内閣改造で閣外に追い出された林芳正氏。本人は留任に色気を見せていたようだが、結果はまさかの閣外である。高市総理に梯子を外された格好だ。
こうなると、林氏の次の舞台は来年秋の自民党総裁選ということになる。自ら勇ましく高市総理に挑むというより、ここまで恥をかかされれば、戦わざるを得なくなったという方が実情に近い。
問題は、そのとき林氏が何を旗印にするのかである。
9月20日、石破茂前総理の側近である中谷元前防衛相の地元・高知を訪れた林氏は、ピアノでビートルズの「レット・イット・ビー」やジョン・レノンの「イマジン」を演奏した。そこで語ったのが、竹下登元総理による消費税導入である。
竹下政権の消費税導入や岸信介政権の日米安全保障条約改定は、当時は激しい批判を浴びた。しかし5年、10年たてば「絶対に必要だった」と評価される政策をやってきたのが保守、自民党の伝統だ――という趣旨の発言である。
これは林氏の今後を占ううえで意味深長だ。社会保障を充実させるには安定した財源が必要であり、その財源を消費税などの増税に求めるなら、林氏の旗印は「財政規律」ということになる。
高市政権が減税・積極財政を前面に出すなかで、林氏は財政規律を掲げる。来年の総裁選が実現すれば、「高市=減税・積極財政」対「林=財政規律」という対立軸が浮上する可能性がある。
ただ、これで勝負になるのか。
林氏を支えることになりそうなのが、石破茂氏、森山裕氏、石井準一氏、小渕優子氏らの財務族だ。高市政権で非主流派に回った面々である。
さらに注目されるのが、麻生太郎氏の政敵である武田良太氏である。政界を引退した二階俊博元幹事長や菅義偉元総理の側近で、高市総理への接近を試みてきた。しかし、内閣改造・党役員人事では蚊帳の外。そればかりか武田グループの細野豪志氏を復興大臣に高市総理に一本釣りされた。
林氏を担ぐ勢力に武田氏が加われば、「反高市」に加えて「反麻生」という色合いも強くなる。
林氏が天下を取りに行くというより、梯子を外されたエリートが、周囲の反高市・反麻生勢力に担がれ、総裁選に出ざるを得なくなる。その旗印が、よりによって「増税」。
しかも総裁選の行方を左右するのは自民党内だけではない。野党再編が進めば、公明党がどこに立つのかも重要になる。
高市政権に距離を置く公明党が林氏と水面下で連携し、その先の連立復帰を見据える。そんな組み合わせまで視野に入ってくる。
とはいえ、林氏らが自民党を飛び出す可能性は極めて低い。まずは自民党総裁選に勝利しなければ、政界再編も実現しないことになる。
林氏を担ぐ増税連合が、高市総理に勝てるのか。1年後の総裁選にむけて戦いが始まる。