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被爆地ヒロシマでのG7サミット、最大の焦点は「ウクライナへの戦闘機支援」〜広島の平和ブランドを傷つけていいのか?

岸田文雄首相の地元・広島でG7サミットが5月19日に開幕する。

岸田首相は被爆地ヒロシマから「平和」や「非核」のメッセージを発信することを強調しているが、それは表向きの政治パフォーマンスで、実際のところG7サミットの最大のテーマは、ロシアとの戦争を続けるウクライナへの軍事支援になりそうだ。

岸田首相はサミット議長としてウクライナのキーウを事前に訪問し、ゼレンスキー大統領と会談。G7が結束して軍事的・資金的支援を強化することを約束するとともに、広島サミットへのオンライン参加を求めた。

ゼレンスキー大統領はこれを受け、広島サミット目前に英国やフランスなど欧州各国を訪問し、対ロシア戦争の鍵を握る戦闘機の支援を要請。英国は前向きな姿勢を示しており、岸田首相の言葉とは裏腹にウクライナが対ロシア戦争を優位に展開するための「戦闘機支援」が広島サミットの主要議題になるとみられる。

ウクライナ戦争をめぐっては、ロシアを敵視してゼレンスキー政権に肩入れするG7と、ロシアとウクライナの双方と交渉して停戦に動く中国の対立が激化。経済成長が著しいインドやブラジル、南アフリカなどと「グローバルサウス」と言われる新興国の多くはG7のロシア包囲網とは一線を画し、中立的な立場を維持している。ウクライナ戦争は世界を二分しているといっていい。

国際的な経済交渉でも、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本が参加するG7サミットよりも、中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカ、トルコ、インドネシアなどを加えたG20サミットのほうがはるかに大きな影響力を持つ時代になった。

欧米以外で唯一のG7サミット参加国である日本がウクライナ戦争の最中に議長国を務める意義は、ウクライナ戦争をめぐる欧米と非欧米の溝を埋め、停戦合意にむけて橋渡しをすることにあるはずなのだが、岸田首相は米国のバイデン大統領に追従してロシアを敵視し、ウクライナを軍事的・資金的に支援する姿勢を強めている。

これでは平和都市ヒロシマから世界へ向けて発信するG7サミットのメッセージは「ウクライナへの軍事支援による戦争の続行」となり、国際社会の亀裂をますます深めることになろう。平和都市ヒロシマのブランドイメージを傷つけることにもなりかねない。

広島選出の岸田首相はそれでいいのだろうか。

そんな思いを抱きつつ、私は4月下旬にサミット準備が進む広島を訪問して取材してきた。

過去のサミットに比べて膨れ上がった予算、都市再開発があちこちで進むサミット特需、首相襲撃事件を受けて強まる警備体制、岸田首相が売り込む広島のお好み焼き、広島で暮らす岸田首相の裕子夫人さんの評判…さまざまな視点から取材した結果を動画にまとめたのでぜひご覧ください。


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