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マイナカードをSNS認証に使うとまで言い出した河野太郎の強権政治への支持は続くのか?それとも「危うい政治家」として失速していくのか?

河野太郎デジタル担当相が暴走気味だ。本来は「任意」であるはずのマイナンバーカードを普及させるため、健康保険証を廃止して取得を迫るなどあの手この手のゴリ押し政策を強行してきたが、ついにツイッターやフェイスブック、ユーチューブなどSNSのアカウントを作る時にマイナンバーカードで認証することを提案したのだ。

河野氏は2月12日の『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)に「そうだ! マイナンバーカード取得しよう」と胸に書かれたTシャツを着て出演し、マイナンバーカードについて「おかげさまで申請はもう7割弱まで来ました。8600万枚超えました。まだ頑張ります。しっかりやります」と胸を張った後、SNSへの迷惑動画投稿対策について次のように語った。

「いろいろな(SNSの)アカウントを作るときに、マイナンバーカードで認証することにすれば、年齢制限をきっちり守ることができます。そういうところにも(マイナンバーカードが)役に立ってくる」

これまでマイナンバーカードは国家が国民の資産や所得を一元的に把握し、税金を確実に取り立てることに本当の狙いがあると指摘されてきたが、そればかりではなく、SNSアカウント情報を国家が一元的に管理し、言論統制につなげる狙いも浮かんできたのである。匿名アカウントもマイナンバーカードを通じて国家に「身バレ」する恐れが高まれば、国家権力を批判する投稿への躊躇が広がるのは間違いない。

河野氏は世論調査で首相候補1位を走り、ポスト岸田への意欲も隠していない。国家による課税強化や言論抑圧への批判が高まるのを承知でマイナンバーカードの危険な活用方法を臆することなく打ち出すのは、むしろ「国家権力の強化」「強権的な政治指導者」を全面に打ち出したほうが自民党内で支持を広げられるという読みがあるからだろうか。

私はその政局観には否定的だが、河野氏がそう思い込んでいる以上、これからますます「強権的な政治指導者」の姿を強める可能性は極めて高い。

河野氏は2021年の自民党総裁選で党員投票で圧勝しながら、国会議員票で惨敗し、第一回投票から岸田文雄首相にトップを明け渡した。国会議員中心の決選投票では岸田首相に大きく水をあけられ、一年間は自民党広報本部長という“閑職“で冷飯を食ったのである。首相の座を得るには国会議員の支持を得ることが欠かせないという現実を突きつけられたのだった。

河野氏は2022年夏の内閣改造人事でデジタル担当相に復帰すると、国民に不評のマイナンバーカード普及に躍起になった。新たなカード取得者へのマイナポイント付与という「アメ」と、健康保険証を廃止してマイナカードへ一本化するという「ムチ」をなりふり構わず掲げ、「マイナンバーカードを普及させるために、取っていただいた方にメリットが出ますというのはありだ」と強調。岡山県備前市が市立小中学校の給食費無償化の対象をマイナンバーカード取得者に限定する方針を示していることにも理解を示した。

マイナンバーカードを利用してセルフレジで酒やタバコを購入できるコンビニの取り組みを視察したり、カード普及が遅れれば「国民の医療の質の向上の遅れにつながる可能性もある」と発言したり、とにかくマイナンバーカード普及活動で露出を増やし、存在感を高める狙いのようである。

このほかにも日本上空で目撃された気球の行方について「気球に聞いてください」と発言したことや、国会で原発政策や外相時代の事案について質問を受けて12回も「所管外」と回答を拒んだことが相次いで報道され、確かに存在感を高めている。

しかし一連の言動は「首相になったら何をやるかわからない」との警戒感をかきたてている側面は否めない。国民の人権や少数者の声を無視して強権的に物事を決めていく危うさを感じる。

河野氏がそれでも「首相人気1位」を維持しているところに、日本社会を覆う閉塞感がにじみ出ているといえるかもしれない。

強権性を強める河野氏が引き続き国民人気を維持するのか、「危うい政治家」として失速していくのか。政治の行方だけではなく日本社会の空気を映し出すバロメーターとして注目していきたい。


日曜夜に一週間の政治をランキング方式で振り返る『ダメダメTOP10』に今週は河野太郎氏も堂々登場です。ぜひご覧ください。

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