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小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃するもマスコミはまたスルー? ジャニーズ事件や木原誠二事件の反省なし、捜査当局が動くか、本人が認めない限り報道しないマスコミの深刻な病理

小池百合子・東京都知事が前回知事選(2020年)の直前、カイロ大卒の学歴の詐称疑惑を打ち消すため、カイロ大学に卒業を証明する声明文を出してもらう「隠蔽工作」に動いたことを、元側近が実名で文藝春秋に暴露した。小池知事は文藝春秋に「回答する義務はなく、回答する必要性も存在しないと考えている」と代理人弁護士を通じて答えている。説明責任を果たさず、逃げまくる姿勢だ。

本来ならマスコミ各社が小池知事を追いかけ、説明責任を果たすように迫らなければならない。その役割を最も担っているのが、都庁記者クラブである。

都庁記者クラブにはテレビ新聞の社会部記者たちが所属している。この都庁記者クラブが小池知事べったりなのだ。

前回知事選でも学歴詐称疑惑をほぼスルーしていた。カイロ大が声明文を出すと、真偽を検証することなく、小池知事べったり報道を継続し、小池知事と一体化している姿を曝け出した。

今回の学歴詐称疑惑の再燃も、今のところ追及しているのは文春など週刊誌メディアやネットメディアだけ。テレビ新聞はスルーだ。

社会部というと反権力というイメージがあるが、実態はまったく違う。私の27年間の朝日新聞記者人生を通じて確信しているのは、社会部ほど自らが取材する相手(当局)に寄り添う記者集団はない。

警視庁、検察庁、国税庁という捜査機関を担当するのは社会部だ。人を逮捕したり、お金を取ったりする権力中の権力の役所を社会部が担当していることが、マスコミ腐敗の大きな要因のひとつである。

彼らは警察や検察、国税が捜査に動けば記事にするが、捜査に動かなければ記事にしない。その典型が、自民党の裏金事件だった。

大学教授が5派閥(安倍、麻生、茂木、岸田、二階)を刑事告発しても、赤旗が5派閥の裏金問題を記事にしても、無視していたのに、東京地検特捜部が3派閥(安倍、二階、岸田)だけ捜査に動くと、ただちに記事にしたのである。キングメーカーの麻生太郎副総裁が率いる麻生派や、麻生氏の覚えめでたい茂木敏充幹事長が率いる茂木派の不正は、検察が捜査しないという理由だけで記事化の対象から外すのだ。

もちろん検察当局は「最高権力者」である麻生氏にゴマをすっているだけだ。マスコミ社会部は検察当局が描くストーリーをリークしてもらって、そのとおりに世論を誘導する広報部隊に成り下がっているのは、つまるところ、最高権力者(麻生氏)の権力闘争に加担しているということに、社会部記者たちは気づいていない。

結局、東京地検特捜部が有力政治家の立件を見送っても、批判しない。検事総長に記者会見も求めない。まさに検察と一体化している。

警察取材も国税取材も皇室取材も同じである。

そしてもうひとつ、社会部の牙城は、東京都庁だ。

東京都はマスコミ各社の本社がある。大阪府・市を牛耳る維新を関西メディアが持ち上げてきたとの同じ構図がここにある。マスコミにとって東京都は巨大利権の現場だ。大手新聞社は東京五輪のスポンサーでもあった。東京都とはケンカしたくないのである。

文春砲が炸裂してもマスコミが動かない構図は、旧ジャニーズ事務所の性加害問題や、木原誠二事件と同じ構図である。

ジャニーズはBBCが報じて国際社会でも批判が高まり、クローバル企業が動き出してはじめてマスコミは動いた。木原事件は警察庁長官が事件性なしと表明したため、マスコミは完全無視した。

今回の小池知事の学歴詐称疑惑の再燃も無視するのか。

この問題を無視したままでは、今の政界で起きていること(衆院東京15区補選に小池知事が出馬を見送って乙武洋匡氏を擁立した経緯、公明党や国民民主党が乙武氏の推薦に慎重な理由、自民党が3補選全敗を避けるために乙武氏の推薦に動きながらも一転して見送り案が浮上している理由)を伝えることができない。それでもスルーし続けるつもりだろうか。

小池知事が世論に追い詰められて政界引退を表明してはじめて報道する…そんなみっともないことはやめてもらいたい。

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