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水道橋博士の「はかせ日記」が国会のディテール満載で面白い〜れいわ新選組の幅を広げる活躍に期待

れいわ新選組から参院選で初当選した水道橋博士が国会活動を報告する『はかせ日記』を公開している。8月3日の初登院の一日を紹介した記事を読むと、国会内での出来事をたくさんの写真とともに詳細に伝えていて、とても面白い。さすがはお笑い芸人だけあって、客(読者)の関心のツボをおさえている。

初登院の朝の様子をすこし引用しよう。私の新刊『朝日新聞政治部』の帯にも「すべて実名で綴る内部告発ノンフィクション」という文字が踊っているが、水道橋博士の『はかせ日記』も政治家から秘書まですべて実名で登場し、臨場感にあふれている。

国会前に到着。
既に灼熱地獄と取材殺到。

「異常な対談」YouTubeの
近藤さんも撮影に駆けつけている。

れいわ新選組の議員の溜まりへ。
衆議院のみなさんも列席。

取材陣の交通整理をする代表に、
「機嫌悪いん?」と大石さん。
「ちゃう、フナゴさんの体調もあるし、
時間が長くならないようにしてんねん!」

山本代表の靴が、
革靴ではなく、
ドクターマーチンのブーツなのが、
いつも「疲れないのか?」不思議。

こんな感じで日記は綴られていく。取材陣の交通整理をする山本太郎代表に「機嫌悪いん?」と声をかける大石あきこ政審会長。いつもこんな調子で切り込んでいるんだなという様子が浮かんでくる。山本代表が舩後靖彦参院議員の体調を気遣うあたりも、革靴ではなくドクターマーチンのブーツを履いている話も、ディテールを大切にしたテンポ良い筆致はセンスがいいと思った。

国会活動だけではない。れいわ新選組の党内会議の様子も詳細に伝わってくる。

以下は18時からリモートで行われた勉強会の様子。代表も幹事長も他の国会議員も秘書も対等な立場で参加している様子が垣間見える。私も長く政治記者をしてきたが、党内会議の様子をこのように公開するのは珍しい。まさに政治プロセスの可視化だ。

れいわ新選組が芸能人の水道橋博士を参院選比例区に擁立した時、著名人候補の登場を歓迎する声があがる一方、れいわ支持者の中には懐疑的な声も広がった。

れいわが旗揚げした3年前の参院選では重度障害者やシングルマザーら「無名の当事者」を次々に擁立。「誰一人見捨てない」「生きているだけで価値がある」という斬新な政治スローガンを掲げてマイノリティーに徹底的に寄り添う党のイメージが、著名な芸能人の擁立と重なり合わなかったのだろう。

山本太郎代表は水道橋博士が日本維新の会の松井一郎代表に「スラップ訴訟」を受けた当事者である点を強調して理解を求めたが、それでも芸能人であることに変わりはない。自民党が東京選挙区に擁立したおニャン子クラブ出身の生稲晃子氏らとは同列に論じられないとしても、やはりこれまでのれいわの候補者たちとは違う特別な存在であることは否めない。

ただ、猛暑の参院選活動を通して、私は水道橋博士が変化していくのを感じた。当初は「スラップ訴訟」を最大の売りに維新と戦い自分を前面に打ち出していたが、他のれいわ候補者とコラボで選挙運動を展開しているうちに訴える内容が広がっていったのである。この人は呑み込みがはやい、お笑いの世界で鍛えられてきた底力があると私は感じた。

参院選でれいわが比例で獲得したのは2議席。ひとつは世界で最も障害の重い研究者とされる天畠大輔氏(特定枠で擁立)に割り振られ、最後の一議席は水道橋博士に決まった。当選確実が出た直後の記者会見で、水道橋博士が「れいわの候補者たちと選挙活動をしている途中から、自分よりもこの人たちを当選させたいと思うようになった」と語る姿をみて、彼はこの選挙を通じてれいわの政治信条を全身で吸収し、出馬会見の時とはまったく違う政治家として国会に乗り込むのではないかと私は思った。

れいわの比例候補で水道橋博士に続いたのは、大島九州男氏と長谷川ういこ氏。ふたりが当選ラインに届かなかったのはとても残念だったが、水道橋博士は二人を支援した人々の思いを受け止めて国会活動にのぞむと期待できそうだ。

水道橋博士が金髪から黒髪に変えたのは「映画の撮影用」とのことだが、そこには心機一転、新しい道を切り開く決意もあったのではないかと想像する。

そう感心しているところへ、ユーチューブ番組『水道橋博士の異常な対談』から私へ出演依頼が届いた。参院選前から大石あきこ氏や長谷川ういこ氏られいわ新選組の人々にインタビューする機会が相次いだが、 水道橋博士とは会ったことがない。もちろん快諾した。対談は今月下旬に実現する。お楽しみに!

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