政治を斬る!

「最後の晩餐」に浮かんだ、ポスト高市のもう一人の名前

高市内閣の「最後の晩餐」が、9月11日夜、総理公邸で開かれた。

高市総理が閣僚を集めた初めての夕食会である。16日の党役員人事、17日の内閣改造を控え、現在の顔ぶれがそろう機会は、おそらくこれが最後となる。

注目されたのは、やはり林芳正総務大臣である。来年秋の自民党総裁選を見据えれば、林氏を閣内に残すのか、それとも閣外に出すのかは、高市総理にとって単なる閣僚人事ではない。自らの再選戦略と、自民党内の権力構造に直結する問題である。

だが、この晩餐会で私が気になったのは、林氏以上に片山さつき財務大臣であった。

片山氏は夕食会後、記者団の前に立ち、「このメンバーで全部の法律を通し、一人も欠けなかった」と語った。高市総理から労いの言葉がたくさんあったとも明かした。まるで総理の代理人のような存在感である。

もちろん、これだけで「片山氏が総理を狙っている」と断定することはできない。

しかし、最近の動きを重ねると、話は少し違って見えてくる。

片山氏は現在、さいたま、山形、郡山など全国各地で後援会づくりを進めている。地方を飛び回り、選挙応援にも積極的である。2022年の参院選比例では約30万票を獲得し、自民党の比例候補として上位に食い込んだ。

しかも財務大臣である。予算と財政という政権の核心部分を握るポストだ。

参院議員が総理になることは憲法上可能だが、これまで実例はない。だからこそ、もし片山氏が「初の参院議員出身総理」を視野に入れているのであれば、その政治基盤づくりは極めて興味深い。

一方、高市総理の目の前には林氏という明確な総裁候補がいる。高市氏は無投票再選を実現するため林氏を取り込みたい。これに対し麻生太郎氏は、林氏を閣外に出して総裁選に向かわせ、高市氏に麻生氏への依存を強めさせたい――そんな権力ゲームが見え隠れする。

つまり、今回の内閣改造は単なる「誰が残り、誰が去るか」ではない。高市政権の次を誰が担うのか、その序章でもある。

さらに木原稔官房長官の発言は、政権内部の微妙な亀裂を露呈させた。自民党の役職希望アンケートについて、木原氏が岸田文雄元総理の回答に触れたことで、岸田氏が反発。木原氏は謝罪する事態となった。

「脱派閥」を掲げる高市人事の象徴だったアンケートが、逆に岸田氏との距離を浮き彫りにしてしまったのである。

そして今回、もう一つの大きな変化がある。不記載問題に関係した議員の入閣だ。木原氏は、対象議員が事件後に2度の選挙を経て信任を得たとの認識を示した。これまで閣僚への起用が見送られてきた旧安倍派議員が、いよいよ閣内に入る可能性が出てきた。

初入閣組として当選6回の高鳥修一氏や佐々木紀氏らの名前が取り沙汰されるのも、その流れである。

維新からの入閣も含め、来週の人事はかなり動く。

だが、最も長い目で見れば、今回の「最後の晩餐」で浮かんだ最大の謎は別にある。

高市総理の次に誰が来るのか。

林氏なのか。あるいは、まだ誰も本格的に意識していない別の人物なのか。

その候補者の列に、片山さつき氏の名前が入り始めているとすれば――今回の晩餐会は、単なる慰労会ではなかったことになる。

最後の晩餐で、次の政権の主役が姿を見せ始めた。

そう読むと、今週の内閣改造は、俄然面白くなってくるのである。

※参院初の首相の誕生の可能性について、以下のユーチューブ動画で詳しく論じています。ぜひご覧ください。