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日本社会を分断した東京五輪は開幕前から「失敗」が決まっている〜今一度、問います。東京五輪開催に賛成ですか?反対ですか?

まさに「呪われた五輪」というべきか。菅政権がコロナ危機下で国民の大反対を押し切って強行開催する東京五輪がついに始まった。

東京五輪組織委員会のコロナ対策が早くも破綻して選手村では感染が拡大し、最後まで継続できるのか五里霧中の開幕である。

開会式の演出を担当する元お笑い芸人の小林賢太郎氏がユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を揶揄した過去のコントが発覚して開会式前日に解任されるという、前代未聞の醜態にまみれた開幕である。

小林氏解任を受けて、SAMEJIMA TIMESは昨日午後3時半、「目前に迫る開会式をどうしたら良いか」を問う緊急アンケートを呼びかけたところ、同日深夜にかけておよそ900人が投票してくれた。以下が現時点での投票結果だ。およそ8割が「今からでも中止する」を選んでいる。

目前に迫った東京五輪の開会式をどうしたらよいと思いますか?

東京五輪に対する多くの方の怒りが伝わってくる結果だと思う。いったい誰のための東京五輪なのか。誰のための強行開催なのか。開会式当日に改めて問いたい。

今一度、皆さんに問います。この東京五輪開催に賛成ですか、反対ですか?

今一度、問います。東京五輪開催に賛成ですか、反対ですか。
 
鮫島
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東京五輪を成功させて国民の政権批判をかわし、ワクチン接種を進めて支持率を上げ、秋の総選挙に突入するーーそうした菅義偉首相の魂胆をほぼすべての国民が見抜いているなかでの強行開催である。

開催国として巨額の税金を東京五輪に注ぎ込むのは何のためか。巨額の税金で潤うのは、権力に近いところにいる自民党の政治家や電通などの大企業だけではないか。不信感と不公平感が渦巻く中での強行開催である。

五輪招致をめぐる裏金疑惑から女性蔑視・障害者虐待などの人権侵害まで、日本社会の膿が次から次へと発覚し、国民の多くが不愉快な眼差しで見守るなかでの強行開催である。

選手村で感染者が相次ぎ、都内は渋滞が深刻になって、医療崩壊への不安感が膨らむなかでの強行開催である。私たちの目の前では「国民の生命より五輪を優先する政治」が繰り広げられている。

そして、国民不在の東京五輪に対して、朝日・読売・毎日・日経・産経の大手新聞がこぞってスポンサーとなり、権力監視の役割を放棄して五輪盛り上げ報道にいそしむ姿を目のあたりにし、日本社会のマスコミ不信は頂点に達している。

1964年東京五輪は大多数の国民が歓喜する大会だった。以来、日本人は世界でも有数の「五輪を信奉する国民」になった。国民の大多数が日本選手の活躍に一喜一憂し、メダル獲得を期待した。そのような時代に税金を投入して五輪を招致するのは「国民の連帯感を増す」という民主国家としての意味もあっただろう。

2021年東京五輪は、国民の連帯感を増すどころか、逆に日本社会に深刻な分断を招いている。五輪に反対する多くの国民は政府への不信感を強め、さらには五輪支持の人々と不支持の人々の間に深刻な亀裂を生んでいる。五輪招致時の「おもてなし」のかけ声は消え失せ、来日外国人と日本人の間の亀裂も広がるばかりだ。

巨額の税金を投入して私たちが手にしたのは「深刻な社会の分断」だった。なんと無駄なコストであろうか。この東京五輪は始まる前から「失敗」が約束されているのだ。

さらに心配なのは、これが「失敗」にとどまらず「大惨事」に発展する恐れがあることである。

日本は菅政権の失政によって先進国のなかでワクチン接種が大幅に遅れている。そこへ世界各地から大勢の選手・関係者が一時期に集中して東京に押し寄せる。「日本にリスクを持ち込むことはない」というバッハIOC会長の言葉を信じる人がいるだろうか。選手村で巨大クラスターが発生し、都内で医療崩壊が深刻化し、大会続行が不可能になり、各国の救援機が日本に押し寄せるーーそんな前代未聞の「大惨事」を招く恐れは否定できない。

大問題なのは、そうした「大惨事」に対する備えを、菅政権も組織委も、まったくしていないように見えることである。

昨年のコロナ危機以降、この国の政治は国民に自粛と行動変容を迫るばかりで、医療・検査体制は一向に整わず、感染者数は欧米より桁違いに少ないのに医療崩壊を招くという愚かな姿をさらけだした。ワクチンの独自開発にも失敗し、国際的なワクチン確保競争にも大幅に出遅れる始末である。アベノマスクや現金一律10万円の配布の大混乱で露呈した行政崩壊の現実をみるにつけ、「五輪による感染爆発」に対処できるとは思えない。

安倍政権以降のこの国は「日本すごい」「美しい国・日本」などと内向きな議論に終始し、世界からどんどん取り残されているのに、それに気づかなかった。コロナ危機と東京五輪は、現実離れした日本社会にシビアな現実を突きつけた。安倍長期政権のツケがいま、私たちに一挙に押し寄せている。

この大会期間中、この国で何が起きてもおかしくはない。ありとあらゆる矛盾が噴き出す恐れがある。私たちの社会はそれにどう向き合うのか。鎖国を解き放った江戸末期の「黒船来航」のような混迷と変革のはじまりになるかもしれない。

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