11月末に一時帰国して以来、コロナにも負けず、心の中で少しばかり自粛しながらも、会いたい人にはしっかりと会ってきた。その中でも格別だったのが鮫島さんご夫妻との楽しい出会いや、ン10年ぶりにじっくり話をした湯川れい子さんとの会食で、それはサメタイでお裾分け済み。
今回の「こちらアイスランド」は2年ぶりに体験するアメージング・ニッポン集!
当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなった日本のあれこれ。日本に50年以上住んでた日本人が、日本の日常をどう見るかという、まるで外人の日本見聞記?
<郵便・宅配の配達!>
アイスランドが特殊なのか日本が特殊なのかと言えば、たぶん後者だ。過去に不祥事がなかった訳ではないとはいえ、日本の郵便・宅配便等のデリバリーの迅速、確実、正確なこと!
書き出せばキリがないとはいえ、まずは時間に正確!これはしっかりと機能するシステムと、任務に忠実かつ責任感のある配達の方々に感謝&脱帽。
アイスランドと比べても意味がないけど、一応お知らせしておけば、たとえば郵便物。アイスランドでは手紙や葉書等、小さな郵便受けの口に入るものは届けてくれる。けれど、少し大きめでも「それって郵便受けに入るじゃん」というブツであっても、お知らせが入り近くの郵便局に取りにいくというのが基本。取りに行って受け取るだけならまだいいけれど、なぜかしっかり関税がかけられ、税関を通した場合の基本料金(700円くらい)プラス、物品代金と郵送料を合わせた金額の約25%が加算される。なので、たとえ中国から送料込みで100円程度のものを買っても、1000円くらい税金として取られるため、よほどのことがないと何も国外から取り寄せたくない。
ん?今回は簡単にサラっとと思っていたのに、この話になると頭にきて文章が長くなる(笑)。私の彼はおせんべいが大好きだ。それもデパートで売ってる高いやつではなく、スーパーで150円くらいで安売りされてる、いろんな種類のおせんべいが小袋に入ってるやつが大好きだ。なので私はそれを10袋くらい入れて、ギフトとして送った。中身の代金1500円、送料が3000円だったかな。
ギフトだ、贈り物である。なのに、贈り物には当たらないとしっかりと関税がかけられて、彼は1500円ほど払わされたそうだ。で、贈り物に関税はないだろうと、いちゃもんをつけたところ、「食料品はギフトにはならない」と言われたとか。そんなこと、どこにも書いてないのに?!
なぜ食品が贈り物にならないのか、その理由を彼は問い詰めたらしいが、「そういう風なんで〜」という曖昧な答えしか戻ってこなかった。詰め寄ることもできるが、早くお煎餅は食べたい。なので、仕方なく関税を払ってもらってきたとか。そうして中身1500円の日本のせんべいは総額6千円の品物に化けたのでした。
それに比べて日本の郵便。少額であれば関税はかからないし、なにせ親切!郵便受けに突っ込んでおけばいいものを、少しでも大きいと、ピンポンして手渡してくれる。有難うございます。心遣いに頭が下がります!
ピンポンしても出てこないと、お知らせが入っていて、再配達を時間指定付きで頼めるって天国でしょうか?
アイスランドの場合、お知らせが入っていればもちろん取りに行けるけれど、なぜかこのお知らせが漏れる場合も多々あり、「あのブツが届くべきなのだが・・・」と、自ら調べてみると、お知らせが入っていないまま保管され、保管期限を過ぎているからと保管料金をごっそりと巻き上げられる。
誤配も結構あり、それでも国民みな兄弟なので、誤配された人が正しい配達相手を探して、直接渡すことも多い。ま、それはそれで美談とはいえるけど、配達員のいい加減さには、ほとほと悩まされる。だから、日本のようにノホホンとして郵便物を待っていられない。こちらが正しく動かなければ、郵便物は届かないものと思え、と緊張が強いられる。
誤配や連絡漏れは以前ほどひどくはないとはいえ、アイスランドの郵便事情は日本の・・・・足元にも及ばない。
郵送料も日本の2-3倍はする。日本だと、安い料金で同じようなサービスを選ぶことが可能だけれど、アイスランドではそんな細かな料金体系はなく、普通に高いか、それ以上に高い料金しかない。ブリブリ。
<包装!>
日本の細やかな包装文化。以前から過剰だと感じても慣習だからと納得していたものが、今年はなんだか許容し難い。ん?それって歳とってガンコになったってこと?!
日本は過剰包装天国だ。行き過ぎていると思う。パッケージがきれいな方が売れるのかもしれないが、ゴミが多く、中身が少なく、実質的にどうなの?と疑問に思う製品が多い。特に食品がそうかな・・・。
いただき物はきれいな方がうれしいけれど、過剰に中身を大きく見せるような箱入りや包装は、やはり疑問が残る。
その点、アイスランドは実質的に及ばないほど簡易だ。
例えばパン屋。日本では、一個ずつビニールに入れてくれるけど、アイスランドはワイルドだ。紙の袋に有無を言わせずブツを突っ込み、ホイと渡される。レジ袋云々が言われる前から、レジ袋などない。パン屋はまだ紙の袋に入れてくれるからいい方で、個人商店では会計の後、そのまま「ホイ持ってけ」と言わんばかりだ。「なんか袋ないっすかね?」と尋ねると、一度使った風情のあるリサイクル袋をくれることもあれば、「ごめん、無いわ」ということも。さすがに土産物屋はビニールに入れてくれるようになったけれど、「小分け用の袋」など付いてくる訳がない。
でも、私はそれでいいと思っているし、その方がいいとも感じる。個別包装は見た目もいいし、食品においては衛生上もいいのかもしれない。でも、でも、それでも、日本は包装しすぎじゃない?
<レジ袋>
スーパーのレジ袋は、アイスランドは20年前から有料だった。日本ではスーパーやコンビニのレジ袋が溜まり過ぎて、ゴミ袋に使っても余りに余っていた。その袋を捨てるのがとても忍びなかったため、極力レジ袋はもらわないようにしていたが、「テープでお願いします」のタイミングを逃すとガム一個でもレジ袋に入ってくる。
あれは丁寧を超えて事なかれ主義に陥っていた気がした。現在のように、「袋有料ですが」と声をかけなければいけないのは、業務が増えて気の毒ではあるけれど無駄な袋が来なくなって私はスッキリした。
で、アイスランド。レジ袋有料は以前からのこととはいえ、現在ではビニール袋禁止!つまりはレジに置いてあるのは紙袋だけ(エコバックは安く売ってる)。雨の時などはビニールの方がいいし、ゴミ用にビニール袋は欲しいので、廃止はやり過ぎかと思う。自分が使いたいからというより、物事なんでも極端に走るのはどうかと思う。紙は森林伐採につながるし、エコってあちらを立てればこちらが立たずで難しい。
<交通機関!>
日本の交通機関はどうしてこうも正確なんだろう?ありがたい!特に本数の多い山手線では、「到着が40秒ほど遅れています。お客様にはご迷惑をおかけして申し訳ありません」という、1分も遅れていない列車到着に関してのお詫びを聞いたことがある。仰天した・・・。
だいたい、なぜ謝らなくてはならないのだろうか?「到着が遅れた」とはいえ、のっぴきならない事情があったに違いない。例えばそれが信号機のところで起きた交通事故のせいであれば、交通機関とて被害者なのだ。交通機関以外でも、日本は「とにかく謝っておけ」がデフォルトのようで気になる(←これは自戒の念を込めて書いてる)。
時間通りに運行してくれないと困る!という急ぎの人も多い都会で、山手線の1分の遅れは大きいのかもしれない。けれど、そういう余裕のない社会が本当はおかしくないか?というのを考えてみてもいいのではと思ったりーーーあれれ、話がずれていくぞ。
包装や時間指定配達もそうだけど、丁寧すぎて、きちきちしすぎて、みんな苦しくないか?心に余裕があるからこその、丁寧な包装や、細かい気配りが、どうも形骸化しているように思うことがある。
あと、食品が驚くほど多彩で色鮮やかでという話は、以前ちらっと書いたままになっているので、横浜駅周辺の変貌に関してといっしょに、次回書けるかな。
小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。自己紹介コラムはこちら。