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坂本龍一の遺志を継げ!百年以上かけて守り続けた貴重な樹々を切らないで〜最後の訴えを黙殺した伐採女帝小池百合子はあなたの身近でも樹木を切り倒している!新連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(1)

世界的に著名な音楽家の坂本龍一さんが亡くなった。

闘病生活を続ける3月上旬、最後の力を振り絞って、3000本以上の樹木を切り倒す明治神宮外苑地区の再開発を見直すように訴える手紙を、東京都の小池百合子知事らに送った。東京新聞などで報じられたこの手紙は平和や文化を愛した坂本さんの「遺書」といえるかもしれない。一部を紹介しよう。

 目の前の経済的利益のために、先人が100年をかけて守り続けてきた貴重な樹々を犠牲にすべきではありません。私が住むニューヨークでは2007年、当時の市長が市内に100万本の木を植えるというプロジェクトをスタートさせました。追随するようにボストンやLAなどでも植林キャンペーンが進んでいます。(中略)

 これらの樹々を私たちが未来の子供たちへと手渡せるよう、現在進められている再開発計画を中断し、見直すべきです。東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導することこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。あなたのリーダーシップに期待します。

小池知事はこの手紙を黙殺した。自らが再開発事業の許認可権を握り、都内の環境や自然を守る責任を担っていることを棚上げし、「事業者の明治神宮にも手紙を送られた方がいいんじゃないでしょうか」と記者会見で述べ、坂本さんの渾身の訴えを突き放したのである。

環境大臣を務めたことを売りにしながら、東京の歴史や都民のくらしに根付いた環境遺産・文化遺産である都心の樹々を次々に切り倒していく小池知事を「伐採女帝」と批判する声がSNSで広まった。テレビや新聞の主要メディアの多くがこの問題に目を塞ぐなかで反対運動は広がりを見せている。

私も一週間の政治をランキング形式で振り返る日曜夜恒例のYouTube番組『ダメダメTOP10』の第一位に小池知事を決定し、伐採女帝に事業中止を訴えた。

坂本さんは小池知事に加え、永岡桂子文部科学相、都倉俊一文化庁長官、吉住健一新宿区長、武井雅昭港区長にも手紙を送った。文部科学省も都庁も区役所もそれを黙殺した点で同罪である。

樹々の伐採に反対する多くの人々の声を無視して、3月下旬に明治神宮外苑の再開発事業は着工された。坂本さんはそのニュースを病床で知ったことだろう。どのような思いで受け止めたのだろうか。

政財官界による明治神宮外苑の環境・文化遺産の破壊が始まった3月下旬、私は久々に訪れた東京都港区の有栖川宮記念公園で驚くべき光景を目の当たりにした。樹木が立ち並んで緑に覆われていた公園の一角がガランと開け、切り倒されたばかりの大木が転がっていたのである。

大量の樹木を伐採する再開発計画は明治神宮外苑ばかりではなく、葛西臨海公園や芝公園、日比谷公園など都内各地で進行していることを、私はSNSで知っていた(都民の暮らしに直結するこのような重大ニュースをテレビや新聞はほとんど報じない)。ついに私が暮らす街にもその波が押し寄せたのかと衝撃を受けたのである。

私はしばしば散歩に訪れる有栖川宮記念公園を管轄しているのは誰なのか、恥ずかしながら知らなかった。公園内には都立中央図書館があるため、東京都の所管だと思っていた。公園事務所に駆けつけて尋ねると、管轄しているのは港区であることがわかった。

明治神宮外苑の再開発も東京都や港区は行政責任者である。多くの人々が明治神宮外苑の樹々を守るために立ち上がっている。だが、切り倒されるのは明治神宮外苑だけではない。坂本龍一さんの手紙を黙殺した小池知事や武井港区長の手によって、あちこちで樹々がなぎ倒されているのだ。

私は自らがたびたび散歩に訪れる有栖川宮記念公園の伐採について徹底的に調べ、港区に対して見直しを迫ろうと思った。切り倒された樹木は元には戻らない。けれどもこれ以上の環境破壊・文化破壊を食い止めることはできるかもしれない。

有栖川宮記念公園の樹木伐採を発注したのは、港区まちづくり課だった。私はさっそく電話で取材を申し込み、3月31日に港区麻布地区総合支所を訪れ、課長以下担当者3人と面会した。

都民や区民の憩いの場である有栖川宮記念公園ではすでに、高さ3メートル以上の樹木が102本、低木をあわせると328本が切り倒されていた。港区の武井区長が事業を申請し、東京都の小池知事が認可していた。新年度以降も伐採は続くという。

港区は公園周辺で工事の説明会を告知する1500枚のチラシを配っただけで、都民や区民に周知することのないまま、300本以上の樹々を勝手に切り倒していたのである。そしてこれからも一方的に伐採を続けようとしている。

長い歳月を重ねて大きく育った樹木はなぜその命を奪われなければならなかったのか。

私たちの憩いの場はなぜ破壊されなければならなかったのか。

都庁や区役所による破壊行為を止めることはできないのか。

有栖川宮記念公園の樹木伐採の裏側について、鮫島タイムスは徹底的に調べ上げ、取材と同時進行で随時、連載形式で紹介していく。都民・区民不在で進む環境破壊・文化破壊に対し、小池知事や武井区長の政治責任を徹底的に追及するつもりだ。

読者の皆さんも身近な場所で大切な樹木が切り倒されていないのか、ぜひ目を凝らしてほしい。そして、行政に対して声をあげてほしい。折しも統一地方選の最中である。議会選挙の候補者たちに樹木伐採についての見解を問うのも効果的であろう。

とにかく声をあげよう。それが坂本龍一さんの遺志を受け継ぐということである。

昭和21年(77年前)の都市計画のままに樹木を切り倒していく東京都と港区の時代錯誤〜『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(2)

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