政治を斬る!

SAMEJIMATIMES 2024年に読まれた記事『年間ランキング(前編)』10位〜4位発表! 能登半島地震にはじまり、大激動した政界の一年をランキングで振り返る

いよいよ2024年も大詰め。鮫島タイムス恒例の『今年の読まれた記事ベスト10』の発表です。

政界が激動した一年でした。岸田政権崩壊→自民党総裁選で石破政権誕生→解散総選挙で自公与党が過半数割れ→少数与党の石破政権発足。

政界の流動化は新年もさらに加速するでしょう。

7月の東京都知事選、10月の総選挙、11月の兵庫県知事選ではユーチューブの影響力が得票に直結し、テレビや新聞のオールドメディアの凋落を印象づけました。年の瀬には吉本の松本人志氏に続いて元SMAPの中居正広氏の性加害疑惑も浮上し、政界・芸能界・マスコミ界の闇が暴かれつつあります。

既存勢力が大きく崩れた2024年。サメタイの読者はどんなニュースに関心を示したのでしょうか。

前編は10位から4位まで発表です。

第10位 1月5日 能登半島地震による志賀原発へのダメージが次々に発覚

能登半島地震による志賀原発へのダメージが次々に発覚、政府や電力会社の隠蔽体質がくっきりと〜隠蔽体質が蔓延る地震大国に原発が立ち並ぶこと自体が安全保障上の最大の脅威だ

元旦の能登半島地震は衝撃でした。いまなお被災地の人々は元の暮らしに戻れていません。石破政権の無関心に批判が高まっています。

この地震では改めて原発事故の恐ろしさも痛感させられました。2011年の福島第一原発の事故を受けて運転停止中だった志賀原発(石川県志賀町)が外部から電源を受ける電気系統の一部が使えなくなったことでした。政府や経団連は再稼働を目指していましたが、再稼働していたらどんな事態になっていたか。

同じ能登半島ではかうて、震度7の震源地付近で「珠洲原発」の建設計画がありました。住民の反対運動で建設計画は撤回されましたが、もし珠洲原発が実現していたらと想像すると背筋が凍る思いです。

第9位 4月12日 小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃するもマスコミはまたスルー? 

小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃するもマスコミはまたスルー? ジャニーズ事件や木原誠二事件の反省なし、捜査当局が動くか、本人が認めない限り報道しないマスコミの深刻な病理

東京都知事を電撃辞任して4月の衆院東京15区補選に出馬し、国政復帰を果たして初の女性首相を目指す小池百合子氏の野望を打ち砕いたのが、学歴詐称疑惑の再燃でした。

小池氏は東京15区補選への出馬を断念し、代わりに作家の乙武洋匡氏を擁立したものの惨敗。都内の他の選挙でも敗北が続き、選挙に強い「小池神話」は崩壊しました。7月の都知事選三選に黄信号が点滅していたのです。

ところが、マスコミはまたもや学歴詐称疑惑をまともに報じませんでした。東京五輪や都心再開発などをめぐってマスコミ各社は小池都政とべったりなのです。

結局、小池知事は自公与党のステルス支援を受けて都知事選を逃げ切り、小池都政は継続することに。マスコミ不信が募る都知事選となりました。

第8位 4月9日 小池知事が擁立し、自民党が便乗する乙武氏から公明党と国民民主党が逃げ出した本当の理由

小池知事が擁立し、自民党が便乗する乙武氏から公明党と国民民主党が逃げ出した本当の理由〜混沌としてきた衆院東京15区補選は「6月解散阻止・岸田おろし」のはじまり!

第8位も小池百合子知事をめぐる記事です。選挙に強い「小池神話」が崩壊した背景には、公明党と国民民主党の「離反」があったという分析です。

公明党や国民民主党は小池都政を強く支えてきましたが、その一番の動機は小池知事の国政復帰を期待していたからでした。ところが小池知事は学歴詐称疑惑が再燃して4月の衆院東京15区補選への出馬を断念。国政復帰の可能性が消滅したことで、公明党や国民民主党は期待を裏切られた格好になりました。

それならば自民党(当時は岸田政権)との関係を強化した方がよいーー。そのような考え方から、公明党も国民民主党も自民党との激突を避け、小池知事とすこし距離を置いたのです。

その後、小池知事は都知事選で3選を果たし、岸田政権は崩壊。石破政権は総選挙に惨敗して自公与党は過半数を割り込み、国民民主党がキャスティングボートを握る政局になりました。公明党や国民民主党からは小池待望論が再燃する可能性もあります。

小池知事の野望はなお潰えていないのかもしれません。

第7位 7月2日 都知事選主要3候補の街頭演説をルポ

石丸伸二「政治家というよりユーチューバー」小池百合子「警察に守られた女帝」蓮舫「伸び悩んで小池批判解禁」…都知事選主要3候補の街頭演説をルポ

東京都知事選では、当選した小池百合子知事以上に、人気ユーチューバーである石丸伸二・前安芸高田市長の躍進に注目が集まりました。

マスコミ各社は立憲民主党が擁立した参院議員の蓮舫氏が小池知事に挑む「大物女性政治家の一騎打ち」として都知事選を報じ、当初を石丸氏を泡沫扱いしていましたが、石丸氏はユーチューブを中心としたSNSでぐんぐんと支持を広げ、蓋をあけてみると蓮舫氏を上回る160万票を獲得して2位に躍り出たのです。

ユーチューブでの影響力が実際の選挙の得票にここまで直結したのは、はじめてではないでしょうか。選挙のあり方が大きく変わり、マスコミの凋落を印象付ける選挙となりました。

その都知事選のリアルな街頭演説はどうだったのか。主要3候補の演説ルポが7位に食い込みました。都知事選への関心が非常に高まったことを物語っています。

第6位 7月5日 東京都知事選で小池百合子がこのまま逃げ切ればどうなるか?

東京都知事選で小池百合子がこのまま逃げ切ればどうなるか? 国政復帰はほぼ絶望的、一方で都庁の権力基盤は磐石となり「生涯知事」の可能性も

第6位も東京都知事選をめぐる記事です。

小池百合子知事は学歴詐称疑惑を抑え込み、自公のステルス支援を受けて組織票を固め、さらに反小池票が蓮舫氏と石丸氏に割れたことで逃げ切りました。事前の選挙情勢調査でも小池知事優勢が伝えられていました。

投票前に、このまま小池知事が逃げ切ったらどうなるのかを分析した記事に関心が集まりました。

第5位 12月15日 自民党総裁選のルールが党員投票重視に変更へ

自民党総裁選のルールが党員投票重視に変更へ 早ければ来春の石破首相退陣後の総裁選で適用も! 党員投票1位だった高市早苗氏は有利になるのか?

9月の自民党総裁選は9人が乱立する前代未聞に大激戦となりました。本命視された小泉進次郎氏は想定外の大失速となり、党内基盤が脆弱ながら党員人気の高い高市早苗氏と石破茂氏が決選投票へ進みました。

国会議員の368票と都道府県連の各一票(計47票・それぞれ党員投票が多かった候補に投票)による決選投票では、党員投票1位だった高市氏が石破氏に逆転負け。これに高市支持の党員から批判が高まりました。

石破執行部は批判を受けて決選投票で党員投票の比重を高めるルール変更に乗り出しました。3月の党大会で決定する方針です。

自民党内では石破首相のままでは7月の参院選は戦えないとして、3月の予算成立後に首相交代を目論む動きがあります。石破首相が退陣すれば、国会議員だけの緊急の総裁選が行われるのが通例ですが、3月の党大会で総裁選ルールの変更が決まれば、7月の参院選にむけて党再建のためにも、新しいルールのもとで党員も参加する正規の総裁選を特別に行う可能性もあるでしょう。

その場合、新ルールでは誰が有利になるのか。決選投票で敗れた高市氏は優勢になるのか。そのあたりの分析をまとめた記事が第5位になりました。

第4位 5月9日 市議会で「恥を知れ、恥を!」と叫んだ安芸高田市「石丸劇場」の行方

市議会で「恥を知れ、恥を!」と叫んだ安芸高田市「石丸劇場」の行方〜7月の市長選に出馬するのかしないのか?超有名インフルエンサーの市長が5月10日に態度を表明すると事前予告

広島県安芸高田市で市議会と激突し、その様子を動画で配信してユーチューブの世界では一躍有名になっていた石丸伸二市長。彼が安芸高田市長選に出馬せず、東京都知事選に出馬する可能性があることをいち早く報じたのがこの記事です。ほとんどのマスコミが石丸氏をスルーしていた時でした。

石丸氏の安芸高田市政の実像をもっと早くマスコミが検証していれば、都知事選での石丸現象は起きなかったかもしれません。都知事選は小池vs蓮舫の枠組みでしか報じないマスコミに対する不信感が、第三の候補である石丸氏への期待を過剰に高め、石丸氏の実像をよく知らないまま多くの都民が石丸氏に投票する結果となりました。それは11月の兵庫県知事選にもあてはまる現象といえるでしょう。

石丸現象は、地方政界を含め、政治の新しい動きを先取り捨て報じることを重要性を再認識させる事象となりました。


明日の後編では3位〜1位を発表します。

2024年に刊行した拙著は以下です。

政治の世界にうんざりのみなさま、そこからすこしは抜けだすさわやかなヒントをご提供いたしますーー那須の小さな出版社が手作りで仕上げた新刊『あきらめない政治 ジャーナリズムからの政治入門』(鮫島浩著、聞き手/白崎一裕)が6月発売へ
新刊『政治家の収支』12月7日発売!「お金」でみると、スッとわかる!今までなかった政治学”超”入門!〜なぜ政治家はカネに貪欲なのか?表面的な批判だけでは政治家は変わらない!政治家の本音から「政治家の収支」の実像に迫る一冊!

鮫島タイムスYouTubeの2024総決算はこちら。

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