政治を斬る!

蓮舫氏、参院選出馬が大迷走!労組が反発、内ゲバ状態に!? 「都知事選惨敗」の総括を間違えた立憲民主党の混迷

昨年夏の東京都知事選で惨敗し、国政には戻らない考えを示していた立憲民主党の蓮舫氏が、参院選比例代表への出馬を模索している。この動きが報じられ、世論のみならず、立憲党内でも波紋を広げている。特に立憲を支える有力労働組合が猛反発しているのが特徴的だ。

なぜこのような事態に陥ったのか。蓮舫氏の動向を通じて、立憲民主党の低迷の背景を探る。

1. 東京都知事選の惨敗

蓮舫氏は長く立憲民主党の「顔」だった。辻元清美氏と並んでリベラル派の「顔」だったといってよい。

彼女は2024年夏、参院議員を辞職して東京都知事選に満を辞して出馬した。

しかし結果は、現職の小池百合子知事だけでなく、YouTubeで知名度を高めた前安芸高田市長の石丸伸二氏にも敗れる「まさかの3位」に終わったのだ。

出口調査によると、蓮舫氏は立憲民主党と共産党のコア支持層以外にはほとんど支持を得られず、現役世代や無党派層の票は石丸氏に流れた。テレビキャスター出身の知名度と、鋭い舌鋒を武器にしてきたが、それは立憲のコア支持層に限られた人気だったことが露呈したのだ。

立憲民主党にとっても衝撃的な敗北だった。彼らはこの敗北を「共産党とタッグを組んだことが敗因だった」と総括した。

しかし実際は蓮舫氏のスタイルや、蓮舫氏の後ろ盾だった野田佳彦代表の増税イメージが敬遠されていたのだ。

その事実に向き合わないまま、立憲は都知事選敗北の責任を「共産」に転嫁したのである。

2. 突然の参院選出馬計画

「国政には戻らない」と語っていた蓮舫氏が、今夏の参院選比例代表で出馬するという報道に対し、ネット上では「結局、都知事選に落ちたら国政復帰する裏約束ができていたのか」との批判が相次いだ。

さらに、立憲民主党内からも「蓮舫は100万票を集めるかもしれないが、立憲全体の支持を200万票減らす」と懸念する声が上がっている。

彼女の政治スタイルは、熱狂的な支持を受ける一方で、アンチも多く、結果として党全体にプラスとはならないという分析だ。参院選では、もともとの立憲コア支持層の票を独り占めするだけで、無党派層の掘り起こしにはつながらないというわけだ。

蓮舫氏はかつて野田代表のグループに所属し、現在の党執行部との関係も深い。こうした背景から、「都知事選出馬の時点で、落選した場合は参院選出馬で国政復帰するシナリオができていたのではないか」との不信感も広がっている。

3. 立憲支持労組の反発と党内対立

意外にも、蓮舫氏の出馬に最も反発しているのは、立憲を支持する有力労組だ。

立憲民主党の比例代表には、地方公務員の自治労や教職員の組合(日教組)など6つの労組が組織内候補を擁立する方針だ。立憲は2019年の参院選では8議席、2022年は7議席を獲得し、そのうち4〜5議席は労組の候補者が占めてきた。

しかし、最近の立憲の支持率低迷を受け、次の参院選での比例議席は5〜6議席に減る可能性がある。そこへ蓮舫氏が参戦すれば、労組候補の当選枠を奪うことになり、彼らにとっては「迷惑」でしかない。

この状況により、野田執行部と労組との対立が激化する「内ゲバ」が勃発。党の求心力低下がさらに深刻化する要因となっている。

4. 立憲民主党の誤算と迷走

蓮舫氏擁立の動きが問題視される背景には、立憲執行部の「誤算」がある。

国民民主党が減税を掲げて急成長し、政党支持率で立憲を上回る現状は、実は昨年夏の東京都知事選から始まったといえる。現役世代や無党派層は、自民党の裏金問題に失望したが、増税イメージの強い立憲民主党にも期待せず、二大政党とは別の新たな選択肢を期待し、都知事選での石丸旋風につながった。

この流れは昨年秋の衆院選でも続き、減税を掲げる国民民主党が大躍進した。さらにはその直後の兵庫県知事選では、県議会に全会一致で不信任を決議され失職した斎藤元彦知事の大逆転勝利に発展したのである。

立憲は衆院選で議席を大きく増やしたが、これは「自民vs立憲」の一騎打ちとなる小選挙区で、消去法として選ばれた結果にすぎず、立憲そのものへの期待が高まったためではない。その証拠に、比例代表では前回より7万票しか増えなかった。

立憲民主党は財務省寄りの「増税派」とみられており、現役世代の支持を失いつつある。一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表やれいわ新選組の山本太郎代表は減税を掲げ、現役世代を中心に支持を広げている。

国民民主党の台頭で、「自民か、立憲か」という対決構図が「自民か、国民か」に変われば、立憲はますます埋没し、今夏の参院選では伸び悩む可能性が極めて高いだろう。

まとめ

蓮舫氏の参院選出馬の迷走は、立憲民主党の迷走そのものを映し出している。執行部は党の支持低迷の原因を正しく分析できておらず、蓮舫氏の擁立を進めることで、党内対立を深めている。

一方で、国民民主党は減税政策を掲げて躍進を続けており、現状のままでは、立憲民主党が野党第一党の座を失う日も近いかもしれない。

今回の蓮舫氏の出馬騒動を通じて、立憲民主党の行く末を改めて考える必要がある。果たして、同党はこの危機を乗り越えられるのか。それとも、自らの迷走によって衰退の道をたどるのか―今後の展開に注目したい。