高市政権の支持率が再び上昇に転じている。
毎日新聞の9月26、27日調査では、内閣支持率は45%となり、前回から4ポイント上昇。不支持率は40%に下がり、3カ月ぶりに支持が不支持を上回った。ところが、内閣改造そのものへの評価は23%にとどまり、「評価しない」は39%。人事への期待も「期待する」32%に対し、「期待しない」が40%だった。
つまり、今回の支持率上昇は、改造人事が大絶賛された結果ではない。
むしろ興味深いのは、個々の人事に対する評価が低いにもかかわらず、高市政権全体への支持が持ち直していることである。
この現象を読み解く鍵は、「高市が強い」というより、「高市の敵が弱い」ということではないか。
まず自民党内である。
麻生太郎氏の副総裁続投について、毎日調査では「評価しない」が56%に達した。鈴木俊一氏の幹事長続投も「評価しない」が39%。萩生田光一氏の幹事長代行も46%が否定的に評価している。
高市政権の人事に不満があったとしても、それに代わる自民党内の有力な対抗軸が見えてこないのである。
林芳正氏ら高市政権と距離を置く勢力も同様だ。政権への不満を吸収して「次はこちら」という選択肢を提示するまでには至っていない。
そして野党である。
ここはさらに深刻である。FNN・産経合同調査では、自民党の支持率34.7%に対し、中道改革連合は1.2%。しかも中道改革連合の分裂について「よかった」と答えた人は54.2%で、「よくなかった」の24.5%を大きく上回った。
中道改革連合は9月9日に、立憲民主党出身議員が新党を結成し、公明党出身議員が公明党へ復党する形で分裂することを正式決定した。しかし、読売新聞の世論調査で中道を離れた立憲出身者でつくる「民主改革の会」の支持率は0%になったことが、ネット上で話題を呼んでいる。
これでは「高市政権に代わる政権」を期待する有権者の受け皿になりにくい。
もちろん、高市政権への積極的な期待もある。食料品の消費税減税にはFNN調査で58.3%が賛成している。しかし、それだけでは説明しきれない。
高市政権の人事に不満があり、個々の政策にも注文がある。それでも支持率が上がる。ならば、「高市を積極的に支持する」という一方向だけでなく、「高市に代わる選択肢が見当たらない」という側面も見なければならない。
政治では、政権の強さと野党の弱さは裏表である。
高市氏にとって本当に怖いのは、現在の麻生氏や林氏、あるいは現在の野党ではなく、政権への不満をまとめ上げる「強い敵」が登場することだろう。
逆に言えば、それが現れない限り、高市政権は人事で失点しても、支持率を大きく崩されにくい。
高市氏が強いのか。それとも、周囲の敵が弱すぎるのか。
いまの世論調査が突きつけているのは、そんな政局の逆説である。