政治を斬る!

オーストラリアから日本を思って(62)イランとの戦争裏で繰り広げられる、仁義なき戦い 世界大変~今滝美紀

このコラムを書き始めた火曜日 TACO Tuesday という揶揄が、SNSのタイムラインで、賑わっていました。

“ TACO ”は Trump Always Chicken Out  の略で、強行的、脅迫的な通知後、それを撤回することを指します。「トランプはまた、尻込みした」という意味で、ウォール街から生まれたそうです。

イランとの4月22日の停戦終了前には、「停戦は、延長しない」「合意に達しなければ、イランに爆撃するだろう」と脅迫的で、威勢のよい言葉を連発していました。トランプ氏は寸前で「パキスタンに頼まれたから」と、停戦を無期限で、延長しました。

イランのクリエーターは、「 TACO Tuesday」、「トランプはいつも火曜日に尻込みするんだ」というショート・レゴ・ビデオを投稿しました。「イランには、原爆はいらない、それより強力な武器がある」というコメントがついていました。

過激な発言を繰り返すトランプ氏。戦争を批判し、平和を訴えるローマ法王に対して「犯罪に弱腰で、外交政策も最悪だ」と応報し、メディアやSNSを通じてのバトルが繰り広げられました。

これらから主要メディアも、トランプ氏の精神状態について触れ始めました。

豪州ABC(NHK)のタングル記者は、「アメリカ大統領の精神状態という問題は、深夜トークショーの司会者の笑いのネタにされるだけでなく、徐々に真剣な議論の対象になりつつある」とトランプ氏に批判的な、ニューヨークタイムスの記事を紹介していました。(こちら参照) 

イランへの攻撃は、トランプ大統領の主張する、”核問題”でも、”米国への攻撃”でも、”自由や民主主義”ましてや”イランの人々を守る”ことは隠れ蓑であり、戦争が進むにつれ、本当の理由が明らかになっているようです。

点と点を繋ぎ合わせて、何が世界全体で起こっているのでしょうか?

読者の皆さんはどう思うでしょうか?

この2週間で前回書いたように、このイランへの戦争は、“世界支配”という一つのステップだと見えます。

米国からの制裁を嫌い、米ドル離れで、台頭してきた経済圏、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)。米国はそれらを、なぎ倒していくように、なりふり構わずベネズエラ、キューバ、イランに襲い掛かっているように見えます。

日本の主要メディア報道や人々の反応はどうでしょうか?

現在進行形の戦争

第3次世界大戦は、ウクライナ(米国と欧州・日本の支援)のロシアへの挑発と弱体化のために始まっていたようです。大まかに見ると

・現在進行 ロシア VS ウクライナ+(欧州・米国)

・第一次世界大戦から~現在進行 中東・西アジア(抵抗勢力)VS 米イスラエル+欧州諸国 

今後予想される展開

・中国紛争 VS 日本、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、豪州

この見方は、次のような日本政府の動きから英語圏や豪州のジャーナリストからの見方です。(こちら参照

その兆候として、次のような事があげられています。米国の動きに合わせて、次々と素早く軍事の拡大が行われていることが指摘されています。

①集団的自衛権行使の容認 

「日本国憲法違反だ」という非難がある、2014年に安倍政権で閣議決定された“集団的自衛権行使の容認”(政府解釈によれば「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」)

⓶殺傷兵器輸出

豪州ABC(NHK相当)は4月21日次のように報道しました。「数十年にわたる防衛輸出規制を見直し、高市早苗首相率いる政府は、数十年にわたる防衛輸出規制を見直し、日本が開発した殺傷能力のある兵器を国際的に販売できるようにした」

「日本の戦後平和主義政策からの転換が、世界的な緊張を高めるのではないかと懸念する声もある」

③新型軍艦契約

これに先立ち、4月18日、豪州マールズ防衛大臣と日本の小泉進次郎防衛大臣は、豪州メルボルンで、日本の巨大複合企業である三菱重工業の幹部らとともに、護衛艦「熊野」に乗艦し、軍艦の数千億円の協定締結をかわし祝った。これは、豪州で大きく報道されました。(こちら参照

ドイツとの競売で、豪州が日本を選んだのは、”対中戦略”での協力強化という意図かもしれません。また、世界的なミサイル不足の中、その製造に必要とされる希少鉱物(Critical minerals)を豪州から日本へ送り、その製造能力を日本で高め、同盟国へ送る。日本製の殺傷兵器は、パレスチナ・ガザ・イラク・レバノン・ロシアの人々へ向けて発射させられるかもしれないのではないか、と危惧されます。この予測が外れ、杞憂に終わる展開になって欲しいと思います。

ジョンストンさんの次のような指摘もあります。世界大戦中には、英米豪州は、日本を抑えるために中国と同盟を組んでいました。日本と中国の位置が逆転して、中国脅威論(ロシア・イラン脅威論と同様に)が流布され、紛争が演出されている。一方でビジネスでは、豪州は中国と貿易総額約25%(日本との2倍以上)を占め依存してるにも関わらずです。これは国益に反する軍事行動に見えます。(こちら参照

海賊国家へ~エネルギー戦争

米国と中東を専門にするジャーナリストのメドハーストさんのレポート“The Petro・Gas-Dollar: The Secret US Strategy Behind the Iran War 石油ガス・ダラー:イラン戦争の裏側にある米国の戦略”(こちら)をもとに見ていきたいと思います。イランへの戦争裏で同時に、海でのエネルギー戦争が繰り広げられているというのです。

日本が第二次世界大戦を起した原因とされるABCD包囲網(アメリカ・英国・中国・オランダ)がありました。この経済制裁(石油・鉄の輸出禁止や海洋封鎖など)により日本は窮地におちいりました。同時期、石油を主に輸入していた米国からも、輸出を止められました。

現在の日本は、中東からの石油が途絶えつつ、資源が必要にもかかわらず、ロシアと中国とも関係が悪化しています。石油をアメリカに頼らなくてはいけない、弱い立場におかれているのでは、ないでしょうか。

①エネルギー封鎖

ホルムズ海峡 

米イスラエルからの攻撃により自衛のために、イラン領海のホルムズ海峡を管理すること宣言しました。トランプ大統領は、その解放を要求しました。しかし今度は米国がホルムズ海峡を封鎖するとし、世界にエネルギー・資源不足をさらに起こしています。

石油・ガス施設・タンカーへの攻撃や事故

イランへの攻撃前後にも、偶然とは思えないほど、2026年2月以降、世界各地、特に中東とロシアにおいて、多数の石油・ガス施設が事故や攻撃の標的となり供給が滞っています。(こちら参照

最近でもオーストラリアとパキスタン、米国でもの事故が起こっています。液体ガスにおいては、豪州・カタール・イランは世界最大級のガス田をもちますが。カタール・イランの共同ガス田は、3月中旬にイスラエルに攻撃されました。3月下旬、豪州のガス田は、サイクロンにより大打撃を受けました。これは、気象操作ではないか、という意見もあります。その上、制裁で、ロシアから欧州へのガス輸入の禁止が決まりました。これらにより、米国のガスが集中的に求められるようになります。

欧州諸国は、ウクライナへの巨額の軍事資金を供給し軍事拡大させ、ロシアへの国内攻撃を可能にしました。繰り返し石油・ガスエネルギー施設やタンカーを攻撃しています。これは、ロシアのエネルギー収入を減らし、弱体化を狙っているようですが、同時に世界へのエネルギー供給の危機に拍車をかけ、脅威を引き起こしています。(こちら参照

メドハーストさんのこの投稿は、最近攻撃されたロシアへの石油施設やタンカー攻撃の例を示しています。前例のないほど深刻だ、と指摘しています。

米国は中国・ロシア包囲網として、カリブ海、北極海、バルト海、黒海、地中海、インド洋、そして遠くセネガルまで、米海軍が海賊のように滞在しているそうです。イーロンマスクのスターリンクとAIの進歩で、船舶の位置情報が分かるようになったことで、海賊行為が容易になったようです。

トランプ大統領がグリーンランドを狙う理由の一つは、海洋封鎖の一環だとも言えるでしょう。

米国会社に売られていく油田

米国のChevron(シェブロン)社は世界で最も大きな、石油・ガス会社の一つで、その支配を広げているようです。中東や西側諸国を中心に、世界各地で約1万1千のカス・石油田と契約しています。

最近ではイスラエルの攻撃が続くパレスチナ・レバノン・シリアでの政権転覆後、その近海であるレバトンのガス田をシェブロン社が運営することになりました。エジプトも2023年と2026年にシェブロン社と契約しました。

世界最大級の油田のあるキューバでは、マドゥロ前大統領夫婦が米国に拉致された後、それまで石油田は国営でしたが、4月にシェブロン社と契約を交わしました。

民主主義と呼ばれる、豪州でもその国の豊かな資源(ガス)が、民間のシェブロン社に売られほぼ独占しています。国民ではなく他国の民間企業が大きな利益を得る仕組みに、”企業主義だ”と非難の声が上がり、問題になっています。そして、ガス・石油田を国営で、利益をあげる国を、トランプ大統領は、共産主義だと非難し、資源を奪おうとします。

トランプ大統領は、イランのガス・石油田を米国のシェブロン社と契約を結ばせて、利益を上げたいのでしょう。

つくり出された、世界のエネルギー難

メドハーストさんは、次のように指摘しています。

今回のイランでの戦争は、米国の石油・ガス大手にとって史上最も収益性の高い時期となった。記録的な利益を上げ、株価は過去最高水準に達した。彼らはウクライナ侵攻時よりもさらにヨーロッパとアジアからエネルギーを吸い尽くし、私が「石油ガス・ドル」あるいは「LNG(液体ガス)ドル」と呼ぶものの地位を確固たるものにしている。米国はガス市場で圧倒的な地位を占めているため、戦争を始めても価格はほとんど変動しない。石油に関しては、米国人にとって石油価格の高騰はヨーロッパやアジアほど深刻ではなく、たとえ高騰したとしても、その資金は米国企業がドル建てで懐に入れ、米国経済圏内に留まる。結果がどうであれ、米国企業が勝利するのだ。

アメリカ・ファーストへ

メドハーストさんはこれをドンロー主義(Donroe Doctrine)だと言います。

ドンロー主義(Donroe Doctrine)は、トランプ大統領の西半球(アメリカ大陸)重視の外交・安保政策を指す造語で、19世紀の「モンロー主義(欧州との相互の不干渉)」と「ドナルド・トランプ」の名を掛け合わせ、中国を念頭に西半球における米国の優位性を強制的に回復・維持しようとする、拡張主義的の介入政策です。移民政策では、必要な分野では労働者移民を受け入れています。

彼はこう説明します。以下抜粋引用です。

「ライバルのロシア・中国・イラン等の資源国を締め出し、又は占領し、誰もが経営を維持するためだけに工場を米国へ移そうと躍起になる。最後の ガスや石油の残骸を10倍の価格で買いあさろうとする。『熾烈な競争』が繰り広げられる中、米国への巨額の資本逃避が起こる。これにより、湾岸諸国、欧州、アジアといったいわゆる同盟国は脱工業化され、事実上食い物にされることになる。これは、米国の覇権を救うための最後のあがきとして、当面の間はドル高を強めることになる。そして最終局面として、米国は出口を封鎖し、海軍を動員して地球規模で好き勝手に嫌がらせ、妨害、略奪を行う。混沌こそが、モデルなのだ」

「だからこの方法で、世界支配のために、約800もの米軍基地を世界で維持する必要は、なくなる」

「米国の消費者はガソリンスタンドで不満を募らせることになるだろう。しかし、その利益は依然として米国のエネルギー大手が懐に入れているため、米国の経済循環から外れることはない。ウォール街や帝国の視点から見れば、外で民衆が怒りの声を上げない限り、これは三方良し(win-win-win)の状況だ」

「戦場でイランに屈辱を味わわされようが、多くの兵士を失おうが、国民の不満が高まろうが、ウォール街にとっては、それだけの価値があるのだ」

「これらは政府とアメリカ企業の最高レベルで綿密に計画されたものだ。これが“明日のアメリカ”である。それは完全に制御不能な海賊国家であり、ただ一つの目標しか持っていない。それは“世界支配”だ」

「そのために、あらゆる資源の掌握、そしてその目的を達成するために海賊行為、暴力、暗殺を用いるのだ」

確かに、日本企業も米国へ移転していると聞きます。また、自動車産業から軍事兵器産業への転換も呼び掛けられている報道があります。

このような、アメリカ帝国復興のために、西側諸国や日本は、自国の衰退と危機を受け入れて、ただ付き従っていかなくてはいけない、状況にあるのでしょうか。豪州は、石油危機ですが、TVでの豪州首相インタビューで、「ロシアとイランから石油を輸入しないのですか」と問われて、首相は「制裁をしているからその国々からは輸入しない」と主張し、高価になる米国や南米からの輸入を考えているようで、米国への忠誠を示しているようです。その高額を支払うのは、住民です。

いつまでドンロー戦略は、続くのか?

メドハーストさんは、レポートの最後に「当面の間は、この戦略は機能しているように見える。問題は、それがいつまで続くかだ」と投げかけます。そして、現状はまだ不透明であるとしながらも次のように、予測しています。

「米国がイランの産業基盤に対して行っているのと同じことを、すなわちタンカーや製油所などを機能不全に陥らせることで、イランは米国の計画全体を実行不可能なものにすることができる。この戦争の序盤数週間、イランは自国の戦力以上の10倍もの力を発揮し、米国とイスラエルに同時に立ち向かった。もはや誰も、イランのドローン・弾道ミサイル・防空システムの有効性を疑うことはできない。彼らは、F-35からA-10、ブラックホーク、リーパーに至るまで、米空軍の「至宝」を体系的に無力化してきた。私の調査で明らかにした通り、イランはわずかなコストで、この地域の米軍基地に配備された数十億ドル規模のレーダー網を体系的に無力化してきた。イランが成功を収めたことを示すこれらの戦術的勝利は米国の無敵神話を打ち砕いた。そして、イランが米空軍や同地域のすべてのレーダー、基地に対抗し得たように、当然ながら海軍に対しても対抗できるはずである」

「もしワシントンが、ベネズエラや北極圏で行ったのと同じような海賊的な封鎖を試みるなら、彼らにとって事態は決して順調には進まないだろう」

最近は米軍の高官の退任が相次ぎ、4月23日には、海軍長官が政権を去ることが発表されました。

現在の所、中国やロシア、BRICS諸国等からは、口頭での警告や非難に止まっています。メドハーストさんは、これらの安全保障上の脅威に対し、大きな反応を示さないように見える事が、米国と西側を大胆にし、攻撃を続けさせている要因だ、と指摘します。これ以上の激化は、世界の多くの人々が望まず、いい加減米国が、大人の対応で引いほしいというところです。

石油からの脱却

鮫島さんが言っていたように、石油・ガスからの地下資源エネルギーから脱却し、地域の環境にあったエネルギー利用で、他国に頼らなくても自活できる機械やシステムが必要でしょう。日本なら、地熱が豊かで、水・水素で動く車の開発もあると聞きます。包装にも竹など自然の素材で開発できそうです。

それらが、開発利用されず重量の石油やガスを何十日もかけて、船で運ぶのは、それらを使わせることで、莫大な利益を得ている国と大企業や政治家たちの力が働いているのではないでか、と憶測してしまいます。

Dairy Mailによると、石油なしで、移動可能なAnti Gravity(反重量技術)という方法で、宙に浮き、飛ぶことができることを可能にすることを研究している科学者が、次々と失踪・死亡しているとが報道されています。その研究者のエイミーさんは「命を狙われている」と告白しその後、不可解な死をとげます。彼女は反重力技術は、エネルギー生産や宇宙旅行に革命をもたらす可能性を秘めていると、発表していたそうです。これは、この研究に関連する研究者の11人目の死亡、失踪事件となり、波紋を呼んでいます。(こちら参照


豪州は、陽射しが柔らかく、日が短くなり、過ごしやすい秋の季節です。

冒頭の写真は、夏から秋にかけて、オーストラリアのお店で見られる、紫色の果物です。向かって右上は、数種類の梅です。日本では、梅干しばかり食べていましたが、豪州では、黒い梅、赤い梅、砂糖梅など生で食べるようになりました。甘酸っぱく、ジューシーで、身体が喜ぶのを感じます。ビタミン、栄養、食物繊維が豊かで、色々と健康に良くスーパーフード(Super Food)とも呼ばれます。1キロ300円前後で、毎週の買い物の楽しみとなっています。

今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホストファミリーとグレートオーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。