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立憲民主党はここまで堕ちた!日本維新の会や国民民主党と「自公の補完勢力」の座を争う醜態

旧統一教会の被害者救済法案は12月8日、自民・公明の与党に加え、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党3党も賛成して衆院本会議で可決し、参院に送られた。10日に会期末を迎える今国会で成立する。

旧統一教会との歪んだ関係が指摘された自民党や、創価学会への波及を恐れた公明党は、そもそも被害者救済法案に及び腰だった。与野党協議を踏まえて国会に提出された政府案は、被害弁護団が「実効性がない」と指摘するほど「骨抜き」の内容だった。

立憲民主党は寄付を勧誘する際に自由な意思を抑圧しないように「配慮」する義務を課す政府案では不十分だとして「禁止行為」に修正するよう強く求めていたが、維新や国民が相次いで賛成に転じると、維新との共闘が崩れることを恐れて大幅に譲歩し、「配慮」の前に「十分に」の文言を付け加えるだけの微修正を受け入れて賛成に転じたのである。

立憲の当事者たちもこの内容では被害当事者や野党支持層からも反発を招くことは重々承知していることだろう。それでも維新との共闘を崩したくはない、与野党協議の枠組みから外されたくはないという「政局判断」を優先するしかなかった。

この経緯の詳細と今後の政局に与える影響については、昨日の記事『立憲陥落、政局優先で被害者救済「骨抜き法案」賛成へ!維新と国民民主を引き込む自民の「野党分断工作」に屈服〜国会が与党一色に染まる大政翼賛体制への道』で解説したが、立憲が土壇場で腰砕けに終わったのは、先に政府案に賛成する意向を示した維新と国民に引きずられ、反対を貫けなくなったためだ。その意味で維新と国民を取り込んだ自民党の野党分断工作に屈服したといえるだろう。

立憲民主党の西村智奈美・旧統一教会被害対策本部長と長妻昭政調会長は連名で「立憲民主党は法案に賛成することで関与を深め、2年見直し規定に基づいてさらに使える法律に進化させるために責任を引き受けることとした」との談話を出した。私はこれを読んで、この政党は今後、原発の新増設も敵基地攻撃能力の保有も同じように「賛成することで関与を深め、進化させるために責任を引き受ける」と言いながら容認していくのだろうと思った。

年明けからの通常国会でも、自民党にすり寄る維新と国民の背中を立憲がさらに追いかけるという、恐るべき展開が予想される。立憲は維新を「自公の補完勢力」と批判してきたが、今や立憲も「自公の補完勢力」と化し、維新や国民との間で「補完勢力の座」を争うという、なんとも見苦しい姿をさらけ出したのである。

自公の補完勢力の座を争う醜態ぶりに拍車をかけたのは、立憲民主党の岡田克也幹事長と国民民主党の玉木雄一郎代表の場外戦だった。

仕掛けたのは玉木氏だ。立憲が「配慮」を「十分に配慮」に修正することで賛成に転じた12月7日、玉木氏はツイッターで「言葉遊びで法的には意味がない」と皮肉った。先に賛成の方針を決めていた玉木氏とすれば、後から追従してきた立憲の「賛成の理由」が取って付け加えたものに見えたのだろう。

これに対し、立憲の岡田氏がかみついた。8日に幹事長名で『「十分に」の法的意味について』という文書を公開し、「現行法でも民法を含めて数百の法律で「十分」との文言が使われており、この文言には法的な意味があることは明白である」として、玉木氏に発言撤回を迫ったのである。

四角四面の岡田氏らしい反論である。たしかに「十分に」という文言の法的意味はゼロではなかろう。だが今問われているのは「十分に」が加わったことで被害者救済の実効性が担保されたかどうかである。私はまったく担保されていないと思う。玉木氏も「十分に」が加わっても実効性にさして変わりはないという趣旨で皮肉ったのだろう。

それに対して岡田氏が「そもそも法律は、法文と実態の運用の積み重ねの中で、実効性を高めていくものであり、現時点で法文に意味がないとするのは、真に必要な被害者救済に向き合わない姿勢と言わざるを得ない」と反論するのは、法律学者の言葉としては理解できても、法律をつくる当事者の国会議員(しかも野党第一党の幹事長)の言葉としてはいかがなものか。

国会議員ならば、確実に被害者救済を実現するため、より明確な法文を作るべきであり、それが自公の反対で「骨抜き」になったのならば、率直に足らざる部分を認めて「立憲は必ずや自公政権を倒して政権交代を実現し、この法律を修正してみせる」と誓うのが、野党第一党の幹事長として取るべき立場ではないか。

岡田氏とて、今回の法案が100点とは思っていない。それでも「骨抜き」法案の賛成に転じたのは、野党の非力を自覚したうえで「少しでもマシな法案にするため」と言うのだろうが、実態としては、維新や国民が先に賛成に回り、立憲だけが与野党協議から外されることを避ける政局判断を優先したのである。

その本音を隠して『「十分に」の法的意味について』という法律論争を仕掛けられても、それに共感する有権者はほとんどいないだろう。白けるばかりだ。

実効性がどのくらいあるかわからない「十分に」という文言を骨抜き法案に入れるメリットと、野党第一党が自公の野党分断工作に屈して骨抜き法案に賛成したことで政治不信が増大するデメリットを天秤にかけると、日本の民主主義にとってはデメリットのほうがはるかに大きいと私は思う。

玉木氏と小競り合いをする余裕があるのなら、自公与党を徹底的に追及して支持率を下落させ、政権交代への期待感を高めるべきだ。自公与党は被害者救済法案の成立で統一教会問題を幕引きしようとしている。この法案に与党に同調して賛成しながら、年明けの通常国会で今まで以上に統一教会と自民党の癒着を追及することができるのか。私は甚だ疑問だ。

新年度当初予算に続いて補正予算に賛成した国民民主党の肩を持つ気はさらさらないが、その後を追うように法案賛成に転じた立憲民主党の姿は、国民民主党とさして変わらぬ「自公の補完勢力」として国民の目には映っていることを岡田氏は自覚すべきであろう。


被害者救済法案をめぐる与野党政局の裏側についてはYouTube動画でも詳しく解説しました。ぜひご覧ください。

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