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こちらアイスランド(187)G4KP8って何だ?レイキャビクのド真ん中から最大級のオーロラを目撃!〜小倉悠加

今世紀最大級のオーロラを自宅から見ることができた。下の写真を見てほしい。よく見かける緑色に加えて、鮮やかな赤、ピンク、紫、青っぽい色や黄色までそこにある。もう驚いたの何のって・・・。

時間を1ヶ月弱ほど巻き戻す。

あれは2024年10月10日の夜だった。強い磁気嵐がやってくるという。今年に入り何度かそういうことはあったけれど、天候が悪くオーロラは望めなかった。

今年はオーロラの当たり年と言われ、太陽の磁気嵐が多く発生している。オーロラが地上で観察されるのは楽しいけれど、その影響でGPSの精度が狂ったり、通信障害が発生することもあるそうだ。それはよくない。そんなことを懸念しながら、少しだけワクワクしながらオーロラの出現を待った。

10月初旬のこの時期は、夜の9時ごろにならないとオーロラが見える暗さにならない。なので、9時ちょうどくらいにバルコニーへ出てみた。案の定そこにはオーロラらしきモワンとした白いものが見えていた。

ここでお断りをしておこう。実際のオーロラは、みなさんがよくめにする写真のようにくっきりと色が見えるものではない。少なくとも私がアイスランドの街中や郊外で見たオーロラは、鮮明な緑色ではない。初めて見た時は、雲かと思ったほどだ。ただ、雲とも様子が違うことも確かなのだ。

実際のオーロラは、夜の闇の中に雲よりも形が整い、モヤっとした白っぽい光のようなものがススっと降りてくる感じだと思った方がいい。

実際にどのように見えるかは、以下に色調を変更して暗くした写真と、色調を変更していないものを比較として置いておくので見てほしい。

私は夜の9時に外に出て、モヤっとしたいつものオーロラを見かけたので写真に撮ってみた。カメラをモヤっとした白いものに向けた瞬間、思わず「なにこれ!赤い!!!」と言ってしまった。

見えていたのはぼんやりとした白っぽい(=通常緑色)の部分のみで、赤いところは全く見えていなかった。赤い色が混じっているオーロラは見たことがない訳ではなかった。けれど、これほど大規模に赤い色が出ているのは全く初めてだ。

急いで彼を呼び、その後は世紀のオーロラ大会となった。その辺は何を語るより、写真をご覧いただいた方がいいかと思う。写真と言ってもいつものようにスマホで撮っただけ。

この日は日本各地でも赤いオーロラを観察した人が多かった。日本のどこでどれだけのオーロラが観測されたかは、ツイッターの「#オーロラシチズン」というタグを追ってほしい。

たとえばだが、秋田ではこんなオーロラが見えたと男鹿市の職員が報告している。これはほんの一例でしかなく、全国津々浦々、沖縄までも見えたらしい!

磁気嵐がいかにすごいものかを痛感した。そして初めて、G4という非常に強い磁気嵐の、それもKp8が何を意味するかを知った。オーロラがすごーい、というお子様感想で終わるのも芸がないので、NOAA宇宙天気予報のスケールを調べてみた。ぜひこちらをご覧ください

これによれば、G4のKp8級の磁気嵐が起こるのは11年に100回度程度。ということは、年に10回弱は起こっている。とはいえ、オーロラが見える気候が揃うとなると確率はガクンと低くなる。

たぶんG4kp8級のオーロラを見るのは、きっとこれが最初で最後ではないかと思っている。いいものを見せてもらった、冥土の土産になった。それも、寒いと思えば1秒で家の中に戻れる環境で見ることができたのは、本当にラッキーだった。

世紀のオーロラ大会になろうことが分かっていたので、郊外へ出ていけばよかったか?という気持ちがないでもない。彼は事前に「郊外まで見に行きたい?」と尋ねてくれていた。ありがとう。

話は少し逸れるけれど、年齢のせいなのか、どうも近年腰が重い。週末のドライブは天気さえよければ死守しているけれど、海外へ出たいという思いもないし(第一アイスランドは私にとって海外だし)、アイスランドにいるからこそ今のうちに欲張ってヨーロッパ諸国を見たいというモチベーションもひどく低いーーーやっぱりお年頃でしょうかね?

そんな訳で、郊外へ出ることはすでに断っていた。後から思えば、光害がアイスランド国内で一番酷い地域から出るべきだったかな?それでも素晴らしい色彩の活発な動きは堪能したけど。

この時のオーロラはタイムラプスでも撮影してみた。オーロラがよく見える方向へ途中でカメラを動かしている。お見苦しい点はご容赦を。とりあえず雰囲気はわかるかと思う。30秒ほどなのでぜひご覧のほどを。

という訳で、この日を境にがぜん宇宙天気予報に興味が出た。つらつらとその関係のツイッター(現X)・アカウントを見ていると、NASA Sun & Spaceというアカウントで驚く表現を見かけた。「solar max phase(ソーラー・マックス・フェーズ)」太陽全開期間って何だ?太陽が爆発するのかぁ??みたいな!

だって、太陽マックス活動期ということは、え、え、え、太陽がもっと熱くなるとか??という素人の超おバカな連想をしていった。私にはオーロラがよく見える時期に入ったという意味しかないように思える。ちなみにマックス・フェーズは日本語では「極大期」と呼ばれるそうだ。

そして、南北の太陽磁場が反転したという!南北が入れ替わったということだ。地球の南北の地軸が入れ替わった訳じゃないし、太陽では約11年周期であることらしいのでパニックには及ばないらしいが、「磁場が反転」という言葉に驚きを禁じ得ない。だって南北が入れ替わったんだよ、地上の計器とかは狂わないのか?!

わからないことだらけですいません・・・。

世の中には知らないことがありすぎる。全部の物事を知ることは無理でも、こうして何かをきっかけに少し掘り下げることはできる。単なる野次馬の興味なので長続きはしないけれど、それでも、オーロラを見る度に太陽風がどうだったのか、どこの位置からどう巡り巡ってきたのか?というのを少しだけ考えるようにはなった。火山噴火の時もそうだったようにこうして少しずつ知識や体験を増やしていくのだなぁと、改めて思った。

追記:この記事を投稿予約直後、#オーロラシチズンの研究結果が発表されたというツイートを見たので、追記としてご紹介しておきたい。

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。