都議会自民党に裏金疑惑が浮上している。政治資金パーティーのノルマ超過分をプールして政治資金収支報告書に収入を記載せず、裏金化していたという構図だ。自民党安倍派の裏金事件と全く同じ手口だ。
自民党都議は30人。1人当たり50枚100万円の販売ノルマを設定し、これを超える売り上げが裏金になっていた模様だ。
自民党都連には安倍派重鎮の萩生田光一氏や下村博文氏らが在籍していたため、裏金づくりの手法が共有されていた可能性がある。
東京地検特捜部はすでに刑事告発を受け、都議会自民党の関係者から聞き取りを進めていると報じられている。不十分とはいえ安倍派の裏金事件を立件した以上、都議会自民党だけを見逃すわけにはいかないだろう。来年も自民党はふたたび裏金捜査の直撃を受けて世論の批判を浴び続ける可能性がある。
来年6月には都議会議員選挙がある。今年夏の都知事選で躍進した石丸伸二氏が来年夏の都議選で地域政党を旗揚げする意向を表明している。都議会自民党の裏金事件に加え、「石丸ブーム」が再び過熱すれば、自民党はますますピンチだ。
都議選は7月の参院選の行方を左右する前哨戦としても位置付けられてきた。都議選だけではなく、参院選でも自民党は大逆風を浴びる可能性がある。
10月の衆院選で自公過半数割れしたのに続いて、参院選でも惨敗すれば、国会の勢力図は大きく変わり、日本政界は流転していくことになる。
この状況をひそかに歓迎しているのは、小池百合子都知事だろう。今年夏の都知事選で3選を果たしたものの、主役を石丸氏に奪われ、存在感は陰った。しかし、10月の衆院選で躍進した国民民主党とは親密な関係だ。公明党とも良好な関係を維持している。自民党がますます追い込まれ、国民民主党や公明党との連携をさらに強化していくほかない状況になれば、小池知事の国政復帰を期待する声が再燃するかもしれない。