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こちらアイスランド(226)リサイクルとジャズが出会う町ーガルザバイル・ジャズ村の幸福な雑多さ〜小倉悠加

レイキャビクの隣町、ガルザバイルでここ数年ほど楽しい試みをしているのでご紹介したい。

日本は飛び石連休のゴールデンウィークの間、アイスランドでもミニミニ連休があった。5月1日のメーデーが金曜日、次に土日が来たので3連休。

アイスランドは暦の上では4月23日に夏が到来しているので、アイスランド人の心は「夏」というキーワードだけでウキウキ気味になる。

そんなところに三連休だ。あちこちでイベントが行われた。そんな中のひとつがレイキャビクの隣町ガルザバイルで行われたJazzþorpið(ジャズソルピヅ=ジャズ村)だ。ちなみにこの自治体の人口は2万人強だ。

このイベントを考えついた人は天才的だと思う。
アイスランドには誰もが分別ゴミや不用品を持ち込めるソルパというゴミ・不用品回収センターがある。そこで集められたものを再販するリサイクル・センター(Góði hirðirinn)もあり、このジャズ村はリサイクル・センターの商品を利用して会場が設置される。

どーゆーことかと言えば、客席は回収された不用品であり商品なのだ。当然、その場でその商品を買いとることもできる。

年代もののいい感じのソファやテーブルも多く、種類も色もバラエティに富んでいる。そんなソファやテーブルが客席にもなれば、休憩所にもなる。かつては各家庭で使われていた歴史を感じさせるものが多く、なかなかの趣を醸し出す。

商品のディスプレイでありながらも、自由に使えてなかなか楽しい。

ステージは大ステージと小ステージがあり、昼間は小ステージが使われ、夜は大ステージで大いに盛り上がる。とはいえ、私は昼間しか行かなかったけれど。

5月のアイスランドは暦の上では夏とはいえ、まだまだ寒い。なので室内のイベントはありがたい。

この日は天気もよかったせいか、会場は明るく暖かく、賑々しい雰囲気がすでに充満していた。天井には色も形も千差万別のバルーンが設られ、いやがおうにもお祭り気分が盛り上がる。

小さい子もたくさん来ている。無料イベントだから、家族全員、文字通り老若男女が気軽に集える場所となる。

それは西フィヨルドの無料音楽フェスよりも更に顕著だ。音楽フェスは立ち見なので、高齢者にはちーと辛い(って私自身も高齢者ですが)。ソファがあってゆっくり座れるから、お年寄りでも小さな子供連れでも敷居がぐっと低くなる。

飲食のブースから軽食を仕入れてゆっりしながらおしゃべりをしたり、ジャズを聴いたり。

こんなゆるい雰囲気なので、わさわさ、ガヤガヤしているため、本格的にジャズを鑑賞するという感じではない。適当に聴いたり、聞き流したりとなる。それでも、じっくりと耳を傾けている人は少なくないし、ミュージシャンもどのような場所かを理解しての演奏だ。楽しく過ごすバックグラウンド・ミュージックの扱いでも何の問題もない。

ジャズに関してはアイスランド的には一流どころが目白押しだった。私は二日間で3組しか聞かなかったとはいえ、各アーティストともに内容は悪くなかった。

音楽を聴く場としては100点ではない。けれど、ジャズだからと頭でっかちになり、神妙な顔をして静寂を強いられて聞くよりも、こういうゆるい設定で生の音楽に親しむのは、絶対的にいいことだと私は思っている。

以下のツイートの動画を見てほしい。ステージ前の最前列で女性二人が裁縫と編み物をしている。勝手気ままにしていいのだ。こういう雰囲気が最高ではないか!

この他には子供のお絵描きコーナーなどもあり、小さい子を飽きさせず大人も楽しめる場に仕立てたいという主催者の心意気が感じられた。

骨董市のコーナーでは、前回いい感じの布製のランプシェードに目をつけ迷っていると、次に通りかかると売れて姿を決していたことを思い出した。今回は素敵なシャンパングラスが300円程度であったけれど、我が家では出番がないかぁーーと思っていると、翌日にはやはり売れてなくなっていた。貝殻型のようなアールデコ調の鏡とかも魅力的だった。

たまたま座ったソファも座り心地がよく、古き良き時代が匂い立つ布張りで、置く場所があれば買いたかった。

というような骨董品市はなかなか面白い。けれど、家具は増やせば増やすだけ家の中が狭くなるので、必需品以外は買わない増やさないを基本としている。

で、ジャズはどうだったって?!よかったですよ。特にドラムスとビンテージのキーボードのコンビは面白かった。日本で演奏したらかなりコアな音楽ファンがやってきそうな内容だった。

ミュージシャンも中堅どころからベテランのプロなので、子供だから、お年寄りだからといって容赦のない内容。子供は勝手に遊んでるし、ミュージシャンはガチで小難しい演奏してるし、同居なのか棲み分けなのかわからないけど、それぞれに真剣にやっているのでよし、じゃない?!

中古レコードも置いてあった

日本は良くも悪くも物事をカテゴリー・ジャンル分して、きっちりとやりたがる傾向があるような気がする。子供のイベントだから、音楽イベントだからと、美しくまとめがちな気がする。

このイベントは、ジャズ・フェス的な要素を全面に謳いながらも、実際は休日を楽しく過ごす口実として使っているだけに見えた。ただそれは、私が夜の部を見なかったせいもあるかと思う。とにかく、懐が深いイベントだなぁと思ったのでした。

小倉悠加(おぐらゆうか)
東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド在住。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。高校生の時から音楽業界に身を置き、音楽サイト制作を縁に2003年からアイスランドに関わる。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、社会の自由な空気に魅了され、子育て後に拠点を移す。休日は夫との秘境ドライブが楽しみ。愛車はジムニー。趣味は音楽(ピアノ)、食べ歩き、編み物。