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安倍昭恵氏は6月解散を望んでいる? 安倍元首相一周忌の案内にあわせて後継・吉田氏の小選挙区擁立を党本部に要請したが…

岸田文雄首相の長男翔太郎氏の更迭や衆院東京28区をめぐる自公対立など激しい政局が続く中でさほど注目されなかったものの、見逃してはいけない出来事があった。

安倍晋三元首相の妻昭恵さんが5月31日の自民党本部を訪れて茂木敏充幹事長や森山裕戦隊委員長と面会し、4月の衆院山口4区補選で安倍氏の後継として当選した吉田真次氏を次の衆院選でも小選挙区から擁立するように要請したニュースである。

山口県内はの衆院選挙区は、一票の格差を是正するための10増10減に伴ってひとつ減り3になる。安倍氏の地元・下関市は新山口3区の中心都市となり、吉田氏は安倍氏とは長年の政敵である現山口3区選出の林芳正外相と小選挙区の公認を争う立場にあるのだ。

安倍氏急逝後、下関の地元政界は林派が優勢になり、山口県内全域でも「林氏を次の総理大臣に」と期待する声も強い。吉田氏は補選で当選したものの次の衆院選では新山口3区を林氏に譲って比例ブロックに転出するとの見方も強まっている。

しかし昭恵氏は茂木幹事長らとの面会で「小選挙区は引き続き主人の後を継いで吉田さんにやってもらいたい」と要請。さらには安倍氏の1周忌の法要を7月8日に東京・港区の増上寺で執り行うことも伝えたという。

政治家の遺族が公認候補の選出に口出しするのは世襲政治文化そのものといっていい。

自民党内では岸田内閣の支持率上昇を受けて6月解散・7月総選挙を求める声が一時高まった。それを後押ししたのは「安倍氏一周忌が衆院選の追い風になる」という見立てだ。

昭恵氏が吉田氏の小選挙区擁立とあわせて安倍氏1周忌の法要に言及したのは「6月解散・7月総選挙なら『安倍氏を偲ぶ』選挙になる。山口3区の公認でも配慮してくれていいでしょ」と迫る狙いがあったのだろう。6月解散・7月総選挙になだれ込めば、吉田氏の追い風になると昭恵氏は踏んだに違いない。

一方、岸田首相は昨年末に首相公邸に岸田一族を集めて大忘年会を開いた問題で内閣支持率は急落。自公対立への懸念も自民党内に広がり、6月解散論は沈静化しつつある。

もちろん6月21日の国会会期末にむけて政局は緊迫度を増すが、解散見送りになった場合、公認決定は先送りされ、時が経過するほど吉田氏を推す声は小さくなる可能性もある。昭恵氏は自民党内の誰よりも6月解散を願っているといえるかもしれない。

昭恵氏と面会した森山選対委員長は6月2日、山口県内の小選挙区候補について「できれば来週か、再来週の早い時期にほぼ決まっていくのではないか」と記者団に語った。6月解散に備えて候補者決定を急ぐ姿勢を示したものだ。

4月の衆院補選山口2区では、安倍元首相のおいで岸信夫前防衛相の長男である岸信千世氏も初当選を果たした。こちらは岸家・安倍家の世襲4世だ。

岸氏も次の衆院選で自動的に山口2区の公認が得られるわけではない。選挙区1減にともない、新山口3区の林氏vs吉田氏(安倍氏)の争い次第が山口2区に影響する可能性もある。

衆院補選では民主党政権で法相を務めた後、一度は政界を離れた平岡秀夫元衆院議員が無所属で岸氏の厚い選挙地盤に挑み、世襲批判の追い風を受けて予想外の接戦となった。平岡氏は次の総選挙で立憲公認で出馬することを表明しており、激戦が予想される。

保守王国・山口の自民公認争いは次の衆院選でも注目されるだろう。


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