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高市・林がまさかの共闘? 武田良太が仕掛ける「麻生包囲網」の行方

高市早苗首相と林芳正氏が、思いがけない形で接近している。その接点は、なんと化粧品だ。

総裁選で争ったライバル同士に何が起きているのか。そして、その背後には麻生太郎副総裁の天敵、武田良太氏の存在がある。高市・林・武田の接近は、麻生包囲網につながるのだろうか。

発端は10月14日の衆院予算委員会だった。高市首相は、朝の入浴や朝食の支度、後片付け、化粧などに触れ、男性首相より3、4時間余分に時間を使っているかもしれないと語った。国会改革をめぐる質疑での発言だったが、蓮舫氏や吉良佳子氏らから批判が相次いだ。

しかし、政局の観点から注目したいのは、発言そのものより、その2日後に起きた動きである。

10月16日、日本の美容産業の海外展開を支援する「J-Beauty産業振興議連」が発足した。会長に就任したのは林芳正氏。そして、高市首相を最高顧問に迎える構想が浮上したのだ。

日本の化粧品や美容関連産業は、海外市場を開拓する余地が大きい。韓国が美容と芸能を一体的に世界へ売り込んできたのに対し、日本は国内市場を重視してきた。こうした問題意識から、林氏らが進めてきた美容産業振興の取り組みは、石破内閣時代から政策課題として積み上げられてきた。高市政権も、この路線を引き継いでいる。

つまり、議連の発足自体には政策的な背景がある。だが、会長が林氏で、最高顧問に高市首相を迎えようとしている点は見逃せない。

なぜなら、2人は総裁選のライバルだからだ。

9月の内閣改造では、林氏の処遇をめぐって高市首相との関係がこじれた。林氏の留任が取り沙汰されたものの、最終的には閣僚から外れた。高市支持層には林氏への反発があり、麻生氏も林氏の政権中枢への残留を歓迎していなかったとみられる。

その林氏が、今度は高市首相を自らの議連の最高顧問に迎えようとしている。単なる政策協力なのか。それとも、党内の人間関係に変化が生じているのか。

ここで浮かび上がるのが武田良太氏だ。

武田氏は二階派の流れをくむグループを率い、麻生氏とは福岡の政治勢力などをめぐって対立してきた。高市首相との距離も縮めている。元日には総理公邸に中華おせちと高市首相の好物である豚まんを差し入れた。内閣改造では武田グループに近い細野豪志氏、武部新氏が起用された(武部氏は1ヶ月で更迭された簗和生氏の後任)。

さらに、林氏と武田氏は定期的に会食し、党内情勢について意見交換してきた。選挙区は林氏が山口3区、武田氏が福岡11区。旧宏池会と旧二階派という異なる流れに属しながら、麻生氏との関係では共通する接点がある。

もちろん、3人が反麻生で結束したと断定できる証拠はない。しかし、林氏と武田氏の接点に、高市首相との関係が加われば、自民党内の勢力配置に変化をもたらす可能性はある。

麻生氏が高市支持に回る限り、林氏が次の総裁選で勝ち上がるのは容易ではない。林氏はこれまで総裁選に3度出馬してきたが、現職首相に挑んだ経験はない。次の総裁選に本当に出馬するのか、それとも麻生支配からの脱却を目指す高市首相に支持に回り、麻生包囲網を目指すのか。林氏の選択は、今後の焦点となる。

一方、高市首相にとっても、麻生氏への依存をどこまで続けるのかは重要な問題だ。党内基盤を広げるため、林氏や武田氏との接点を活用する余地はある。

美容産業振興という政策議連が、思いがけず党内政局の接点になった。高市・林の急接近は、麻生包囲網の始まりなのか。それとも、政策協力にとどまるのか。

化粧品をめぐる意外な動きの向こうに、自民党の次の権力闘争が見えてくる。