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本屋大賞に『朝日新聞政治部』がノミネート!書店に配るポスター用の直筆メッセージはiPad Proで

全国の書店員の皆さんが投票して選ぶ「本屋大賞」に、私の新刊『朝日新聞政治部』がノミネートされた。書籍にはさまざまな賞があるけれども、本屋さんの最前線に立つ方々に選ばれるのはひときわうれしい。

一次投票で選ばれた上位6作品は、『朝日新聞政治部』(鮫島浩著、講談社)、『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著、文藝春秋)、『さよなら、野口健』(小林元喜著、集英社インターナショナル)、『ソ連兵へ差し出された娘たち』平井美帆著、集英社)、『妻はサバイバー』(永田豊隆著、朝日新聞出版)、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(川内 有緒著、集英社インターナショナル)。

9月20日 まで二次投票を行い、一次投票を行った書店員がノミネート全作品を読んだ上で、各自おすすめの3作品に投票するという。

講談社の山中武史さんから「鮫島さんから読者への直筆メッセージ入りのポスターをつくって書店に配りたい」と依頼があったのは8月上旬だった。担当編集者が『朝日新聞政治部』のアピールに全力を尽くしてくれるのはありがたい。

山中さんとはしばらく会う予定はなかった。そこで「マジックで紙に書いたものをスキャンしてPDF化し、メールで送付してほしい。できるだけ早い方がありがたい」という。

会社勤めの時はオフィスのコピー機でスキャンすれば事足りた。しかし私は今、自宅で仕事をしている。残念ながらスキャンできる機材は自宅になく、近くのコンビニへ行かねばならない。外は猛暑だ。おっくうだ。

発売直後に本屋さんを挨拶回りした時は色紙にマジックでサインして歩いた。それは趣があって楽しかったが、自宅でマジックで紙に書いたものをスキャンしてメールで送るというのは何とも味気がない。しかも、あまりに前時代的ではないか。

そこで購入したばかりの最新機器を使うことにした。iPad Proだ。Keynoteという無料アプリを立ち上げ、専用のペンを使ってタッチパネルにそのまま書き込めば、手書きの文字がそのまま電子化される。ペンの太さや色も自由自在。何より書き心地が本物のペンよりはるかに良い。失敗してもすぐに消して書き直せる。

さっそくメッセージを書き込んでみた。

こんな感じでいいのかな。なかなかいいのではないかな。

半信半疑で山中さんにメールで送ると、「おお、バッチリですね! 素晴らしいです」と一発OKが出た。よかった。これで猛暑の中、コンビニへスキャンに走る必要はなくなった。

私はユーチューブ動画で使うフリップの作成でも、iPad Pro を積極活用している。そればかりか、動画収録前に構想を得る際も最近はKeynoteでコンテを作成している。写真や動画、グラフもすぐに貼り付けられるし、活字で大枠を書いておいて大事なところは後から手書きで加えると、とても見やすい。

たとえば、こんな感じ。

これは便利。いい買い物だった。

大学でも本物のノートの代わりにiPad Proを授業に持ち込み、Keynoteに講義内容を書き込む学生が増えているそうだ。これだと友達に一斉送信するかクラウド管理すれば、みんなで一瞬にして「ノート」を共有できる。試験前に友達からノートをかき集めて必死でコピーした30年前の私の大学生活からは夢のようである。

技術革新のスピードは実に早い。

私は新刊『朝日新聞政治部』サメジマタイムス連載『新聞記者やめます』で紹介したが、政治部デスクや特別報道部デスクだったころまでは資料作成をすべて部下に丸投げするダメ上司だった。おかげでパソコンでフォルダ作成もできないIT オンチだった。

そんな私が昨年、会社に退職届を提出した後、独学で自前のホームページを開設して、人工知能(AI)の助けを借りながら日々記事を更新しているのだから、技術革新は多くの人々の人生の可能性を拡げているのは間違いない。誰も雇わず事務所も借りずひとりで自宅で小さなメディアを運営できる時代になったのだ。

これに対し、巨大新聞社は編集局、販売局、広告局、制作局、広報部門、不動産部門、デジタル部門、管理部門…と巨大な分業組織である。編集局のなかでも、政治部、経済部、社会部、国際報道部、地域報道部、科学部、文化部、スポーツ部、整理部、校閲部…と細分化されている。さらに政治部のなかでも首相官邸クラブ、与党クラブ、野党クラブ、霞クラブ(外務省担当)…と縦割りなのだ。

その結果、例えば朝日新聞の社員は4000人以上に膨れ上がっている。それぞれは他部門の仕事の内容を知らないばかりか、しばしば縄張りを争って衝突し、実に無駄なエネルギーを費やしている。縦割りの弊害だ。巨大組織が内向き思考を強め、活力を失っていく最大の原因だろう。

ものすごいスピードで進む技術革新の結果、取材、編集、宣伝、管理までAIの力を借りればひとりで小さなメディアを運営できる時代になった。内向きな浪費を重ねる巨大新聞社と比べ、たったひとりの小さなメディアは効率がはるかに良い。十分に太刀打ちできるというのがこの一年半、サメジマタイムスを運営してきた私の実感である。

巨大新聞社の内向きで無駄な組織運営の実態についても『朝日新聞政治部』では生々しく描いているのでぜひご覧いただきたい。

本屋大賞に話を戻そう。

さて、私が担当編集者の山中さんに送った直筆のメッセージは、次のようなポスターとして完成した。全国各地の本屋さんでご覧いただければ、右下の直筆メッセージにご注目を!

8月20日の朝日新聞朝刊にも本屋大賞ノミネートを紹介する広告が掲載された。コメントを寄せていただいた紀伊國屋書店新宿本店の東二町順也さん、丸善日本橋店の葛目麻子さん、ジュンク堂書店池袋本店の高木峻さん、ありがとうございます!