沖縄県知事選で、自民党などが推薦した古謝玄太氏が、立憲民主党、共産党、社民党などが支援した現職の玉城デニー氏を破った。しかも、投票締め切り直後に各社が一斉に当選確実を打つ「ゼロ打ち」である。
今回の選挙を単なる県知事選の勝敗として見ると、本質を見誤る。
沖縄では長く「オール沖縄」が辺野古移設反対を軸に保守・革新の対立を形成してきた。しかし、その枠組みはすでに崩れている。衆院選、県議選に続き、知事選でもリベラル側が敗れた。沖縄は「リベラルの牙城」から「保守が政権を握る県」へと、大きく姿を変えたのである。
古謝氏の勝因は、辺野古問題そのものよりも、県民の関心が経済や暮らしに移ったことにある。そこへ保守陣営が候補者を一本化し、一騎打ちの構図を作ったことが大きかった。下地幹郎氏の撤退を含め、終盤の一本化工作が選挙結果を左右した。
さらに見逃せないのが、保守陣営の顔ぶれである。自民党だけではない。維新、国民民主、参政党、保守党が古謝氏を支援し、公明党県本部も推薦に回った。対する玉城氏には立憲、共産、社民などが付いた。
これは沖縄だけの現象ではない。国政でも野党の細分化が進み、3党合流構想は破綻した。自民党に対抗する勢力がまとまれない一方、自民党側は幅広い保守勢力を取り込むことに成功している。
その意味で、沖縄の結果は高市政権にとって追い風である。
ただし、ここからが難しい。今回の保守連合は、必ずしも一枚岩ではない。参政党との関係をはじめ、統一地方選では自民党と他の保守勢力が激突する可能性もある。「オール沖縄」が崩壊したからといって、今度は「オール保守」が成立するとは限らない。むしろ、自民党にとっては寄り合い所帯をどう統御するかが新たな課題になる。
そして、もう一つの焦点が内閣改造である。
沖縄で勝利した直後だけに、選挙戦を支えた政治家への論功行賞が意識される。筆頭候補の一人が西村康稔氏である。選対委員長として沖縄に入り、吉村洋文氏、榛葉賀津也氏らとともに古謝氏を支えた。裏金問題で傷を負った西村氏を、ここで閣内に戻すことができるのか。高市総理にとっては、保守派へのメッセージにもなる。
鈴木貴子氏の処遇も同じだ。父親である鈴木宗男氏が保守陣営の一本化に動いたことを考えれば、こちらも論功行賞の対象になり得る。
一方、政権内部では「留任組」と「宙ぶらり組」の線引きが進んでいる。
象徴的なのが赤沢亮正氏である。赤沢氏は講演で、内閣の「骨格」から外される可能性を念頭に、「私は骨格というより、お肉」と自虐的に語った。林芳正氏、金子恭之氏と「俺たちお肉だよな」と話しているという。
冗談のようでいて、これは人事の本質を突いている。総理が「政権の骨格は変えない」と言っても、誰が骨格で誰がお肉なのかを決めるのは総理自身だからである。
そして今回、梶山弘志氏の国対委員長交代が明らかになった。後任には村井英樹氏が浮上している。高市総理との距離、岸田文雄氏との関係を含め、単なる国対人事ではなく、党内の力学を読み解く材料になる。
沖縄の勝利は、高市政権にとって一つの勲章である。しかし、本当の勝負はこれからだ。
保守勢力を広げれば広げるほど、自民党はその内部をまとめなければならない。沖縄で「寄せ集め保守」が勝った次に問われるのは、それを「高市政権の保守連合」に変えられるかどうかである。
週明けの内閣改造は、その最初の答えになる。
※リベラル野党の敗因については、以下のユーチューブ動画でじっくり語りました。ぜひご覧ください。