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石油業界に補助金6兆2000億円を投入し、ガソリン税を廃止しない岸田政権の愚策!ガソリン高騰で石油業界への補助金だけをさらに続けるのか?

ガソリン価格の急騰が止まらない。レギュラーガソリンの全国平均価格は8月28日時点で、185.6円に値上がりし、ついに過去最高値(2008年8月の185.1円)を突破した。物流コストにも跳ね返り、物価全体を押し上げている。

ウクライナ戦争による原油の世界的減産を発端に、日本独自の要因である円安の進行がガソリン価格高騰に追い討ちをかけた。政府が石油元売り企業に補助金を投入し、さらに国際的な価格が落ち着きを取り戻した後も、円安の加速が輸入価格を押し上げ、ガソリン価格は上昇の一途をたどってきた。

岸田政権は補助金を投入する当初、170円を超えないようにすると説明してきたが、その防衛ラインはすっかり打ち破られた格好だ。年内には200円を突破するとの見方も出ている。

岸田文雄首相は8月30日、9月末に期限を迎えるガソリン補助金について年末まで延長すると表明した。9月7日から段階的に拡充し、10月中に全国平均で175円程度となるよう調整するという。

けれども、石油元売り企業に巨額の補助金を投入することでガソリン価格を抑制するという政策がそもそも間違っている。国民生活はガソリン価格高騰で困窮する一方、石油元売り大手は過去最高益を出して大儲けした(こちら参照)。

これほど理不尽な政策があるだろうか。まさに「国民ではなく大企業を救うための補助金」といってよい。

岸田政権が石油業界への補助金支給を始めたのは2022年1月。当初は170円を超えたら5円を上限に補助金を配る仕組みだったが、国際的な原油価格高騰と円安の加速で上限は引き上げられ、補助金総額は膨らんでいった。これまでの予算総額は6兆2000億円にのぼる。それをさらに続けるというのだ。

ガソリン価格にはガソリン税(本来の税率に加えて暫定税率も付加されている)が組み込まれ、さらに消費税も上乗せされており、価格全体の4割以上が「税金」である。

石油元売り大手に巨額の補助金を出す財源があるのなら、ガソリン税を廃止・軽減し、ガソリン価格を大幅に引き下げることで、国民生活を直接支援したほうがよほど理にかなっている。

なぜそうしないかというと、財務省がガソリン税という「財布」を手放したくないからだ。それよりは一時的に補助金を配って対応するほうがマシと考えているのである。その結果、ガソリン税を維持して国民から税金を吸い上げ、石油元売りに巨額の補助金をばら撒いてガソリン価格を抑制するという、回りくどい政策が進行しているのだ。

要するに「ガソリン財源」「ガソリン利権」の維持でしかない。国民生活は二の次なのだ。

自民党政治の根幹は「消費者よりも生産者」「暮らしよりも産業」「庶民よりも大企業」である。法人税を下げて消費税を上げるのはその象徴だ。国民に現金を直接給付することは極力避け、企業や病院など雇用主に補助金を配ったコロナ対策も同じだ。

国民一律にお金を配っても感謝されず、選挙の得票も政治献金も増えない。しかし、業界に補助金をばらまけば、一部は政治献金として環流してくるし、選挙活動も手伝ってもらえる。

だから、自民党は国民に直接現金を給付しても無駄だと思っており、業界を通じてバラまく。企業は補助金を得て「言いなりの社員」を手厚く処遇し、社内支配を強固にするのである。これが自民党が戦後日本を統治してきた基本構図だ。

ガソリン価格の高騰にあたり、ガソリン税を廃止・軽減して国民生活を直接救うのではなく、石油元売りへに補助金をバラまくのは、自民党の典型的な政策といえるだろう。

これを覆すには、私たち庶民がガソリン価格の高騰に対する自民党政治への怒りを選挙で示すしかない。コロナ禍で自民党が異例の「国民一律の10万円給付」に踏み切ったのは、国民世論の怒りが沸騰し、自民党が危機感を募らせたからだった。

ガソリン高騰を大人しく受け入れたら、自民党は国民を向いた政治を行わない。自民党は良くも悪くも「文句を言った奴の機嫌を取る」のだ。

文句を言うところから民主主義は始まる。遠慮せず、ガソリン高騰への不満の声をあげることから政治は動く。国民生活を直撃するガソリン高騰を素直に受け入れ、「節約運転」に懸命になるだけでは、岸田政権の思うツボだ。

「政治が国民生活を守る責任を果たしていない」「大手企業に補助金を配るお金があるのなら、ガソリン税を廃止すべきだ」と声をあげていこう!


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