私が新聞記者であるのも残すところ一週間となった。この連載「新聞記者やめます」も「あと7回」で終わる。
2月に新聞社に退職届を出して小さなメディア「SAMEJIMA TIMES」を開設し、2月28日に「あと93日!」から連載を開始して1日1本書き続けてきた。毎日楽しみにしてくれる読者もじわじわ増え、「有料化したほうがいい」とアドバイスしてくれる方もいる。
今のところ6月1日以降の「定職」のあてはない。「有料化」の提案は大変ありがたいのだが、ここはぐっと我慢して、現時点では「無料公開」にこだわりたいと思っている。「ひとりでも多くの方にこのサイトを訪れていただき、ひとりでも多くの方に記事を読んでいただく」ことを最優先にしたい。
今後の運営方針は、5月31日の連載最終回までに明らかにする予定である。5月30日(日)の クレヨンハウス「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」での講演や、6月1日(火)にドキュメンタリー監督の大島新さんと語り合うトークイベント「なぜ君は朝日新聞を辞めたのか?」でも紹介するつもりだ。マスコミとは違う「小さなメディア」を読者の皆様と一緒に手探りで築き上げていくことをめざして、新しい試みを続けていきたいと考えている。引き続きご支援いただければ幸いです。
ここまで毎日楽しく執筆してきた。やはり書くのは好きだ。一方、悪戦苦闘しているのはサイトのシステム管理である。パソコンが大の苦手な私がワードプレスを使って自力でサイトを開設した経緯は連載二回目「ホームページを作れ」で紹介したが、その後も苦難の連続であった。
サイトの機能を上げるには「プラグイン」というプログラムを追加するのだが、これを導入する際にはサイトのどこかに不具合が生じる危険がある。私も一度、大ピンチに陥った。二時間ほどサイトが閉鎖してしまったのだ(お気づきになった方もいらっしゃるかもしれません)。
新聞社で言論サイト「論座」を担当したこの3年間、システムトラブルが発生すると「なぜこんなことが起きるのか」と苛立ったものだが、自らの不明を恥じるほかない。コンピューターというものは複雑である。いったん不具合が発生するとマニュアルだけでは解決しない。どこに問題があるのか、あらゆる可能性をひとつひとつつぶしていく地道な作業が必要だ。私はコンピューターの取り扱いをすべて人任せにしてきた27年間の新聞記者人生(会社員人生)を悔い、大いに反省した。
新聞記者の多くは「いちばん大事なのは記事の中身」と思っているが、技術者の多くは「いくら記事が良くても読者に届かなければ意味がない」と考えている。取材力と技術力のどちらが大事かという二者択一は建設的な議論とはいえないが、少なくとも新聞社が「編集」と「技術」の分業制を採用し、そのなかで新聞記者の多くが技術力を他人事と考えてきたのは間違いない。
私は自力でサイトを開設・運営してみてようやく気づいた。新聞社の凋落の主要原因は「技術力」を過小評価してきたことだ。私の技術力などパソコン好きな小学生にも及ばないだろうが、技術力の重要さを肌身で感じただけでも自力でサイトを開設した意味はあったと思っている。
数日前も6月のサイトリニューアルにむけてプラグインを導入したところ、記事の閲覧数や人気ランキングが更新されない不具合が発生した。レイキャビクからSAMEJIMA TIMESへ連載「こちらアイスランド」を寄稿している筆者同盟の小倉悠加さんからも「サイトにログインできません〜」とメールが届いた。あれこれ試して何とか改善したものの、う〜ん、心許ない。今後もあたたかく見守っていただければ幸いです。
閲覧数のカウントが2〜3日ほど途切れてしまったので、それを機に、きょうは現時点での連載人気ランキング・ベスト10を発表しよう。第一位は3.3万viewを超えた。この場を借りて御礼もうしあげます。