「SAMEJIMA TIMES(サメタイ)」の6月以降の運営方針について、①無料公開をつづける②寄付をお願いするーーの2点をきのうの記事で示しました。きょうはもうひとつ大きな方針を説明します。無料会員フォーラム「政治倶楽部」の旗揚げです。
新聞凋落の大きな要因は、デジタル化に乗り遅れたことに加え、読者との双方向の交流を軽視してきたことにあります。新聞は「自分たちがセレクトした情報」を「一方的に送りつける」メディアでした。それは新聞記者たちに「大衆を啓蒙する」という間違った感覚を植え付け「上から目線」を増幅させてきたと思います。
政府と一体化したコロナ報道の数々は、大衆感覚からずれた新聞の実像を浮き彫りにしました。
サメタイは読者と双方向に交流してデスカッションすることを重視します。そのディスカッションを広く公開し、できるだけ多くの人が参加するかたちで論調を決めていくことにしました。
その仕掛けが本サイト内に新設する無料会員フォーラム「政治倶楽部」です。政治倶楽部には誰でも無料でアカウント登録できます。以下、具体的に説明していきましょう。
まず政治倶楽部のページで「お題」を提起します。会員は、これに対する質問、疑問、反論、提案などを自由に投稿できます。私はすべてのコメントに目を通し、誹謗中傷などをのぞいて一般公開します。そのうえで、興味深い投稿を記事で紹介し、それに対するコメントをさらに求め、議論を深掘りしていきます。テーマによっては会員限定記事で問題提起し、突っ込んだ討論をすることもあります。
私も5年前にツイッターをはじめるまで、双方向の交流に疎い新聞記者でした。新聞社内にはブログやSNSを軽視する風潮がありました。「新聞記者こそプロであり、ブログやSNSで発信する人々はアマ」という偏見が新聞社内に根強くあったと思います。
いまや新聞記事よりも内容が充実しているブログやSNSは数え切れません。それぞれのジャンルで詳しい内容を知りたい時、新聞記事では物足りず、ネットで専門的なブログやSNSを探すことは、ジャーナリズムの世界でも日常になりました。しかもそれらブログやSNSの多くは無料なのです。
ネットには誹謗中傷やフェイクもありますが、検索が上手で情報の確度を自ら見極めることができる人にとっては、「よくわからない基準でセレクトされた情報」だけが「一方的に送られてくる」新聞に頼らなくても、「幅広く深い情報」を「速く安く」手に入れることができる時代になったのです。新聞の発行部数が激減するのは当然です。
新聞社も遅きに失したものの「双方向」を取り入れつつあります。しかし、私が新聞社を内側からみてきて確信するのは「ネットでニュースを売るビジネス」によって高給の社員を数千人抱えるのは不可能だということです。巨大新聞社は、編集、技術、販売、広告、総務などの分業制で成り立っています。この「図体の大きさ」は「速く、安く、深く」を競争するネットの世界では足枷でしかありません。
サメタイはたった一人で立ち上げた「小さなメディア」です。そこへ手弁当で駆けつけてくれた執筆者たち(筆者同盟)が加わりました。今後は、政治倶楽部のディスカッションに著名な言論人に加わっていただくことも考えています。サメタイの記事が「新しいニュースのかたち」を目指すとすれば、政治倶楽部は「新しいディスカッションの場」をめざすものといえます。
肝心なのは「身軽」に「機敏」に変化していくことです。政治倶楽部も「双方向で開かれた討論」の大原則を維持しつつ、状況をみながらバージョンアップしていきます。当初は不慣れで至らぬ面もあろうかと思いますが、課題が浮上したらそのつど対処していくことにします。「完璧に出来上がるまでは始めない」という新聞社の悪弊と決別し、「まずはやってみる」というチャレンジ精神で走り出そうと思います。
それでは政治倶楽部の会員登録受付をはじめます。始動は6月です。皆様の参加をお待ちしています。
SAMEJIMA TIMES (サメタイ)主筆 鮫島浩