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朝日新聞社がジャニーズ事務所のタレント起用を当面見送ると発表したが…これでは不十分!過去を検証して責任者を処分することなく信頼回復はできない

ジャニーズ事務所所属のタレントとの契約を打ち切る企業が相次いでいる。

国際社会では未成年者に対する性加害への目は日本国内よりもはるかに厳しく、グローバル企業にとってジャニーズ事務所所属のタレントを広告で起用することは国際的評判を失墜させる巨大リスクとなってきたからだ。

一方、テレビ局の「脱ジャニーズ」の動きは極めて鈍い。これはテレビ局が「日本語の壁」と「政府の規制」に守られ、国際的評判を気にしなくても利益を出せる内向き企業であることを映し出している。

そうしたなかで、朝日新聞社がジャニーズ事務所所属のタレントについて「新規契約は当面見合わせる」と発表した。国内世論の反発や経済界の急な動きに押されてようやく動いたということだろう。

週刊誌AERAの表紙をはじめ、朝日新聞社グループもジャニーズ事務所のタレントを大々的に起用してきた。一方で、週刊誌が報じてきた性加害問題には蓋をし、ほとんど報道してこなかったのである。

ジャニーズ事務所所属のタレントの起用を「当面見合わせる」「事務所の今後の対応を注視する」という表現にはあいまいな部分も残る。朝日新聞の対応はまだまだ不十分だ。

以下、ふたつの課題を指摘したい。

ひとつは、タレントの起用を当面見合わせるだけではなく、これまで性加害問題があることを知りながら、なぜ報道せず黙殺してきたのか、そればかりか、なぜジャニーズ事務所所属のタレントを大量起用してきたのか、その経緯を社内調査して検証し、公表しなければならない。

そのうえに、性加害問題を報じることを制したり、それに蓋をして広告などに起用することを主導してきた当時の責任者を遡って処分し、ケジメをつけるべきだ。

そこまでしなければ、朝日新聞の信頼は回復できない。

もうひとつは、テレビ朝日との関係だ。

ジャニーズ事務所との密接な関係という点では、テレビ朝日は朝日新聞社をはるかに上回る。テレビ朝日は民放各社のなかでもジャニーズ事務所に近いと指摘されてきた。

朝日新聞社はテレビ朝日の大株主であり、相互に取締役を出し合う関係でもある。テレビ朝日に対し、企業ガバナンスの視点からジャニーズ事務所との関係について見直しを迫るべき立場にあるのだ。

朝日新聞社の中村史郎社長は今年6月、新聞協会会長に就任した。まずは自らの過去を徹底的に洗い出し、テレビ朝日にも改善を迫る。そしてマスコミ界全体の対応を促す。マスコミ界のリーダーを自任するのなら、まずは自らケジメをつけ、業界全体をリードする責務がある。

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