政治を斬る!

麻生を切って解散だ!高市「起死回生の更迭リスト」――政権延命か、それとも麻生支配との決別か

高市早苗政権に、早くも黄信号がともっている。

7月下旬に公表された各社の世論調査では、内閣支持率が軒並み急落した。読売新聞では前月比12ポイント減、日本経済新聞でも10ポイント減。時事通信、朝日新聞、毎日新聞、ANNもそろって下落傾向を示し、「ご祝儀相場」は完全に終わった印象だ。

注目すべきなのは数字そのものではない。下落のベクトルである。これほど一斉に支持率が落ち込む時は、有権者の期待が失望へ転じ始めたサインとみるべきだ。

原因はいくつも挙げられる。

消費税減税をめぐる迷走。皇室典範改正をめぐる世論とのズレ。そして「決断する高市」というイメージが薄れたことだ。

だが、そのすべてを突き詰めていくと、一人の政治家の存在に行き着く。

キングメーカー・麻生太郎氏である。

高市首相は消費税減税で思い切った政策転換を打ち出そうとした。しかし、財政規律を重視する麻生氏の壁を突破できなかった。

皇室典範改正でも同様だ。旧宮家の男系男子を養子として皇籍復帰させる案が採用され、「愛子天皇への道」を閉ざしたとの印象を世論に与えた。この法案を主導したのも麻生氏だったという見方が政界では広がっている。

つまり、有権者が見始めたのは「高市政権」ではない。

「麻生支配の政権」である。

だからこそ無党派層が離れていく。


高市首相はこの秋、内閣改造と党役員人事に踏み切る構えだ。

ここが最大の分岐点になる。

もし今回も麻生氏の意向を最優先し、主要ポストを麻生色で固めるなら、「高市カラー」は完全に消えるだろう。

政権は続くかもしれない。

しかし、それは「高市政権」ではない。

麻生太郎氏の傀儡政権である。

もちろん、高市首相にも事情はある。

党内基盤は決して強くない。派閥の支えも薄い。唯一の武器は世論の人気だった。

ところが、その人気が急速に失われつつある。

ならば残された道は二つしかない。

麻生氏に完全に屈服するか。

それとも麻生氏と決別するか。


私は、高市首相が自ら政治的主導権を取り戻したいのであれば、「脱麻生」を鮮明に打ち出すしかないと考える。

その象徴が人事である。

まず、副総裁・麻生太郎氏を退場させる。

さらに麻生氏の義弟である鈴木俊一幹事長も交代させる。

旧安倍派の実力者で、麻生氏に接近している萩生田光一氏幹事長代行も更迭対象とする。

麻生腹心の茂木敏充外相も、麻生氏との連携を強めている小林鷹之政調会長も見直しの対象だ。

特に小林氏は将来の総理候補として期待されながら、最近は麻生氏への接近が目立つ。高市政権の「顔」としてはかえって独自色を失わせている。

人事とは能力だけで決めるものではない。

政治メッセージである。

「誰を切るか」が、「誰を登用するか」と同じくらい重要なのだ。


では、その後継人事はどうなるか。

私なら、まず幹事長に地元・福岡で麻生氏の宿敵である武田良太氏を起用する。「脱麻生」の象徴となる存在だからだ。

政調会長には林芳正氏。外交・経済政策に強く、麻生氏とも距離を保ってきた。

官房長官には世耕弘成氏。旧安倍派5人衆のひとりで、萩生田氏とはライバル関係だ。裏金問題で離党に追い込まれたが、シナリオ通り8月上旬に復党が認められれば内閣改造人事に間に合うであろう。

財務相には西村康稔氏。こちらも萩生田氏とは旧安倍派5人衆のライバルだ。世耕・西村両氏の登用で、麻生氏に近づいた萩生田氏を外したという印象を強めることができる。

経済産業相には、首相退陣後は麻生氏と距離を置く岸田文雄氏の最側近で、小泉進次郎氏にも近い木原誠二氏を抜擢し、岸田勢力を取り込む。

外相には小渕優子氏。麻生腹心の茂木氏に反旗を翻し、茂木派を離脱した。これも反麻生を印象付ける起用だ。

さらに連立強化を視野に入れるなら、維新の遠藤敬氏を総務相に起用する選択肢も浮上する。高市首相と吉村代表のつなぎ役として適任だ。維新のなかの大臣ポスト争い(馬場前代表vs藤田共同代表)が過熱するのを防ぐ狙いもある。

もちろん、政策は必ずしも一致しない。しかし今は政策以上に重要なのは「麻生色を消すこと」である。

中途半端では意味がない。やるなら徹底的にやらなければならない。


もっとも、この人事には極めて大きな副作用がある。

麻生氏が黙っているはずがない。

ただちに高市おろしが始まるだろう。

党内は仁義なき権力闘争に突入する。

内閣改造どころではなくなる可能性すらある。

そこで必要になるのが、もう一つの総理大臣の大権である。

衆議院解散だ。

党内抗争が激化する前に国民へ信を問う。

「麻生支配を終わらせるのか、それとも続けるのか」

この一点を争点に総選挙へ持ち込むのである。

同じ年に二度も衆議院を解散する。

戦後政治の常識では考えにくいシナリオだ。

しかし、常識では乗り切れない状況だからこそ、非常識な一手が必要になる。


もちろん、これは極めて危険な賭けである。

選挙に敗れれば、高市政権は終わる。

勝っても党内抗争は続くだろう。

だからこそ、多くの政治家は劇薬を飲まず、現状維持を選ぶ。

麻生氏に従い、時が解決するのを待つ。

それも一つの現実的な選択肢だ。しかし、高市首相が「自分の政権」を築きたいのであれば、人事権と解散権という総理だけが持つ二つの武器を使うしかない。

今秋の内閣改造は、単なる顔ぶれの変更ではない。

「麻生支配」を受け入れるのか、それとも決別するのか。

その覚悟を問われる政治決戦になる。

高市首相は劇薬を飲むのか。

それとも延命を選ぶのか。

この秋の人事は、来年の自民党総裁選だけでなく、日本政治の主導権そのものを左右する重大な分岐点になりそうだ。