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こちらアイスランド(176)噴火があったよ&世界のハイカーが憧れるスコウガフォス(滝)上流のハイキングコースは滝、滝、滝で滝だらけ!

噴火メモ:2024年5月29日午後12時47分、アイスランドはレイキャネス半島Sundhnukurgigar噴火。マグマが溜まり続け、20万立方メートルがスベルステンギのエリアに蓄積されたため、15万立方メートルに達した頃からずっと、「間も無く噴火する」とアナウンスされていた。予測は難しいとはいえ、噴火するする詐欺のようになっていた。

ちなみに、前回の噴火の収束宣言は5月9日だった。去年までは、終息宣言は噴火が地表から見えなくなった半年後だったのに、いつから数日後になったんだぁ??



噴火前に以下を書いていたので、噴火情報はおまけです。

それでは改めて以下をどうぞ!


アイスランドの南海岸は滝の名所として知られる。その中でもスコウガフォス(Skógafoss)は幅25m落差60mの雄々しさで人気が高い。ビルに例えるなら20階建に相当するらしく、豊かな水量が激しく流れ落ちる姿は雄大としか言いようがない。

有名なのは滝だけではない。といっても、普通の観光客は滝を見てお終いになるけれど、ここは世界中のハイカーが憧れるフィムヴゥルズハゥルス(Fimmvörðuháls)というハイキングルートがある。

これはスコウガフォスのあるスコゥガ川(Skógá)の東側を歩き、ミルダルスヨークトルとエイヤフャットラヨークトルという二つの氷河の間を抜ける22キロの風光明媚なルートだ。到達するのはソゥルスムルク(Þórsmörk)という渓谷になる。

ソゥルスムルクのバゥサル(Básar)というキャンプ場には泊まったことがあるし、もちろんスコゥガフォスには何度も行っている。けれど、さすがに22キロの道は歩いたことがない。

とはいえ、興味は以前から持っていたので、スコウガ川の上流の、フィムヴゥルズハゥルスのさわりの部分を少しだけ辿ったことはあった。

その時に撮ったのが、「こちらアイスランド」初回で使ったアイキャッチの写真だった。

その後、滝まで来てもなかなか川沿いを歩くチャンスがなく、5月中旬の週末、やっとさわりの2.5キロを歩くことができた。

22キロ中の2.5キロは笑い草ではあるけれど、これがまさに絶景続きの道で、これはぜひ紹介したいと思ったのだ。

ちなみに、この時期になると山道がオープンはまだかとウズウズする。

ジープ乗りにはちょうど今頃が一番辛い時期で、山道がすべて「通行禁止」となる。これは絶対に通ってはいけない、閉鎖という意味で、走るのは違法行為になる。ところが冬は多くの山道が「通行不能」とされており、自己責任で通ることはできる。走るのは合法ではあるけれど、道路公団が整備したり点検したり責任を持ってくれる時期ではないため、通行はお勧めできない。

5月中旬は山道が全滅で閉鎖されている。行く場所に困り(?)、思いついたのが「そうだ、フィムヴゥルズハゥルスを歩こう!」だった。

22キロの道のりでどこが一番の難関なのか?全行程歩いたことがないので、私はわからない。けれど、2.5キロまでのところまでで言えば、一番辛いのはスコゥガフォスが流れ落ちるところが見られる展望台への階段だった。

これが一番疲れる、辛い。老いも若いも、誰もがハーハー、ヒーヒー言いながら進むのがここだ。私がジム通いをしていて、一番調子が良かった時で所要時間7-8分。今回は運動不足でひどく疲れる上、3分の2まで登ったところで低血糖に陥り坐り込んでしまった。

持参したチョコレートを口にすると秒速で復活したけれど、みなさん、低血糖には気をつけましょう。しっかり食べてから階段は登りましょう。トホホ。

一旦登り切ればこっちのもの。あとは、これほどキツい場所はなかった。ただし、急な登り下りがない訳ではないので、それなりに気をつけて歩く必要は時々あった。

スコゥガフォスを後にしてフィムヴゥルズハゥルスのルートを進むと、500メートルと歩かないうちに、またひとつ滝が現れる。ここからはもう滝、滝、滝の応酬だ。数歩ほど進めば目の前の景色が見事に変化する。歩いていてまったく飽きることがない。

人がわんさか居る展望台から100メートルも歩かない場所にあるのがこのヘスタヴァズスフォスだ。

落差が激しい滝ではないけれど、幅は広く、二段重ねの滝だ。上から見ると滝のそばにハイキングルートがあった。前述のように私は空腹で低血糖になってしまったため、ここで持参した昼食を取ることにした。

なんということはない、ただのサンドイッチだけれど、物価の高いアイスランドなので、持参すれば時間も経済的にも節約になる。最近はもっぱらコーヒーもサンドイッチも全部持参している。

数百メートル歩くと、今度はフォストルフフォスが現れる。歩いてきた道の側には最初に出した写真と同じ山が別角度で見えるので、位置関係はそれで想像がつくだろうか。

この日の天気は万全ではなかったものの、晴れている時間帯や地域を狙って行っているので、滝の水は常に太陽光が当たって美しかった。氷河の水は濁っていることで知られるけれど、この川の水は透明感が高く、滝の水飛沫はどこまでも白く輝き美しかった。

次に現れるのはステインボガフォスだ。たぶん感のいい読者はお気づきかもしれないが、滝の名前の最後にやたらフォスという言葉が出てくる。これは単に「滝」というアイスランド語だ。時々「フォッサル」という言葉を見るかもしれない。それは滝が複数であるという意味だ。

ここらへんから少しエイヤフャットラヨークトル(氷河)が見えてくる。ん?それともミルダルスヨークトル(氷河)か?この川が蛇行する向きにより、どちらの氷河が見えてもおかしくない位置関係だ。

彼の言葉を受け売りにすれば、エイヤフャットラヨークトルだけど、うーん、どちらなんだろう?

滝のような流れではあるけれど、滝ほど落差のない流れをフルーディルと呼ぶ。これはかなり大きなフルーディルで、水の波紋が美しかった。ここからは少しだけ起伏のある川沿いの細い道を通る。

雨がふるとすぐにぬかるむような場所は、ボランティアのおかげで道が荒れないようにきちんと処理がなされている。人気の高いハイキングルートだけあり、こういう点はとてもありがたい。

ここからは少しの間、ハイキングポールを持って行ってよかったと思えるゴツゴツ石の場所や、ルートが崖の方に崩れ落ちてしまった場所などを通る。ひどく危険ではないけれど、ある程度厳しい場所を通る自信がないと怖いかもしれない。というか、話はすこ〜〜しだけ怖かった。

このルートには当たり前にトイレはない。途中にあるキャンプ小屋には一応トイレがあるようだけれど、水はないので、推してしるべしの状態。そんな時はどこで用を足すのか?そんなことは尋ねなくてもわかりそうなものだ。そこらへんでする。それだけ。もちろん、ゴミは持ち帰るのがマナー。

ありがたいことに、ずっと道沿いで見晴らしがよかったが、ここにきて少し窪みやら細い水の通り道があり、隠れられる場所があった。

川沿いといっても素直に水がスルーっと通っているだけではない。かなり岩ゴツゴツで、日本ならすぐに奇岩!ということで有名になりそうな奇抜な造形も多い。

次はフレムリ・フェットルスフォスと、背後に見えるのがインリ・フェットルフォスだ。それほどまだ歩いていないけれど、ずいぶんと川沿いの景色を楽しんだ。夕方が迫ると雨模様になる予報であるため、この辺で引き返そうと思っていた。

けれど、少しまた歩けばまたまた滝があることが判明。もう少し、もう少しと言いながら予定よりもずっと長い時間を費やしてきた。当初は一時間くらい川沿いを歩く程度だった。それがもう3時間近くになる。それだけ魅力的な道中が続いた。

次の滝はロットルトルフフォス(Rollutorfufoss)だ。舌をかみそうな名前!少し上り坂だけど、100メートルも歩けばもう一つ滝があるので、そこまで進むことにした。

「もう少し、もう少しと、これでもう少しの滝が三箇所目だかんね!ここで打ち止め!」と彼に釘を刺した。

「少しだけ」といってもどーせ長くなるんだろうとは思っていたので、まったくの想定内だ。こういうのが想定内でないのは、「少しだけ」の言い出しっぺである彼自身だ。ーーーおっと、こういう類の内輪話はもう止めようと思ってたのに、書いてしまった(笑)。

そうしてたどり着いたのが、下のツイートの滝だ。

彼は目の前に見えている小高い部分を抜けるといかなる景色が広がるかが知りたいという。私はここで打ち止め宣言をしたので、こうして滝の前に陣取り、しばしボケーっとした。

帰路の2.5キロも、少しだけ立ち止まっては写真を撮ったが、割合サッサと歩いていった。所要時間は行きの半分で一時間半。彼の胸算用では2時間程度の滞在予定が、5時間を経過していた。

本格的に22キロを制覇しようとは思わないが、あと200メートルも歩けばまた二つほど滝があったようだ。その後は少し風景が変化するという。次回は午前中から歩き始めて、片道5キロくらい歩いても悪くないかもと思っている。

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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