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立憲野党私設応援団(35)立憲民主党への提言〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

0.統一地方選挙を終えた立憲民主党の現状と、今後に向けての提言

1.合併して「シン民主党」

2.解散して「立憲ビッグバン」

3.党首交代「岡田待望論」

4.最悪の「改憲シナリオ」

5.トピックス:「暗殺が成功してよかった」失言問題

6.おまけ①:「れい子さん、今日のお気に入り」

7.おまけ②:「安心してください」

0.統一地方選挙を終えた立憲民主党の現状と、今後に向けての提言

統一地方選挙が終わりました。今回は、立憲民主党の現状と、今後に向けての提言について、話を進めていきたいと思います。

「立憲野党私設応援団」の連載開始時に、立憲野党4党(立憲民主党・日本共産党・れいわ新選組・社会民主党)に対する期待と不安について論考を行っていますので、その時の立憲民主党に関する記事のURLを最初に載せて紹介しておきます。

立憲民主党への期待と不安

さて、まずは統一地方選挙の前半戦が終わった際の立憲民主党代表・泉健太さんのツイートを見てみましょう。

統一地方選挙の後半戦の各党の議席獲得状況は、このような感じでした。

統一地方選挙を「地方議員の選挙」として捉えた場合には立憲民主党もそこそこ善戦している感はありますが、首長選挙においては、北海道知事選挙で惨敗、他の府県の知事選挙では独自候補を擁立できず不戦敗、衆参5補選においては、千葉5区の矢崎堅太郎さん、山口4区の有田芳生さん、参議院大分選挙区の吉田忠智さんの3人がいずれも自民党の候補に敗れて3戦全敗という散々な結果でした。

選挙戦に敗れたとはいえ、SNS上では山口4区の補欠選挙に立候補した有田芳生さんに対する称賛の声があがっていますが、私の独断と偏見で言わせてもらえれば、山口4区の選挙結果はそこまで手放しで称賛できるような内容ではないと思います。

山口4区

2009年衆院選:○安倍晋三(自民党)121,365票vs戸倉多香子(民主党)58,795票×

2012年衆院選:○安倍晋三(自民党)118,696票vs財満慎太郎(民主党)19,336票×

2014年衆院選:○安倍晋三(自民党)100,829票vs吉田貞好(共産党)17,358票×

2017年衆院選:○安倍晋三(自民党)104,825票vs藤田時雄(希望の党)18,567票×

2021年衆院選:○安倍晋三(自民党)80,448票vs竹村克司(れいわ新選組)19,096票×

2023年衆院補選:○吉田真次(自民党)51,961票vs有田芳生(立憲民主党)25,595票×

2021年衆院選の惜敗率23.7%に対して今回の2023年衆院補選の惜敗率が49.3%だったため「前回に比べて倍以上差を詰めた」というような言い方をしているようですが、れいわ新選組の竹村克司さんの得票と立憲民主党の有田芳生さんの得票を比べてみると、実際には6,499票しか票が増えていません。

2021年当時国会議員が2名しかいなかったれいわ新選組が手弁当で選挙戦を戦った時の19,096票と比較して、野党第1党が知名度の高い候補者を擁立して強力な応援弁士を続々投入して戦った選挙戦での25,595票は、そこまで大きく胸を張れるような数字ではないと思います。

「今回の補選の街の反応は、2009年の政権交代選挙の時よりも良く、手ごたえが感じられる」といったような声も聞かれましたが、実際に蓋を開けてみると、2009年の得票の半分以下に過ぎず、もし、今回の有田芳生さんが2009年の民主党の戸倉多香子さんと同じだけの票を獲得できていたなら、自民党から議席を奪うことができていた選挙でした。

むしろ今回善戦したのは、無所属で山口4区に立候補した平岡秀夫さんで、当選した自民党の岸信千世さんの61,369票に対して平岡秀夫さんが55,601票ということで、惜敗率90.6%、票数にして5,768票差まで迫る大健闘でした。

こうして見てみると、「立憲民主党」の看板はもはや集票の役には立たず、むしろ「無所属」で立候補した方がかえって有権者の支持を広げられるような状況になってはしないでしょうか。

このような立憲民主党の現状をふまえたうえで、今後どうすればよいのか、私の独断と偏見で、辛口の提言をしていきたいと思います。

提言の方向性は、大きく言って、①合併、②解散、③現状維持の3つです。

それでは順番に見ていきましょう。

1.合併して「シン民主党」

立憲民主党を今後どのようにしていくべきかということを提言するにあたって、考えられる一つめの方向性は「合併」です。

すなわち、立憲民主党と国民民主党が合併し、労働組合の連合を仲介役として「シン民主党」を結成するという方向性です。

国民民主党の側が嫌がるだろうと思われるかもしれませんが、例えば、「シン民主党」の初代代表を国民民主党の玉木雄一郎さんにして、初代幹事長を立憲民主党の岡田克也さんにする(「シン民主党」の代表任期は3年にして、初代代表は話し合いで決め、2代目以降は代表選挙を行う)といった形にすれば、国民民主党の側も話に乗ってくる可能性が考えられます。

もし立憲民主党と国民民主党が一つにまとまるなら、例えば今回の千葉5区の補欠選挙は自民党から議席を奪うことができていた計算になりますので、こういった方向性で組織の立て直しを行うということは、方法論としては考えられます。

しかし、合併してできる「シン民主党」は、丸ごと「改憲政党」になってしまう危険が濃厚です。

この方向性は、「立憲野党私設応援団」の立場からは、決して奨められるものではありません。

2.解散して「立憲ビッグバン」

立憲民主党を今後どのようにしていくべきかということを提言するにあたって、考えられる二つめの方向性は「解散」です。

すなわち、立憲民主党を解党して、所属議員は他の政党に移る(または無所属になる)ということです。

ネット上では、この方向性の考え方が人気なようです。

立憲の議員はバラバラになって、「護憲」が大事だと思う人は社民党に、「消費税は廃止」と思う人はれいわ新選組に、我こそは「労働者の代表」と考える人(連合から離れられない人)は国民民主党に、「身を切る改革」が大事だと思う人は維新に行けばよいではないか、ということです。

もしこのような「立憲ビッグバン」が起きるとするなら、れいわ新選組の議員の数は確実に今よりも増えますので、samejima timesをいつも読まれている皆様は、意識的にせよ無意識にせよ、この方向性を望ましいと思っておられる方がわりと多いのではないでしょうか。

しかし、この方向性も、「立憲野党私設応援団」の立場からは、決して奨められるものではありません。

確かにれいわ新選組の議員の数は増えるかもしれませんが、それ以上に維新が国会議員の数を増やし、選挙を経ずに「野党第1党」になってしまうことはほぼ確実でしょう。

そのような事態は、何としても避けるべきです。

3.党首交代「岡田待望論」

立憲民主党を今後どのようにしていくべきかということを提言するにあたって、考えられる三つめの方向性は「現状維持」です。

合併もせず、解散もせず、現状の党組織を維持したうえで、執行部の人事に手をつけて、何とか立て直しを図るという方向性です。

立憲民主党が党首交代で立て直しを図るという場合の方向性について、「集英社オンライン」が言及しています。

元毎日新聞記者の宮原健太さんが書いた記事で、記事には次のような記述があります。

立憲は党と候補者のイメージの双方を刷新することが求められている。こうした中、最後の切り札として名前が挙がっているのが野田佳彦元首相だ。

この記事によれば、ここで「最後の切り札」として出てくるのが「どじょう総理」の野田佳彦元首相なのですが、皮肉を込めて言えば、民主党政権の3代目総理として民主党政権の幕引きをした野田佳彦さんが今度は立憲民主党の3代目党首として立憲民主党の幕引きをするというのは、巡り合わせとしてはピッタリだという気がしないでもありません。

そもそも代表の泉健太さんが今の状況で「代表を辞めない」と言い張っているわけですが、仮に泉健太さんが何らかの理由で(選挙で負けたこと以外の何か別の理由をこしらえて)代表を辞任することになったとして、私が推したい次の党首は、岡田克也さんです。

突然ですが、ここで「岡田つながり」で、阪神タイガースの岡田彰布監督の話をしたいと思います。

今シーズンから監督として阪神の指揮を執っている岡田彰布さんは、「アレ」と「そらそうよ」が口ぐせで、「アレ」という言葉は明示的ではないものの「優勝」を意味すると一般的に解されていて、阪神ファンの人たちは「今年は18年ぶりの“アレ”や!」と気勢を上げて盛り上がっています。

阪神タイガースの2023年のスローガンは「Aim!Respect!Empower!」で「A.R.E.」ということで、今年は球団も「アレ」を推していくつもりのようです。

そこで、立憲民主党の岡田克也さんも、この際、立憲民主党の代表の座に就いて、衆院選の目標を「アレ」と言って、この一言で押し切ってしまえば、立憲民主党の支持者の人たちも盛り上がりやすくなるのではないでしょうか。

立憲民主党の場合、衆院選の目標を「政権交代」に置くか「与野党伯仲」に置くかで支持者どうしが揉めてしまうことが往々にしてあり、それを「アレ」の一言で済ませてしまうことによって、それぞれ自分が好きなように解釈して、機嫌良く選挙応援を進めていくことができるのではないでしょうか。

経歴を見ても、岡田彰布さんと岡田克也さんには類似点があります。

岡田彰布さんは2004年から2008年の5年間すでに阪神タイガースの監督を務めたことがあり、その際には「JFK」(ジェフ・ウィリアムス投手、藤川球児投手、久保田智之投手)を擁しての2005年のセリーグ優勝と、一時は13ゲーム差をつけて首位に立ちながら最終的に巨人に「メークレジェンド」で逆転優勝を許して2位に終わった2008年の悪夢を両方経験しています。

岡田克也さんは、民主党代表時代の2005年衆院選では「小泉郵政選挙」で大惨敗を喫した一方で、民進党代表時代の2016年参院選では「改憲勢力による3分の2の議席獲得の阻止」という実績を残しており、経験豊かな党首と言うことができます。

2016年参院選は、民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党による「野党共闘」で初めて臨んだ国政選挙(補欠選挙は除く)で、この頃は安倍晋三さんが総理大臣として与党を率いていた時期で、「憲法改正の発議」というテーマに手をつけるのかが度々話題になっていましたが、自由民主党121議席、公明党25議席、おおさか維新の会12議席、日本のこころを大切にする党3議席の合計161議席は、当時の参議院の定数242議席の3分の2にあたる162議席に1議席届かず、護憲派の野党支持者は選挙の結果に大いに沸き返ったものでした。

阪神ファンが岡田監督の「アレ」に期待しているように、護憲派の野党支持者としては、岡田克也さんにもう一度野党第1党の党首の座に返り咲いてもらって、伝説の「野党共闘」を再現してほしい。

ついでに言えば、幹事長には辻元清美さんを起用してもらって、岡田代表と辻元幹事長のコンビで「保守」的な考えを持つ有権者から「革新」的な考えを持つ有権者まで幅広く支持を集められるような立憲民主党に生まれ変わってほしい。

私はそう願っています。

4.最悪の「改憲シナリオ」

「立憲ビッグバン」が起きて立憲民主党が解体するか、党内の結束を維持しても衆議院の解散総選挙で敗れるかして、立憲民主党から日本維新の会への野党第1党の交代が起きる可能性があるのは事実で、マスコミはまるでそれが起こることを望むかのような論調で立憲の凋落と維新の躍進を報じています。

立憲から維新への野党第1党の交代が起きることで一番懸念されることは、「憲法改正の発議」に対する歯止めがなくなってしまうことです。

いかに自民党が多数の議席を有しているとはいえ、野党第1党が反対する状況であえて「憲法改正の発議」に突き進むことは政治的に難しい面があり、現在は野党第1党の立憲民主党の存在が改憲の動きを止める「重し」のような役割を一定程度果たしているわけですが、維新が野党第1党になれば、自民党は「与党と野党第1党との間で合意が得られた」として、大手を振って「憲法改正の発議」に突き進むことが可能になります。

自公維(あるいは自公維国)が「憲法9条の改正」に手をつけてくるならば、国民投票で反対運動を展開して何とか改憲を阻止できるのではないかと個人的には考えているのですが、あえて憲法9条には一切手を触れずに「緊急事態条項の創設」一本に絞って発議を行う場合には、反対運動はほとんど盛り上がらずに、国民投票も賛成多数になって最終的に憲法改正まで行きついてしまうのではないかと危惧しています。

「これはいざという時の緊急事態に備えるためのもので、国民のみなさんの普段の暮らしに影響を与えるものではありません」と説明されれば、多くの有権者は「普段の暮らしに影響があるわけではなくて、いざという時のための備えを強化するのだな」と解釈して納得してしまうのではないでしょうか。

もちろん、革新・リベラル派の人々は「緊急事態条項が創設されれば政府の独裁を許す危険がある」とか「政府が“緊急事態”と言い続ければ無期限に選挙の実施が先送りされて、選挙が行われなくなってしまう」といった反対意見を表明するでしょうが、わりと多くの人々が「またパヨクが大げさなことを言って文句をつけて反対してる!」とか「選挙やってもどうせ自民党が毎回勝つんだから、選挙が無くなった方が、無駄がなくて良くない?」と言って反対運動を批判するか冷笑する可能性が大きいのではないかと危惧します。

国民投票の選挙運動期間が始まっても、マスコミの報道はほとんど盛り上がらず、「改憲賛成」のテレビCMだけがバンバン流れて、低投票率の下で賛成多数という結果が出てから、選挙特番でキャスターが「政府が緊急事態条項を濫用すると独裁に陥る危険がありますので、政府には慎重な運用が求められますね」といったコメントを涼しげに言うのではないでしょうか。

そのように考えると、「緊急事態条項の創設」という改憲(壊憲)の悪夢を避けるためには、維新が野党第1党になるのを何としても防ぎ切る必要があることが分かります。

将来的に、立憲民主党以外の、共産党や、れいわ新選組や、社民党のうちのどこかの政党が野党第1党の座に躍り出るようなことが起きるのは私としては歓迎しますが、そうではなくて維新が立憲民主党に取って代わるという場合には、「改憲(壊憲)への道まっしぐら」ということになってしまいますので、今のこの場面では、みんなで力を合わせて立憲民主党を応援していく必要があるのではないでしょうか。

5.トピックス:「暗殺が成功してよかった」失言問題

話は変わって、本日のトピックス。

法政大学国際文化学部教授の島田雅彦さんと京都精華大学国際文化学部准教授の白井聡さんがレギュラー出演している「エアレボリューション」というネット番組が、問題発言で非難されています。

非難を受けているのは、島田雅彦さんの次の発言です。

こんなことを言うと、また顰蹙を買ってしまうかもしれないけど、今まで何ら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えばね、せめて『暗殺が成功して良かったな』と。まあ、それしか言えない。

2022年7月8日に山上徹也被告の銃撃によって命を落とした安倍晋三元首相に関して「暗殺が成功して良かった」と述べたことはとんでもない発言で、人の命を軽んじていると言うほかなく、謙虚に謝罪と反省を行わなければなりません。

またこれは「人命尊重」の考え方に反する発言であるとともに、「政治闘争」という観点から見ても間違った認識であると指摘せざるを得ません。

れいわ新選組代表の山本太郎さんは、国会内や街頭の場において度々「ひっくり返してみせますからね」と宣言していますが、本来であれば、リベラル側は、安倍晋三氏の総理在職中か、総理辞任後であったとしても存命中に選挙で勝って、政権交代を果たしておく必要がありました。

もし仮に安倍晋三氏が亡くなった後で野党側が選挙に勝って政権交代が成就できたとしても、安倍支持者の人々は「もし安倍さんが生きていれば、自民党が選挙で負けることはなかった」と主張して、永遠に敗北を認めないことでしょう。

そういう意味では、昨年起きた安倍元首相銃撃事件は、リベラル側の「永続敗戦」を決定づける事件となってしまいました。

また、森友学園問題や加計学園問題や桜を見る会問題などの数々の疑惑に関して今後もし調査や捜査などが進展して犯罪の成立要件(構成要件該当性、違法性、有責性)に該当することが明らかになったとしても、被疑者が死亡していては裁判を行って判決によって有罪を確定させることができず、「推定無罪」のまま永久に推移することとなりました。

そうした意味においても、安倍晋三氏の死亡は痛恨の出来事でした。

6.おまけ①:「れい子さん、今日のお気に入り」

こちらアイスランドからではなく日本からですが、湯川れい子さんのツイートをご紹介します。

7.おまけ②:「安心してください」

本日5月3日は、4月29日から5月7日までGW9連休の人にとっては連休の中日、5月3日から5月7日までGW5連休の人にとっては連休の初日です。

GWを楽しんでいただくための映像素材として、最後に、とにかく明るい安村さんの爆笑ネタを掲載しておきます。

みなさま良いGWをお過ごしください。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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