政治を斬る!

東京都港区「伐採隠し」の住民説明会!有栖川宮公園の道路整備で開催告知したが「樹木伐採」に触れず 11/21と11/23に区民以外の皆様もぜひ参加を!〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(5)

東京の明治神宮外苑再開発は大量の樹木伐採に抗議運動が広がり、来年夏の東京都知事選へ批判が高まることを恐れた小池百合子知事が「待った」をかける事態になった。

故坂本龍一さんや村上春樹さんら著名な文化人が次々に声をあげたインパクトに加え、多くの市民がSNSに反対意見を投稿し、あるいはデモを通じて抗議の意を示したことが、政治を動かしたといっていい。

私もこの運動に呼応して、生活圏にある有栖川宮記念公園(東京・港区)で住民不在のまま進んでいた道路拡張事業による樹木伐採を取材し、当欄で同時進行的に4回にわたって紹介してきた。

港区まちづくり課が区民に対して説明が不十分なまま樹木伐採に踏み切ったことを認め、工事を中断して住民説明会を開催することを私に約束した経緯は、連載4回目(9月21日公開)で報告したとおりである。

坂本龍一の遺志を継げ!百年以上かけて守り続けた貴重な樹々を切らないで〜最後の訴えを黙殺した伐採女帝小池百合子はあなたの身近でも樹木を切り倒している!新連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(1)

昭和21年(77年前)の都市計画のままに樹木を切り倒していく東京都と港区の時代錯誤〜『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(2)

樹木伐採の事前周知が不足していたと港区は認めた!私は住民説明会をやり直し、それまで工事を凍結するよう求めた〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(3)

渋谷区「枯れた樹木189本伐採」→地元住民の依頼で調査した専門家「枯れて伐採が必要なのは2本」→区は伐採計画見直しへ〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(4)

明治神宮外苑の樹木伐採を機に、それぞれの人が身近な場所での樹木伐採に反対する動きが全国に広がればいいと願って、身近なところで地道に始めた「たったひとりの反対運動」が、一歩前進したことは感慨深い。港区まちづくり課は私に住民説明会の日程が決まれば連絡するとも約束していた。

11月2日にようやくその知らせが届いた。11月11日に「広報みなと」で周知するので、私が報道するのはそれまで待ってほしいとのことだった。

開催日時 ①11月21日(火)午後6時〜8時 ②11月23日(木・祝)午前10時〜正午

開催場所 麻布子ども中高生プラザ

参加資格 どなたでも

問い合わせ 麻布地区総合支所まちづくり課 03ー6441ー0432

ずいぶん時間がかかったのは「お役所仕事」として大目に見よう。住民説明会の開催まで新たな樹木伐採を含む工事は中断すると約束しているので、意図的に開催を引き延ばしたとも考えにくい。役所内や区議会、工事関係者などの調整に手間取ったのだろう。

平日と祝日に2回にわけて実施することは評価できる。参加資格も区民に限定せず「どなたでも」としている点もいいことだ。港区民に限らず、たとえば明治神宮外苑での反対運動に取り組んでいる人々も参加できるのだから、心強い限りである。

私は楽しみに11月11日の「広報みなと」を待った。そして当日、それを見て、がっかりした。

告知には「有栖川宮公園」と文字も「樹木伐採」の文字も見当たらない。これでは何のために開催する住民説明会なのか、まったく伝わらないではないか。

「お知らせ」コーナーに、いきなり「都市計画道路補助9整備事業に係る説明会」というタイトルで開催日時や開催場所のみを記したところで、だれが「有栖川宮記念公園」の「樹木伐採」についての説明会」と理解できるというのか。



なぜ、「有栖川宮記念公園の樹木伐採について、区民から抗議が届きました。住民や公園利用者をはじめ多くの人々に十分に周知せず、事前説明を尽くさないまま伐採に踏み切ったことについて、反省しています。工事は一時中断しました。改めて多くの人々の声に耳を傾け、今後の事業展開を再検討します。区民に限らず、どなたでも参加できます。平日夜と祝日昼の二度にわたって開催しますので、ぜひご参加ください」と書けないのだろうか。

港区ホームページにも住民説明会の開催について告知されていたが、驚くべきことに「樹木伐採」については一言も触れていなかった。明治神宮外苑で高まる「樹木伐採」への抗議活動と切り離そうという姿勢がありありである。

樹木伐採に反対する人々と合意形成を進めようという意志も決意も感じられない。まさに「伐採隠し」の住民説明会というほかない。

港区まちづくり課は樹木伐採に反対する人々の声に耳を傾けて事業を見直す気はさらさらなく、住民説明会を開催したという「アリバイづくり」をしたいだけなのだろう。そう思われても仕方がない。

あまりに不誠実である。これだから役所仕事はダメなのだ!

いや、この政治責任は武井雅昭区長にある。

広報に記載するのだから、まちづくり課だけではなく、武井区長ら区幹部も内容を承知しているに違いない。このような広報を容認しているのだから、武井区政は日頃から行政の説明責任を果たすことに後ろ向きということなのだろう。

樹木伐採に対して世論の反発がこれほど高まっているのに、何という「事なかれ主義」「隠蔽体質」であろうか。

世論の声に鈍感で、危機管理能力が大きく欠如しているのではないか。

一部の業界や自分の支持者だけを見る「身びいき区政」が蔓延しているのではないか。

広報ひとつから様々な疑問が浮かんでくる。国際都市・東京の真ん中にある港区政の実態に唖然とするほかない。

最終評価は住民説明会に参加して判断しようと思うが、今年4月に有栖川宮公園の樹木伐採を目の当たりにして愕然とし、港区に異議を唱えてきた私の評価は現時点では相当に悪い。

今年3月、泉房穂氏がリーダーシップを発揮している兵庫県明石市の市役所を訪れた時に感じたのは、市職員たちが生き生きと市民に接し、誠実に向き合おうという姿勢が隅々まで徹底されていることだった。

樹木伐採をめぐって半年にわたり港区まちづくり課を取材してきたが、明石市役所のような親しみやすさも晴れやかさも感じたことがない。個々の職員というよりは、トップ(武井区長)の政治姿勢に問題があるのだろう。

ぜひみなさんも住民説明会に参加して港区の姿勢をただしてください!私も参加します!

これでも樹木伐採を年内に強行するのか?一触即発となった東京・港区「結論ありきの住民説明会」緊急報告〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(6)

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