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これでも樹木伐採を年内に強行するのか?一触即発となった東京・港区「結論ありきの住民説明会」緊急報告〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(6)

東京都港区が今春、ほとんどの住民が気づかないうちに有栖川宮記念公園の樹木300本以上を伐採した問題について、私はSAMEJIMA TIMESで強く批判し、住民説明会の開催を求めてきた。

半年以上を経てようやく住民説明会が11月21日に実現し、私も参加した。

明治神宮外苑の樹木の大量伐採については、坂本龍一さんや村上春樹さんら著名人が抗議の声をあげ、世論の批判が高まり、小池百合子東京都知事はいったん開発を止める姿勢を示したところだ。

有栖川宮記念公園周辺の道路整備に伴う樹木伐採にも反対意見が相次ぎ、港区はこの日の住民説明会まで工事を中断していた。

港区が説明会で住民の意見に耳を傾け、今後の事業のあり方を再検討することを私は期待していた。ところがその期待は打ち砕かれたのである。

港区は住民説明会の開催を広報誌で告知したものの、その文面には「有栖川宮記念公園」の文字も「樹木伐採」の文字もなく、何のための説明会なのか、まるで理解できない文面だった。住民説明会を広く周知し、多くの住民の声をすいあげる気などさらさらなかったのだ。

私をはじめ住民説明会の開催を知る人々がSNSで発信した結果、この夜は約30人が会場へ駆けつけた。

しかし、港区は住民説明会を単に「港区が事業継続について一方的に説明し、住民の質問や疑問に答える場」としか考えず、「住民とともに樹木伐採の是非を考え、合意形成を図る」つもりは毛頭ないことが、説明会に参加してよくわかった。「結論ありきの説明会」「アリバイづくりの説明会」だったというほかない。極めて不誠実な姿勢だった。

今回の連載6回目は、この説明会の内容を詳報する。ここに至る経緯は過去の連載をご覧いただきたい。


3月に有栖川宮記念公園の樹木が伐採された直後の様子。樹齢100年を超えるとみらえる大木も伐採された

坂本龍一の遺志を継げ!百年以上かけて守り続けた貴重な樹々を切らないで〜最後の訴えを黙殺した伐採女帝小池百合子はあなたの身近でも樹木を切り倒している!新連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(1)

昭和21年(77年前)の都市計画のままに樹木を切り倒していく東京都と港区の時代錯誤〜『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(2)

樹木伐採の事前周知が不足していたと港区は認めた!私は住民説明会をやり直し、それまで工事を凍結するよう求めた〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(3)

渋谷区「枯れた樹木189本伐採」→地元住民の依頼で調査した専門家「枯れて伐採が必要なのは2本」→区は伐採計画見直しへ〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(4)

東京都港区「伐採隠し」の住民説明会!有栖川宮公園の道路整備で開催告知したが「樹木伐採」に触れず 11/21と11/23に区民以外の皆様もぜひ参加を!〜連載『有栖川宮記念公園の伐採を追う』(5)

🔸撮影と録音

住民説明会は11月21日午後6時から2時間、有栖川宮記念公園の向かいにある麻布子ども中高生プラザで開かれた。施工側から港区まちづくり課の傳法谷大樹課長以下4人と施工業者の1人の計5人、住民側は私も含めて約30人が参加した。

開催に先立ち、港区まちづくり課と私の間でさやあてがあった。

私は樹木伐採の取材をはじめた3月以降、住民に十分に周知しないまま樹木伐採を実施したことに抗議し、住民説明会の開催を求めてきた。

まちづくり課は当初は乗り気でなかったが、取材の途中から事前周知が不十分だったことを認め、住民説明会の開催を受け入れ、私にメールで知らせてきた。ただし、説明会の撮影と録音は認めないという姿勢だった。

私がメールで理由を尋ねたところ、当初は「参加住民が質問に躊躇する恐れがある」と回答したが、「参加住民は撮影しない」と応じると、今度は「プライバシーの観点から撮影はご遠慮いただきたい」と言ってきた。「誰のプライバシーですか?参加住民は撮影しないし、区を代表して質問に答える区職員にプライバシーの問題は発生しない。撮影禁止は受け入れられない」と返答すると、返信は途絶えた。

私が当日会場に出向いてカメラを設置しようとすると、まちづくり課は「撮影と録音は…」と言う。そこで「理由は?」と尋ねたが、明確に答えられない。

押し問答の末、①カメラは港区側の5人に向けてレンズを固定して設置し、会場の住民は映らないようにする②住民が質問する際に録音を拒否した場合は撮影・録音を停止する③説明会冒頭に以上のルールを説明するーーということで折り合った。

傳法谷課長は「本当に住民が映っていないか、終了後に確認したい」と言ったが、私は「行政当局による報道の事前検閲になるため受け入れられない」と拒否したうえ、「カメラは固定して回すので、住民は映らない。音声が心配なら、住民が自らの質問の録音を拒否した場合、あなたが一時停止ボタンを押していい。私は説明会開催中はカメラを一切触らない」と答え、合意した。


会場に固定したカメラはこのアングルで説明会の一部始終を撮影・録音した

中央省庁などの行政当局と報道陣が撮影や録音をめぐってぶつかることは、取材現場では日常茶飯事だ。多くの場合は記者クラブ幹事社が行政当局の広報部門と折衝するが、区役所レベルではあまりないことなのだろう。

マスコミ記者でなくても、誰しも「取材の自由」を主張する権利はある。一般市民の方々も撮影や録音の権利を堂々と主張すればよい。それがSNS時代のスタンダードである。

その際、ずっとカメラを回し続けておくことが秘訣である。決定的瞬間を捉える可能性が高まるからだ。

私が①~③のルールで撮影・録音することは、説明会冒頭、港区側と私自身によって参加者に案内された。

質疑にあたって録音を拒む人は結局現れず、私のカメラは2時間にわたる説明会の間ずっと回り続け、そのやりとりの一部始終を捉らえた。後述するが、説明会が紛糾する場面も記録したのである。

🔸私の質問と区長へのインタビュー要請

SMEJIMA TIMESが取材に入っていることを参加者が承知したうえで、説明会は始まった。最初は港区側が30分ほど事業継内容について説明した。

そこで驚いたのは、港区は住民説明会が終わり次第、11月中に事業再開に着手し、12月中には残りの樹木伐採も終えるというスケジュールをあっけなく提示したことだった。

港区には樹木伐採について立ち止まって見直すつもりはなく、住民説明会を「樹木伐採を続ける通告の場」としか考えていなかったのである。

質疑応答に移り、私は最初に発言の機会を得た。なるべく多くの住民に質問してもらいたいと思い、冒頭質問を手短かに切り上げるつもりだったが、事業継続を前提にした港区側の説明が想像以上にひどい内容だったため、以下のような内容をじっくり問いただすことにした。

①まずはほとんどの住民が知らないうちに大量の樹木を伐採してしまったことについて謝罪したらどうか。

②そのうえで今後の事業継続について「結論ありき」ではなく、いったん立ち止まって、住民たちと話し合ったらどうか。

③住民説明会の事前周知の内容はひどかった。「有栖川宮公園」も「樹木伐採」も明記されておらず、何の説明会は理解できない。やり直すべきだ

④住民説明会の開催前から樹木伐採の事業継続を決定しているのは不誠実である。武井区長がそのような政治判断を下したのか。それとも副区長以下の事務方の判断か。

同じ趣旨の質問を切り口を変えて何度か重ねたが、いずれの回答も中途半端で不明朗だった。事務方では回答できない「政治案件」であると私は判断し、武井区長へのインタビューをその場で申し込んでマイクを譲った。

🔸住民の質問

その後、参加住民からは樹木伐採に対する抗議が相次いだ。女性の発言が多かった。いくつか紹介しよう。

・樹木328本が切られて涙が止まらない。怖くて見ることができない。元に戻してよ!

・なぜ樹齢100年の木を切ったのか。どうして命ある樹木を簡単に切れるのか。それでも人間ですか?

・明治神宮外苑でさえ、樹木を伐採する前には周知した。樹木を切った後に説明会を開くという、とんでもないことはしていない。伐採してから説明会と言われても、元に戻してくれとしか言えない。

・切らなくていい木を切ってる。専門家の意見を聞いたのか。

・近くのインターナショナルスクールの子どもたちはかなりのショックを受けている。夏の日差しが強く、樹木がなくなってしまい、公園にたどり着くまで暑さが厳しい。

・近くにあるいくつかの幼稚園や保育園に尋ねたが、どこも道路拡張など求めていないと言っていた。

・道路拡張の都市計画は70年以上前のもの。本当に住民が拡張を求めていたのか?地元の人は歩道を広げなくても、みんな公園の中を歩いていた。ここで生まれて70年以上たつが、拡張を求める声は聞いたことがない。

・気候変動が世界的な問題になっている。70年前の都市計画の時点と地球環境は大きく変わった。なぜ70年前の都市計画通りに事業を進めるのか。

・どうしたら12月の伐採を止められるのか。

・区の広報を見ても、ホームページを見ても、何の説明会かわからない。住民に知らせないままアリバイづくりで説明会を開いたとしか思えない。

・大木が転がっている光景をいきなり見て、びっくりした。何が起きたのかわからなかった。ショックだった。

・70年以上を実施してこなかった事業を、なぜ、いま、急いでやるのか。

以上のような抗議の声が相次いだが、港区からは要領を得ない回答が続いた。12月から樹木伐採を再開するという姿勢も何も変わらなかった。

🔸一時騒然に

説明会の途中で、会場にいた男性が、質問者を声を遮るように「不平不満を聞く会ではない。説明を聞くための会だ」「いつまで質問するの?早く質問をまとめてよ」などと横槍を入れ、不規則発言を繰り返し始めた。

参加者たちが「静かにして」などと抗議をしても、港区の司会者は放置し、逆に質問者に早く質問をまとめるように促す場面もあった。

不規則発言を重ねる男性に、住民のひとりが「あなたは役所の回し者?」と聞くと、「そうです。回し者です」と答えた。言い合いは次第にエスカレートし、怒号が飛んで一触即発の雰囲気になった。

参加者からは不規則発言を繰り返す男性への批判が噴出し、その男性は大きな声をあげて反論した後に退場した。その間、港区まちづくり課が男性を注意する場面は一度もなかった。

男性が退場した後、説明会は平穏を取り戻したが、港区側の姿勢は最後まで「伐採ありき」で変わらず、二時間を経過したところで終了となった。

私は会場が騒然とした時は黙って様子を見ていたが、説明会終了後、傳法谷課長に武井区長へのインタビューを改めて申し入れるとともに、不規則発言を重ねる男性を注意せず、質問者にだけ質問打ち切りを求めたのは不公正な議事進行であった旨を伝え、それに対する港区としての見解も求めた。いずれも一週間以内に回答するように要請した。

以上が11月21日の説明会の緊急報告である。

今後、撮影した動画を精査し、必要な部分は公開することも検討する。武井区長へのインタビュー要請に対する港区の回答も連載で引き続き紹介したい。

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