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立憲民主党は復調、日本維新の会は失速、れいわ新選組は急上昇〜野党の政党支持率の変化の原因は?次の衆院選で政界地図は塗り変わるのか

インフルエンサーの三春充希さんがマスコミ世論調査の内閣支持率や政党支持率の平均値を算出してSNSで公表する活動を続けている。政治家やマスコミ関係者で参考にしている人はかなり多いのではないだろうか。私も非常に助かっている。

とくに乱立する野党各党の支持率の水位は興味深い。以下のグラフによると、日本維新の会が一時は立憲民主党を上回って「事実上の野党第一党」の座を手に入れたものの、大阪万博批判で失速し、立憲は回復基調に乗ったことが一目瞭然だ。

立憲が独自に行なっている選挙情勢調査でも、自民党の裏金事件を受けて立憲にかなり良い数字が出ているという。泉健太代表がこのところ急に「政権交代」を旗印に掲げ出したのも、政党支持率の変化を踏まえたものだ。

維新が次の衆院選の目標として従来の「野党第一党の奪取」に加えて「自公過半数割れ」を言い出したのも、政治情勢の変化を映し出す現象といっていい。自公与党に接近していた国民民主党が一転して立憲との選挙協力を探り始めたのもそのためだ。

もうひとつの注目点は、野党の選挙協力とは一線を画するれいわ新選組の浮上である。

政党支持率はかつては①自民党がダントツトップ②立憲と維新が2、3位争い③公明と共産が4、5位争い④国民とれいわが6、7位争い⑤参政、社民、N党などが続くーーというのが相場だった。ところが昨年暮れあたりかられいわが急浮上し、国民を引き離して公明・共産グループに加わり、4、5、6位争いを繰り広げる状況が定着してきたのである。

れいわは党組織が脆弱で組織も持たない。いざ選挙になれば、創価学会を支持母体とする公明、全国組織がある共産、連合と緊密な国民と違って確実な票がなく、浮動票頼みとなるため、実際の得票がどこまで伸びるかは未知数だ。それでも大きなトレンドとして支持層を広げているのは間違いない。総じて高齢世代への浸透はいまいちだが、現役世代や若年世代へ支持が広がっているようだ。

その理由は以下のようなものだろう。

①上下対決

れいわは消費税廃止をはじめとして、貧富の格差を是正する経済政策に力点を置いている。経済界や富裕層を重視する経済政策を強く批判し、富の再分配を徹底するよう主張。消費税増税をはじめ財政再建を重視する立憲民主党との違いは明白だ。「上下対決」を全面に打ち出し、徹底的に庶民層の側に立つ姿勢が浸透しつつある。

②立憲民主党への幻滅

立憲が時折「批判よりも提案」と立場で自公与党に擦り寄ることが幻滅を招き、政権批判を重視する野党支持層がれいわ支持へ流れている点も見逃せない。れいわは国会で徹底抵抗路線を貫き、立憲の国会対策を強く批判していることが功を奏しているともいえるだろう。

③共産党への警戒感

共産党の党員除名問題の影響も大きい。共産党のコアな支持層は結束したが、緩やかに支持してきた層は「党内言論弾圧」に戸惑った。田村智子氏が初の女性党首に就任したものの、党勢拡大の傾向がみられないのは、党員除名問題が影響しているのだろう。共産党を敬遠した層がれいわに流れているのが実態だ。

④山本太郎代表の露出機会増

れいわは昨年、山本太郎代表以外の顔をつくるため、大石あきこ氏と櫛渕万里氏を共同代表に起用。水道橋博士の議員辞職に伴って参院の比例当選枠をローテーションで回すことも打ち出した。この結果、山本代表が国会質問やテレビ出演で露出する機会が減り、党の存在感が薄れた面は否めない。このところ方針を転換し、山本代表が国会に立つ機会が増え、存在感が回復してきたことも、支持率上昇の大きな要因であろう。

とはいえ、野党同士が政権批判票を奪い合っている現状に変わりはない。限られた土俵で野党同士が競い合っているだけでは、投票率は上がらず、組織票を固めた自公与党を倒すことは難しい。政治への関心が薄く選挙に行かない人々に支持層を広げない限り、政権交代のリアリズムは生まれてこない。

とりわけ立憲支持層は高齢世代に偏っているといわれる。現役・若年世代にどう支持を広げていくかが大きな課題だ。

その点、れいわには大きな可能性がある。経済格差が広がるなかで、イデオロギー色を薄めて上下対決の構図をさらに強めることに成功すれば、今後、れいわ支持率はさらに伸びて、立憲や維新を追う展開も十分にあるだろう。立憲や維新が自公与党へ接近するほど、その可能性は高まる。

裏金事件による自民失速、そして次の衆院選に向けて野党各党は自公与党との対決姿勢を強めるが、選挙が終われば自公与党に再接近するようでは政治不信が膨らむばかりだ。こうした状況が独自路線を進むれいわをさらに押し上げるという展開も予想される。

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