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保守対リベラル、沖縄決戦――「寄せ集め保守」は「逆風リベラル」を倒せるか?

9月13日投開票の沖縄県知事選が、最終盤を迎えている。当初は現職の玉城デニー氏、新人の古謝玄太氏、保守系無所属の下地幹郎氏による三つ巴が予想された。ところが告示2日前、下地氏が突然撤退。自民党本部と政策協定を結び、古謝氏の支援に回ったことで、情勢は一気に動いた。

最新の世論調査では、古謝氏が玉城氏を逆転したとする結果が出ている。自民、公明、国民、参政などの保守勢力が古謝氏を支え、立憲、共産、社民などリベラル野党が玉城氏を支える構図である。まさに「保守対リベラル」の一騎打ちとなった。

ただし、古謝氏の優勢をそのまま「保守の圧勝」と見るのは早計である。

最大のポイントは、下地氏の撤退である。

2022年の前回知事選では、玉城氏が約34万票、佐喜真淳氏が約27万5000票、下地氏が約5万4000票を獲得した。保守分裂が玉城氏の勝利を後押ししたことは明らかである。

今回も下地氏が出馬すれば、同じ構図が再現される可能性があった。ところが、告示直前に撤退した。

その舞台裏で動いたのが自民党の鈴木宗男参院議員である。8月23日に下地氏との協議を始め、25日には鈴木俊一幹事長、西村康稔選対委員長らとの政策合意にこぎ着けた。下地氏は子どもの貧困対策、沖縄本島の鉄道整備、2030年G7サミット誘致、辺野古移設などを条件に古謝氏支持へ転じた。

鈴木氏は下地氏を「30年来の盟友」と表現する。まさに人脈を使った土壇場の保守一本化である。

この自民党本部の仕掛けが、今回の選挙戦を大きく変えた。

しかし、古謝陣営は本当に「オール保守」と呼べるのだろうか。

むしろ実態は「寄せ集め保守」に近い。

自民党県連からは、党本部が県連を飛び越えて下地氏と交渉したことへの不満が漏れる。鈴木氏は「頭ごなしでもいい」と言い放った。長年、沖縄で下地氏と激しく争ってきた公明党にとっても、今回の共闘は複雑である。

さらに大きな問題が参政党である。

参政党は古謝氏と政策協定を結び、外国人労働力への依存を抑えた賃金上昇、メガソーラーや風力発電の導入見送り、安全保障を考慮した県職員採用などを掲げる。神谷宗幣氏は古謝氏を高く評価し、強力に支援している。

ところが自民党が掲げる古謝氏像は、「国と県民の架け橋」「分断と対立からの脱却」である。参政党との政策協定とは、かなり色合いが違う。

沖縄戦をめぐる神谷氏の過去の発言にも批判があり、沖縄県医師連盟が古謝氏に参政党推薦について質問状を送る事態にもなった。古謝氏自身、「政策協定は7項目に限定され、参政党の主張全般に同意したものではない」と線を引いている。

つまり、古謝氏を勝たせるという一点では一致していても、勝った後に何をするのかでは一致していない。

これが「寄せ集め保守」の弱点である。

一方の玉城氏も盤石ではない。かつての「オール沖縄」は崩壊し、立憲、共産、社民などの支援を受けるものの、今回は玉城氏個人の知名度と人気に依存する色彩が強い。無党派層では玉城氏が優位とされるものの、リベラル野党がかつての勢いを取り戻しているわけではない。

だからこそ、今回の選挙は単純な「高市政権vs玉城県政」ではない。

古謝氏が勝てば、高市政権にとっては来年春の統一地方選に向けた大きな追い風となる。辺野古移設をめぐっても政府側が勢いを得る。一方で、勝利をもたらした自民、公明、国民、参政、下地氏らの利害調整という新たな問題が浮上する。

逆に玉城氏が勝てば、高市政権には痛手となる。保守勢力をこれだけ結集させても沖縄を奪還できなかったことになり、内閣改造でも「目玉」が必要になるだろう。

ただ、リベラル側にも安心材料はない。玉城氏が勝っても、崩壊したオール沖縄が復活するわけではないからである。

結局、沖縄決戦の本当の勝負は、単なる保守対リベラルではない。

「寄せ集めでも勝てるのか」

そして、

「勝った後も、その寄せ集めを維持できるのか」

である。

9月13日、沖縄県民が選ぶのは新しい知事だけではない。高市政権が描く「保守回帰」の成否と、分裂を続けるリベラル野党の未来までが、この一票にかかっている。