政治を斬る!

オーストラリアから日本を思って(72)日本の不思議な税制・政策と経済の凋落~負けても増税を旗印に!?豪州は、違っていた…まとめ編〜今滝美紀

最近、過剰な円安が、国際的な政治/政局の話で、異例な状況だと語られることが何度かありました。

日本で「一億総中流」と呼ばれ、多くの人々がそれなりに豊かに暮らしていた時代から、「子ども食堂」が各地にできる時代へ急展開。食事にも苦労する人々が多く現れる時代になり、富裕層とそうでない人々のギャップが広がりました。

今は、戦争でエネルギー不足に加え、日本は円安で、より物価は上がり、消費税の支払いも上がり、より生活が大変になる人々が増えています。最低賃金も先進国と比べてまだまだ低い状態です。

SamejimaTimes “ 追放された男。旗は増税⁉ ”9月22日)では、まだ多くの政治家たちは、いわゆる財務真理教信者のようで、消費税をまるで“普遍の神”のように崇拝し、声高に“増税”を訴えていることが分かりました。これも異例に見えます。

パンデミック以来、世界では消費税の減税や撤廃が進みました。アメリカでは国として消費税を取っていない、無い州もある。豪州の消費税は、全て地方に分配され、国の社会保険や福祉には使われていません。

ですから日本で、よく為政者が口にする「消費税減税で、社会福祉ができない」という言い訳には、説得を感じません。

豪州では、食料品(基本的)は0%で、物が揃えば、ほとんど消費税を払っていないことに気づいた事を書きました(第69回)。第70回とあわせてオーストラリアと日本の税制・政策を比べ、より豪州は、富裕層から低所得者へお金が還元されていることを書きました。下に短くまとめます。

1⃣ 所得税+社会保険料で、低中所得者層は、豪州は日本より年間約40万円少ない(低中所得層)。豪州では、年収約200万円以下の人々は、所得税も社会保険料も無し、0円です。

2⃣ 日本は社会保険料(健康・年金・雇用・介護)が、年収の約15%以上になる。

例えば、MoneyForwardによると、

年収0円でも、保険料は年間約25万円~31万円

年収200万円(月収約17万円)~年収500万円(月収約36万円)なら、保険料は、約30万~73万円、収入の15%前後、徴収されます。

収入が無く0円ても月2万円以上かかります。(こちら参照)

豪州は、社会保険料は、医療費(メディケアー)のみ、2%(一律)です。

年収約200万円以下は保険料(医療費)は、0円です。

年収300万円(月収約25万円)~年収500万円(月収約36万円)の保険料は約6万円~10万円となり、日本より約63万円低いです。

豪州では、低収入層からはとらず、裕福層からの税金で、助けられています。 

3⃣ 豪州では、固定資産税・相続税・贈与税・住民税もありません。住民税は、土地を持たない賃借人には、課せられません。土地所有者のみが、地方政府に払います。額は土地価格により、NSW州では平均年間10~20万円で、日本とほぼ同額のようです。   

4⃣ 豪州では、米国も注目する定年退職金(Superannuationという積立退職金制度)がありいます。これが、豪州の財政と老後を支える、発明的で欠かせない制度だと見られています。全労働者が、もらえます。基金団体が投資し、雪だるま式に増えます。最近では利益率が、年間10%前後です。生命・雇用保険も含まれます。60歳以降に、使うことができます。

利点① 転職してもパート・契約社員も雇用主から収入の12%、労働者の個人年金口座に直接振り込まれる

政府に使われることがありません。

利点⓶ 投資で雪だるま式に増える

管理するのは、積立年金基金で、選ぶことができます。労働者の産業を選んで、その分野に投資されます。その基金を利用する、豪州の労働者のみが株主で、利益が分配される基金を選べます。言い換えると、海外や外部の株主に利益を取られることが、ありません。

日本の問題は、日本企業の多くが、海外の株主で占められ、日本で生まれた利益が、日本の労働者や人々・社会に還元されず、海外の株主へ流出している事でしょう。民営化・グローバル化・規制緩和がマイナスに働いているのではないでしょうか。

豪州では、国が、基金に対し厳しいルールがあり、労働者の積立金元本が割れないように、規制されています。

利点③ 国の産業を応援する

自分が属する、国の産業を選んで、年金積立金を投資できます。全労働者が投資家です。私は、豪州の教育と社会分野に投資する基金団体を選んでいます。国の産業の活発化と発達にも貢献します。

日本では、多くの有望な中小企業があると思いますが、倒産が増えていると聞きます。日本国内産業に、日本の労働者から投資が得られれば、倒産を防ぎ、もっと発展するのではないでしょうか。

利点④ 国の財政を助ける

スーパーアニュエーション(退職金積立制度Superannuation)は、一般的に数十年働くと数千万円は貯まり、長期働く高額所得者は、億単位で貯まります。税金はかかりませんが、退職金額が約3億円:3ミリオンドルを超える裕福層のみ15%の税金が課せられます。これが、年金の必要な人々に、再分配されます。

年金をもらわなくても裕福に生活できる層が生まれ、国の財政を助けています。現在豪州の40%は、年金をもらわず生活し、国の財政を助けています。(豪州積立退職金制度:詳しくは第70回) 

5⃣ 豪州は公営国営のハイブリッド。郵便局は国営です。水道は全て公営。交通機関・ガス・電気のほとんどが公営か半官半民の運営です。

日本では、とにかく「民営化が良い」という概念が広がり、生活に必要な、郵便局も、JR(鉄道)も、電気やガスのエネルギーも、公共の水までが民営化されています。利益追求と利権が第一となり、地方衰退、価格高騰を引き起こしているのでしょう。 

   

まとめ~豪州と日本を比べる

豪州では、低所得者層からは税金や社会保険料は無い、0円だという事です。

その分、裕福層のお金が、必要な人々に分配される、税制やシステムのようです。

これは、資本主義と呼ばれる社会で、普通に行われています。行き過ぎた格差を、「再分配」で和らげています。

また、豪州では民営化が反省され、生きることに必要な、エネルギーや産業も国営・公営で責任をもち、人々の生活を支える基盤として、維持されています。

最近の日本と豪州の経済結果を AIにききました

・GDP成長率:日本約1.2% 豪州 約2.0%                     

・1人当たりGDP:日本約35,973米ドル(約570万円) 豪州約67,614米ドル(約1070万円)

・政府債務:借金(対GDP比):日本約206%~219% 豪州約51%     

豪州の経済成長と債務が少ないことが、うかがえます。(こちら参照1 参照2)

・最低賃金 日本(地方差あり)東京1300円弱 低い地方1100円弱 豪州(全国同じ)自給$26.44(約2900円:豪1ドル=110円で)現在日本の2倍以上

日本の賃金が低いのは、外部や海外の株主に利益が流れ、内部留保も多いからかもしれません。豪州では、利益がより賃金に回され、積立退職金制度で、同じ産業に投資した株の利益も、外部や海外の投資家に流れず、その労働者たちに分配されます。日本も昔は従業員が、勤める企業の株をもち、利益の分配を得ていたとききます。  

・高齢者年金 

日本の年金は、支払った人のみがもらえます。自営業者の負担が高く、もらえる額は少なく不公平感があります。しかに、豪州は税金を納めたことのない、主婦などももらえます。 ”収入を得る仕事” だけでなく、”収入がない労働” も社会にとって大切だと認められていると感じます。 最近インフレのため、年金額が上がりました。 下は豪州の年金支給額(一律)です。

夫婦→2週間で$1866(約20万5千円)、一月で約44万円

単身→2週間で$1237(約13万6千円)、一月で約30万円 

これは、日本の年金の約2~8倍の額です。

日本で、最低賃金で一日8時間週休二日働いた給与、約19~23万円よりも約2倍です。

その他、日本のように、失業手当、しょうがい者手当もあります。

これらから日本が進めてきた高税制・緊縮財政・金融政策・民間への丸投げ政策が、経済に悪影響を与えているのではないかと、政治家たちに、立ち止まって、考えて欲しいと思いました。

日本は、“自由放任主義”傾向があり、競争に勝った者が富を独占し、そうでない人々は“自己責任”とされるため、格差が最も広がりやすい環境にあるようです。日本の元首相が、”自己責任”と繰り返し訴えていたことが浮かびます。

新自由主義(ネオリベラリズム)傾向もうかがえるでしょう。1980年代以降、アメリカ(レーガン政権)やイギリス(サッチャー政権)などで主流となった経済思想です。「小さな政府」を掲げ、規制緩和や民営化を推し進めます。富の再分配を減らすことで企業の競争力を高め、結果的に国全体が豊かになれば、富が貧しい人々にも滴り落ちる(トリクルダウン理論)と考えられました。しかし、現実には富が上層部に集中し、格差が拡大する結果をんだと見られています。

その結果進んだ、少子化・過疎化による経済の縮小、外国や外国の人々の依存、グローバル化と民営化で、日本の富の海外流出。そのため予想される近い将来の問題、食料・エネルギーの自国生産、AIへの対応社会があります。これらが、世界的な経済の政局と関わり、繰り広げられ始めました。長くなるので、これは別の回に、書きたいと思います。

冒頭の写真は、シドニーで見かけたアート・ギャラリーの様子です。


今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホームステイ先のグレート オーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。