏側にある。

トランプ氏が即座に指名したのは、ベッセント財務長官。一方の石破首相は会談直後、「まだ誰か決まっているわけではない」と歯切れが悪く、対応の遅れが際立った。

こうして、トランプ氏は交渉相手から石破首相を外し、「石破抜き」の日米交渉体制を構築しつつある。これは名実ともに「石破はずし」だ。

しかも、追い討ちをかけるように野党・立憲民主党の野田佳彦代表から、思わぬ提案が飛び出した。トランプ氏との交渉担当に、かつてのトランプ政権下での貿易交渉を担った茂木敏充・前幹事長を起用してはどうかというのだ。


石破最大のライバル・茂木の“復活”シナリオ

トランプ氏が覚えている日本の政治家は、「アベ、アソウ、モテギ」だけだという。茂木氏は安倍政権下で対米交渉を仕切った実績があり、トランプからの信頼も厚いと言われている。

ただ、問題は、石破首相と茂木氏が犬猿の仲だということ。ふたりはかつて同じ新進党に所属し、その後、自民党内の最大派閥・平成研究会に移った。だが、派閥の主導権争いに敗れた石破氏は派閥を飛び出し、茂木氏が会長に就任したという経緯がある。

そんな因縁の相手を、石破首相が果たして交渉担当に任命できるのか。

起用すれば交渉は前に進むかもしれないが、その功績は茂木氏の手柄となり、「ポスト石破」の最有力候補として一気に浮上することになる。

石破首相にとってはまさに「地獄の二択」だ。

結局、石破首相が選んだ交渉役は、自らの最側近である赤沢亮正・経済再生担当相だった。永田町ではほとんど実績のない「小物政治家」だ。はたしてトランプ政権相手に、難航する対米交渉を舵取りできるだろうか?


交渉の主導権はすでにアメリカに

現在の日米交渉は、完全にトランプ氏主導で動いている。

石破首相は「誠意」では外交を打開できない現実を突きつけられている。そしていま求められているのは、トランプとの交渉をまとめられるだけの「政治力」と「決断力」だ。

石破政権の求心力が急速に失われていくなかで、与野党を巻き込んだ政界再編で強固な政権を作り出す機運が高まっていくだろう。

参院選を前に、石破政権は本格的な正念場を迎えている。