政治を斬る!

オーストラリアから日本を思って(71)世界の政局~何が現実で何がプロパガンダなのか?そのはざまで…日本のための選択肢(政党)は?〜今滝美紀

「MAGA:アメリカを再び偉大に」をあげるトランプ政権の手法は、トランプ氏や側近が公での言動から次第に明らかになりました。欧州の帝国主義は、米国にとって代わられたようです。

それは以前に何回か書いたように、「法や正しさに従う事ではない」あくまで、”世界に君臨する、アメリカ第一を考えた”「帝国主義」への回帰のようです。そのためには、軍事・経済・工作を法に縛られることなく、駆使して行う。また、話す内容も、自分の都合に合わせて、二転三転し、辻褄が合わなくてもお構いなしのようです。

このようなことは、米国に依存傾向があり、追随する同盟国(欧州や日本など)の政治・マスコミ界等でも見られるのではないでしょうか。

それ以外の国々も、火の粉を被りたくないために、静観しているようです。

第2トランプ政権で起こった、帝国主義的だと思われる事あげてみるとーー。

ベネズエラから石油だけでなく、あらゆる資源を奪い取ろうとしている。

キューバを攻撃しようとしている。

パナマ運河も奪われそうである。

カリビア海で、襲撃されるボート(調査されることなく、米国により、突然攻撃されるという事件)。

グリーンランドも資源のためだけでなく、他国の海上交通を阻止するためだとも言われ、もし軍事的手段や金銭工作に出れば、欧州に対抗する力はなく、米国領になるだろうという意見もあります。

改名される地名

ホルムズ海峡→アメリカ海峡

オンタリオ湖(カナダとの国境)→アメリカ湖

メキシコ湾→アメリカ湾(こちらその投稿

カナダは51番目の州                                 

8月カナダと米国の貿易交渉は破綻し貿易戦争と呼ばれました。

トランプ氏は、カナダは「国家ではないのに、国家であることの恩恵だけを享受したがっている」と言い残しました。カナダからの輸入禁止品を設け、最高60%の関税を課し、特定企業への制裁も課しました。

カナダのカーニー首相は、これに断固と立ち向かい、米国輸入品に最高50%の関税をかけることを発表しました。以前にもカーニー首相は、トランプ氏が繰り返し主張する「カナダは米国の51番目の州だ」に対抗するためか次のように呼び掛けていました。

「中堅国は、協力して行動しなければならない。なぜなら交渉しなければ、自分がメニューに載せられてしまうからだ」

その後、今年の始め、豪州、日本、インドを訪問し、欧州との貿易関係を広めています。(こちら参照

豪州ABC番組では、次のようなカナダの人々の意見が紹介されていました。

「これは、取引ではなく(米国の)脅迫だ」

「カナダの他国との貿易協定に、米国が発言権を持つことは、受け入れられない」

「カナダ国民の間では、長期的に見れば、アメリカへの依存度を下げる方が、高めるよりも良いという認識が広まりつつあると思います。そして、これはまさにその過程の一部なのです」

カーニー首相のこの対応は支持されているようで、先週、カーニー氏率いる自由党は、連邦議会の補欠選挙3件で大差をつけて圧勝しました。(こちら参照

トランプ氏は、メキシコも視野に入れているかもしれません。

これらは、トランプ大統領だから特別ではなく、ヴォルフィッツ・ドクトリン(Wolfowitz Doctrine)と非公式の呼ばれる、冷戦終結直後の1992年に、アメリカ国防総省内で作成された米国の世界覇権と一強支配体制を維持するための外交・安全保障戦略に、合っていると言われます。現在はイラン、その前はリビア、シリア、イラク等、中東、西アジア、アフリカで繰り返されていた戦争はその目的のためでしょう。トランプ大統領は、他の大統領よりも強引で、手広く、迅速に行っているように見えます。

日本でもカナダのような独立や主権のための毅然とした外交が展開されるのを見てみたいと思いました。

立ちはだかる中国とロシア

米国とトランプ大統領にとって、広大な豊かな土地と資源がある中国とロシアを支配下に置くことも、狙っているのかもしれません。両国に圧力を掛ける役割を、日本・韓国・台湾・フィリピンなどは担っているでしょう。安倍元首相は、ロシアとの関係を結ぼうとしていましたが、亡き後、日本政権は反露反中路線に転換しました。

トランプ氏は、この2大国に対しては、軍事力で強硬策はとれないと踏んだのでは、ないでしょうか。

2014年オバマ政権下で、米国の支援と工作でウクライナでは、武器を使用した過激で暴力的なマイダン革命が起こり、民主的に選ばれたヤヌコーヴィッチ大統領は失脚させられました。今年初め、イランも同様のことが起こりましたが、阻止しました。

その後、ロシアと近隣のドンバス地方の人々への迫害が始まり、内戦のような状態に陥りました。ロシア語やロシア正教会活動が禁止されました。米国や欧州NATO(軍事組織)がウクライナに、影響を及ぼすようになり、安全保障の危険を感じたロシアは、それを食い止めるべく軍事作戦が開始されました。

始まった当初、2022年は、これらの経緯が知られていないせいか、ウクライナを支持し、ロシアを非難する声が占めていました。しかし、欧州では、この長期化する戦争とウクライナ支援金で、大きな経済的に犠牲が払われています。ロシアからの安価なガスの輸入を禁止し、高額なアメリカのガスへの支払い。高額な税金。移民への援助。空洞化する産業。人々の生活は苦しくなり、ウクライナ支援の停止と親ロシアへの声が高まっているようです。

見え方の歪み~何が現実で、何がプロパガンダなのか?

読者の皆さんは、どう見えるでしょうか?

欧州の地政経済学教授のディーセン教授@Glenn_Diesen は次のように、“見え方の歪み”を使った、プロパガンダを指摘しています,

「なんという時代だ。特にドイツでは、メルツ首相(戦後最低の支持率13~15%)は、反ロシア的でヨーロッパ最大の軍隊を築こうとしている。欧州はそれを応援している。ドイツの政治階級はロシアとの戦争に熱狂しており、反対しているのは「極右」政党AfD(ドイツのための選択肢)だけだ。この戦争に反対する、AfD代表は人種差別主義的な”ナチス党”を率いていると呼ばれる」

1️⃣ 見え方の歪み「戦争反対は、ナチス。極右」なの?

戦争反対が、「極右」と見なされるそうです。これはリベラル的でしょう。そして、第二次世界大戦では、ナチス・ドイツは、仏など欧州諸国、ウクライナの民族主義的勢力と組んで、ロシアを攻撃し迫害したそうです。

9月8日は、ロシアでは1941年、レニングラード包囲戦の始まりでした。ドイツ軍がソ連第2の都市への陸上交通を完全に遮断したことから始まり、821日続きました。ヒトラー率いるドイツ軍は最後の鉄道と陸路を遮断し、約320万人の民間人と防衛兵を孤立させ、直接攻撃で都市を制圧するのではなく、飢餓によって降伏させるよう命じたそうです。それにより、飢餓、疫病、爆撃により約100万人が死亡したとされます。ガザ、パレスチナで起こっている事が浮かんできました。

プーチン大統領の兄ヴィクトルは、この包囲網で亡くなり、献花する様子が投稿されていました

第二次世界大戦で、もっとも死者数が多かったのは、ロシアで約2600万人、その次が中国で約2000万人で、ホロコストの3~4倍です。しかし、私は日本でこの事を教わった記憶がありません。投稿者のラタンさんは、「ドイツがロシアに対して行った言語に絶する残虐行為は、NATO加盟国の学校では教えられていない」と指摘しています。

そして、今まさにドイツや欧州諸国の政権のロシアに対する言動が、それを再現しているかのように見えます。

AfD(ドイツのための選択肢)は、ロシア敵対に反対し、関係の正常化、親ロシア、ロシア語の教育、ロシアへの制裁終了、ロシアの安価なガスの輸入をあげています。

歴史の経緯を経験し知っている東ドイツの人々は、AfDは“極右だ。”とレッテルを貼られて、多くの体制派やメディアから激しく非難され続けても、「それはプロパガンダだ」と見抜いて、AfDへの支持が高まっているという意見があります。ロシアへの再攻撃は、第二次世界大戦から見て、ナチス、ファシズムのように見えるのかもしれません。

9月7日CNNは、高級車で有名な フォルクスワーゲン社のドイツでの工場を、イスラエルの会社と共同で防衛産業への工場に変えることを報道しました。  

最近の世論調査では、東ドイツでは、AfDの支持がダントツで45%に上りました。9月6日日曜日にザクセン=アンハルト州で行われた州議会選挙では、約44%議席を獲得し、州レベルでの政権獲得に王手をかけました。

豪州SBS 極右政党(ドイツ情報局の認識)としながらも次のように報道しました。

「AfD(ドイツのための選択肢)は、一連の強硬な政策と、より清潔で安全な街への回帰、そしてドイツ人であることへの誇りという、ノスタルジックなビジョンを提示した」

2️⃣ 見え方の歪み~アジア友好と同性愛は極右なのか?

AfDの共同代表のアリス・ワイデル氏 @Alice_Weidel は、47歳の経済経営の博士で、同性愛者です。スリランカのパートナーがいます。これは、リベラルな生き方でしょう。しかし、AfDは、レインボーの旗(同性愛者のシンボル)を学校に掲げるのではなく、ドイツの黒と赤と黄金の国旗を掲げるべきだとしています。私もどんな差別にも反対ですが、子どもたちに、危険な性転換を促すような政策には、賛同しかねます。

3️⃣ 見え方の歪み~弾圧・徴兵・選挙無しは民主主義や自由なの?

ディーセン教授は、選挙をせず、ウクライナ国民の意に反して行われている徴兵制についてXで、次のように指摘しています。

「NATOはウクライナ和平の外交をボイコットし、武器こそが平和への道だと美化し、ウクライナ人を徴兵し、難民をウクライナへ強制送還することで、最後のウクライナ人まで戦いを挑んでいる。この代理戦争を『ウクライナを支持する』と称して売り込むのは、私の人生で最も驚くべきプロパガンダの偉業だ」

また、トランプ大統領は、毎月ウクライナとロシア紛争で約2万5千人が亡くなっていると繰り返し指摘しています。兵士不足のためか、SNSでは高齢の男性が手錠を入れられて、戦地に送られるような動画が拡散されていました。男性が足りなくなり、女性の参戦もプロモートされているようです。ディーセン教授は、Xへ次のような投稿をしていました。

「キエフは今、女性の徴兵について公然と議論している。イギリスのメディアは国民にその考えを理解させるための準備を進めており、最終的には女性のエンパワーメントを謳うフェミニスト的な物語として伝えられるだろうと私は考えている。NATOのために命を落とすことを強いられることにおける男女平等、といったところだろうか」

「これら全ては『ウクライナと共にある』というスローガンの下である。それにもかかわらず、メルツ氏の選挙での敗北とその政策は民主主義への脅威とみなされ、彼を批判する者はロシアのプロパガンダを広める裏切り者扱いされる。この事態は一体どうなるのだろうか?」

別のプロパガンダの使われ方として次のように投稿し説明していました。

「ヨーロッパが現実からますます乖離しているように見える理由を理解するには、言論と常識に課せられた制限を見ればよい。ロシアが戦争に勝利しているという主張はロシアのプロパガンダとして中傷され検閲される。NATOが戦争を挑発したという主張はクレムリン(ロシア政権)のプロパガンダだと退けられる。~中絡~ロシアが勝利していることを認めることがなぜ「親ロシア的」とされるのかは、決して説明されない」

投稿の全文

4️⃣ 見え方の歪み~本当の過激派は?

AfD(ドイツのための選択肢)ワィデル代表は次のように呼び掛けました。(こちら投稿)  

「過激な政策とは、国境を開放したまま、自国で私たちをよそ者に扱うような政策だ。過激な政策とは、意図的にエネルギーインフラを破壊し、原子力発電所を爆破するような政策だ。過激な政策とは、一族の一人で、32人の子供を持ち、福祉詐欺を働くような人々に社会保障給付金を支払うような政策だ。

私たちは、この過激な政策に終止符を打ちます。なぜなら、私たちの目標は、ザクセン=アンハルト州とドイツのために、分別のある保守自由主義的な政策を追求することだからです」

AfDは、2013年に結成され、過激派であると声高に中傷されてきましたが、折れずに活動を続け、今ではザクセン=アンハルト州で勝利し、ドイツ全土に広げると宣言しています。

8月末、トランプ政権は、CIA長官をモスクワへ送りました。欧州諸国にバイデン政権下で、ウクライナ支援のために欧州へ送った約1350億ドル(約20兆円)を返還するようにSNSで投稿し、AfDの移民政策とその勝利を称賛していました。

勝利が見込めないまま、エスカレートするウクライナとロシア紛争。無駄に使われ続ける戦費と人々の命。その終わりが近づいている兆候であってほしいものです。

そして、世界の中で、日本にとっての外交判断も、分岐点となるかもしれません。

冒頭の写真は、シドニーのCairo Takeawayというエジプト料理レストランに描かれている壁画です。

今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホストファミリーとグレートオーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。

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