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サメタイから誤字脱字が減った!? 読者と一緒に記事をつくりあげていく幸せ

今年2月末に朝日新聞社に退職届を提出し、SAMEJIMA TIMESをたった一人で創設して毎日一本は記事を発信してきました。5月末に退社してから読者と双方向で交流する「政治倶楽部」を開設して半年を迎えます。会員登録数は1300人を超えました。

このサイトには毎日数千人、多い日は数万人が訪れてくれます。ジャーナリズムの責務を果たしていない新聞社に見切りをつけ、「新しいニュースのかたち」を目指してオリジナリティーのある記事の発信を心がけてきました。まだまだ微力ですが、たくさんの方に読んでいただいていることに感謝・感激しています。

政治倶楽部に会員登録していただいた方からのコメントにはすべて目を通しています。実に奥深く、コメントだけを切り離して記事として成立するような内容のものもたくさんあります。改めて読者の皆様の見識の高さを痛感します。

新聞社の凋落は、読者と双方向の交流をおろそかにして情報を一方的に発信して終わりという「上から目線」に大きな要因がある。SAMEJIMA TIMESを開設し、読者の皆様と双方向で触れ合う体験を通じてそのことを確信しました。

SAMEJIMA TIMESの「サメタイ」の通称(愛称)も、読者の方のコメント欄への投稿などから自然発生的に生まれました。

朝日新聞デジタルが「コメントプラス」というコーナーを新設し、学者や著名人ら識者や社内から選ばれた記者が記事にコメントを投稿するという試みをはじめています。

これに対し、SAMEJIMA TIMESの読者からは「朝日新聞はコメント欄の意義をまったく理解していません。読者は新聞社が選抜した識者や記者のコメントを読みたいわけではありません。誰もが参加できるコメント欄で一般の人々の幅広い意見を知りたいのだし、ここへ自らも参加して投稿し、それに対する皆さんの意見を知りたいのです。コメント欄の意義はそこにあります」というご意見をいただきました。

私もまったく同感です。朝日新聞社は一般の方々にコメント欄を公開したときに寄せられる批判を恐れて踏み切れないのでしょう。そのような守りの姿勢である限り、「一方通行のマスコミ」からはなかなか脱却できないのではないでしょうか。

政治倶楽部はとても見識の高い読者の方々に支えられています。会員登録をしなくてもコメント欄を読むことはできます。ぜひご覧になってください。そのうえで参加して投稿してみたくなった方は、ぜひ会員登録してください。無料です。以下のボタンを押して登録手続きを進めてください。

私に対する講演や執筆依頼などをお寄せいただく「講演・執筆・寄付」のコーナーには「講演・執筆」依頼やご寄付のありがたいお話に加え、ほんとうにさまざまな「お問い合わせ」が寄せられます。

公開のコメント欄に投稿するのはためらいがあるのでこのコーナーにご意見をいただく方もたくさんいます。すべてにお返事することができないのは心苦しいのですが、実に参考になるご意見・ご提言がたくさんあります。この場を借りて御礼申し上げます。

SAMEJIMA TIMESに手弁当で参加してくれているアイスランド在住の小倉悠加さんら「筆者同盟」の方々の多くもコメント欄やお問い合わせコーナーでの交流を通じて知り合いました。このサイトを立ち上げるまでまったく面識のなかった方々です。

たったひとりで立ち上がると、これまでの暮らしを続けていたら決して出会うことのなかったであろう人々との新たな交流が生まれるということを実感する日々です。会社を辞めて良かった、無為な時間の積み重ねから解放された、新しい世界が広がった、という思いがこみあげてきます。広い世界の幅広い人々と直接触れ合うことができるデジタル改革は、人生の可能性を大きく広げる大改革だと痛感します。

デジタル改革について話し合う11月27日のオンライン・トークイベント「図書館とデジタルメディア、融合の可能性」(主催・図書館総合展運営委員会)に登壇させていただいたのも、司会者を務めた共同通信社の内田朋子さんからお問い合わせコーナーに記事の感想を寄せていただいたことがきっかけでした。

先日は東京都内の高校1年生から「現代社会におけるマスコミの責務」をテーマに研究しているとしたうえで①今の社会でマスコミが果たすべき役割とは何か②マスコミの信頼を回復するためにはどのような取り組みが必要か③マスコミへの信頼が薄くなりつつある状態に至った原因は何だと推測するかーーという三つの質問をいただきました。高校生からの質問はとてもうれしかったです。精一杯、回答させていただきました。

みなさんのご意見・ご提言に直接触れるのはジャーナリスト活動を続けていく「起点」だと思います。朝日新聞社に在籍中はまったく抜け落ちている部分でした。SAMEJIMA TIMESはここを大切にしていきたいと強く思っています。

数多くの方からサイト運営を心配して「記事を有料化したらどうか」「定期購入したい」というありがたいお話もたくさんいただいています。

ただ、なるべく多くの方々と触れ合うため、とりわけお金を払う余裕のない方々とも触れ合うため、SAMEJIMA TIMESは息の続く限り無料公開にこだわりたいと思っています。私自身、貧しい母子家庭に育ち、奨学金で高校・大学へ進学し、世の中に支えられて新聞記者になりました。微力ではありますが、自分自身がこの社会へ少しでも貢献する番だと考えています。

皆さんのご意見はコメント欄に加えて「講演・執筆・寄付」というお問い合わせコーナーで受け付けています。以下のボタンからお問い合わせフォームに入れます。お仕事やご寄付のお話もこちらよりお待ちしています。よろしくおねがいいたします。

最後に本日どうしてもお伝えしたいことをひとつ。

このサイトを2月末に立ち上げて連載「新聞記者やめます」をスタートさせた当初、誤字脱字や「てにをは」のタイプミスのご指摘を多数いただきました。ありがとうございました。

熱心な読者の方には、最近、誤字脱字や「てにをは」のタイプミスがずいぶん少なくなったと感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。これには「秘密」があります。

たったひとりで運営しているサイトです。当初は新聞社と同様、すべての記事を厳密に校正し「完成原稿」を発信するよう全力を尽くすことも考えたのですが、とてもひとりでは手が回りません。誤字脱字や「てにをは」のタイプミスを一掃することに時間や労力をかけるよりも、ひとつでも多く中身が濃くてオリジナリティーがある記事をできるだけ早く発信することに全力を傾けたほうがSAMEJIMA TIMESの存在意義が増すだろうと考え、多少のミスは目をつぶってもらおうと割り切ることにしたのです。

27年間の新聞社勤務で、例えばひとつの政治記事を出すのに、政治部記者→記者クラブのキャップ→政治部デスク→整理部編集者→整理部デスク→校閲記者→当番編集長…と実に多くの手が入り、「間違いをなくす」ことでは効果があっても元原稿はどんどん棘を抜かれ無難にまとまりオリジナリティーを失っていく光景を毎日みてきました。そこまで時間と人手をかけて原稿を二重三重にチェックする必要があるのか、かえって記事からスピード感や勢いや輝きを奪っているのではないか、という疑問を感じてきたこともあります。

しかし、記事である以上、誤字脱字や「てにをは」の誤りはないほうがいいに決まっています。

私は原則として日付が変わる直後に毎日の記事をアップしているのですが、誤字脱字や「てにをは」の誤りを見るに見かねた北海道在住のSAMEJIMA TIMESの読者であるSさんが、毎朝早くから自発的に校閲し、私が起床するころまでに校閲内容をメールで教えてくれるようになりました。もちろん、ボランティアです。私としては就寝前に記事をアップしたら、起床後には校閲結果が届いているという、なんともありがたくもうしわけないことが、連日起きているわけです。

あまりにもうしわけなくて、私はSさんに「ご無理はなさらないでくださいね」とお伝えしているのですが、Sさんは「鮫島さんはひとつでも多く魅力ある記事を出すのに専念してください」「そうはいっても誤字脱字があると信憑性を疑う読者もいるでしょう」「私は毎朝早起きする楽しみができました」などと言って校閲してくださいます。もう感謝しかありません。

Sさんの校閲はとても安定しています。記事に関する参考資料や関連データをお知らせいただくこともしばしばあり助かります。私はお言葉に甘えてSさんのお助けに支えられて記事を発信しています。原稿を出稿する際はいつも、未だお会いしたことのない北海道のSさんのことを思い浮かべます。きょうは執筆するのがつらいなあという夜も、Sさんが待ってくださっていると思うとがんばろうと奮い立ちます。

それが誤字脱字や「てにをは」の誤りが減った秘密の答えです。もっとも、Sさんの校閲が届くより前、早朝にサメタイの記事を読んでいただいている読者の方からは「誤字脱字、減ってないぞ」とお叱りを受けるかもしれませんが(笑)。

かようのごとく、皆様の善意に支えられてここまでやってまいりました。読者の方々と一緒にニュースサイトをつくりあげていく喜びは朝日新聞社では決して感じることができないものでした。ほんとうに感謝しています。これからも双方向の交流を通じて記事をつくりあげていければ幸せです。よろしくお願いいたします。

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