政治を斬る!

新聞記者やめます。あと22日!【五輪利権よりも庶民の命を救え!これは政治の優先順位の問題だ】

大阪を中心にコロナの感染者数が増え続けて医療が崩壊し、この国の政府は国民の自由を奪う緊急事態宣言を延長した。

日本は世界トップレベルの病床数がある。一方、感染者数は欧米より桁違いに少ない。それなのに、なぜ医療崩壊が起きるのか。ずっと指摘されている疑問に、この国の政治家も専門家も真正面から答えず、国民に我慢を強いるばかりである。そんな馬鹿なことを繰り返して、もう一年以上の月日が流れた。無為無策の政治によって、救えたはずの多くの命が失われ、無数の人生が狂わされたのだ。

東京五輪を強行開催するため、東京五輪に群がる一部の政権シンパの利権を守るため、東京五輪まで国民を大人しく閉じ籠らせて感染拡大を誤魔化し続けるのが、この国の唯一のコロナ対策である。

東京五輪のスポンサーであるマスコミ各社は政治家や専門家と一緒になって国民に自粛を呼びかけるばかりで、なぜ「医療崩壊が起きるのか」を厳しく追及しない。マスコミの追及不足が、政治家や専門家の「怠慢」を覆い隠し、彼らを尊大にさせ、堂々と国民に我慢ばかり強いることを許しているのだ(病床数は世界トップレベルで、感染者数は欧米より桁違いに少ないのに、医療崩壊が起きる日本の医療制度の欠陥を指摘する記事は実に少ない。そのひとつが昨年4月22日の論座『感染者14万人でも「医療崩壊」しないドイツ 感染者1万人で「医療危機」の日本』である。すでに一年前にこうした指摘がなされたいたのに、政府もマスコミも直視せず、何の改善策もとってこなかったことに呆れるほかない。ぜひご覧いただきたい)。

ワクチン接種が進む欧州は、すでに元の暮らしを取り戻しつつあり、旅行の予約が殺到しているという。翻って我が国はワクチンを独自開発できず、ワクチンの確保も大幅に出遅れ、ワクチン接種率は先進37カ国で最下位なのだ。いったい、政治家や専門家は何をしてきたのか。国民に我慢を強いるばかりで、自分たちの責任を果たしていないのではないか。

検査・医療体制を整え、ワクチン接種を進めて社会不安を鎮めることが、政治家や専門家ら指導者に課せられた責務である。それを一年以上も棚上げにしたまま、今さら「医療が逼迫している」と叫んで緊急事態を訴えたところで、ずっと我慢を強いられてきた国民が耳を傾けないのは当然の成り行きだ。

欧州の友人に日本の惨状を嘆くと、「そんな状態なのに、なぜ暴動が起きないの?」と不思議がっていた。まったくそのとおりである。この国は政治も官僚も専門家も二流、国民の我慢強さだけは一流ということか。

大阪や東京はなぜ巨大臨時病院を建設し、破格の高待遇で看護師をかき集めなかったのか。中国は武漢でコロナがまん延した直後、巨大病院を突貫工事で建設し、感染拡大を封じ込めた。一年以上も前の話である。いつまで「医療が逼迫している」と愚痴っているのか。今からでも巨大臨時病院を建設し、医療スタッフや医療機器をかき集めるしかないではないか。

カネとヒトが足りないと言うのなら、東京五輪と大阪万博を返上し、その財源と人員をすべてコロナ臨時病院に注ぎ込めば十分に対応できるであろう。これは政治の優先順位の問題である。結局は大阪も東京も、庶民の命よりも政権に近い人々の利権を優先しているだけだ。その証拠に政治家ら「上級国民」はコロナに感染してもちゃっかり入院しているではないか。「上級国民」の病床だけは確保されているのである。

もっと庶民は怒らなければならない。庶民が怒らなければ政治は変わらない。庶民の命よりも「上級国民」の利権を優先する政治は延々と続くのだ。

医師会に言いたい。「医療逼迫」を訴えるのなら、今後は「医師増員」を先頭に立って訴えるべきである。医師会は開業医の競争激化を避けるため「医師増員」に反対してきた。自民党政権は医師会の支援をあてにして「開業医を既得権」を守ってきたのだ。その結果の医師不足・医療崩壊である。しかもコロナ対応に消極的な開業医は少なくない。コロナに協力する医師が絶対的に不足しているのだ。ならば医師を増やすしかないではないか。

さらに言いたい。医師以上に不足しているのは看護師である。なぜ看護師が集まらないのか。それは医師会の支援を受ける自民党政権のもとで「医療の市場化」「看護労働の規制緩和」が急速に進み、非正規の看護師が急増したからである。医療ビジネスが拡大する一方で、看護師の労働環境は悪化したのだ。

大正生まれの私の祖母は戦後、看護現場で長く働いてきた。昭和の日本で看護師は羽振りが良かった。祖母も自由に生きていた。昭和世代の人々にはそうした印象が強いだろう。しかし、平成以降の看護現場は様変わりしている。非正規労働が常態化し、看護師の待遇はかなり劣化した。

一方、「医療の市場化」によってビジネスに成功した病院の利益は膨らんだ。医療・看護業界でも強者が利益を吸い上げ、格差が拡大した。その「勝ち組」には「利益につながらない」コロナ対策に非協力的な者が少なくない。

コロナ禍という国家危機において、私たちはいま、「看護師不足」という形のしっぺ返しを受けている。この反省をもとに看護師の労働環境を改善しなければならない。看護師の雇用環境を不安定にしてきた「医療の市場化」を見直さなければならない。医師会はその先頭に立つべきである。開業医の利益ばかり考えている時ではない。

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