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新聞記者やめます。あと48日!「副作用」と「副反応」の違いをぼかすマスコミ報道の罪】

高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種がようやく始まった。テレビ新聞にはワクチンの報道が増えている。そこで気になるのは「副反応」という言葉だ。

4月13日朝日新聞2面の記事によると、「副反応」が疑われる接種後の症状は2回目の後に出ることが多い。国内で2月から接種を受けた医療従事者のうち約2万人を対象とした報告では、2回目の接種後の38%に37.5度以上の発熱があり、そのうち半数あまりは38度以上の高熱だったという。実際に38度台の熱が1日半続いたという東大教授の「インフルエンザにかかったようだった」というコメントが紹介されている。

ここでいう「副反応」というのは、一般的に使われる「副作用」とどこが違うのか。同じ朝日新聞2面の「いちからわかる!」は以下のように説明している。

ホー先生 「副反応」を心配する声もあるが、「副作用」とは違うんじゃな?

A 薬の場合は副作用、ワクチンでは副反応と呼ばれるよ。発症を防ぐなど、ワクチンに期待される効果は「主反応」というのに対して、ワクチンによって起きる症状を副反応と呼ぶんだ。

これではよくわからない。「副作用」は薬で生じる悪い症状、「副反応」はワクチンで生じる悪い症状ということらしいが、なぜ「薬」と「ワクチン」でそのように呼び分ける必要があるのかを説明していない。しかも「薬の場合は副作用、ワクチンでは副反応と呼ばれるよ」と受け身形で書かれているため、誰がどういう理由で「副作用」と「副反応」を使い分けることにしたのかがわからず、疑問は膨らむ一方だ。「主語」をあいまいにして「責任の所在」をぼかす「良くない記事」の典型である。

他の報道を探してみたら、1月24日読売新聞の「[ニュースQ+]ワクチンの「副反応」、「副作用」と違うの?」という記事をみつけた。そこでは以下のように説明している。

 A ワクチンの接種によって体に免疫反応が起こり、感染症の発生や重症化を防ぐ免疫ができる。接種時に、有害な反応が起きることがあり、これを副反応と呼ぶ。

 Q 副反応は、副作用とはどう違うのか。

 A 薬やワクチンの使用後に起きる、期待されたものと異なる有害な影響という意味では同じだ。治療に使う薬では「副作用」と呼び、ワクチンの場合は「副反応」と分けて呼ばれる。英語では同じ「side effect」という言葉が使われるのが一般的だが、日本では薬害の歴史などもあり、より厳密な使い分けが進んだとみられる。

先程の朝日新聞よりわかりやすい。まず「副作用」も「副反応」も「期待されたものと異なる有害な影響という意味では同じだ」と言い切っている(ただし、ここでも「分けて呼ばれる」と受け身形になっている。日本の新聞の悪い癖だ)。そのうえで目を引くのは、「英語では同じ「side effect」という言葉が使われるのが一般的」という部分である。「薬」と「ワクチン」が引き起こす「有害な影響」について、日本では「副作用」と「副反応」を使い分けているが、英語では同じ言葉を使っているというのだ。

なんだ? これは日本固有の使い分けなのか? 一種のガラパゴス現象なのか?

この疑問について、読売新聞の記事は「日本では薬害の歴史などもあり、より厳密な使い分けが進んだとみられる」とだけ説明している。

日本では薬害の歴史? より厳密な使い分け? なにやら不穏な空気が漂う。ここにこそ、重要な核心が潜んでいるのではないか。

つまり日本では薬が引き起こす「副作用」が大きな社会問題となった歴史があり、「副作用」という言葉にはネガティブな印象が強い。そこで、ワクチン接種による「有害な影響」に対する不安や抵抗感をやわらげるために、日本独自のやり方として、ワクチンについては「副作用」という言葉を使わずに「副反応」という言葉を使うことにしたということなのだろう。

読売新聞を素直に読めば、そう受け取れる。だが、いったい誰の責任でいつから「副作用」を「副反応」に置き換えたのか。これは一種の「印象操作」「世論操作」ではないのか。マスコミがそうした言葉の使い分けを無造作に受け入れて良いのか。読売新聞もそのあたりの核心には踏み込んでいない。

さらにネットサーフィンすると、一般のブログなどでは「使い分け」の裏側を考察するものが散見される。その具体的内容についてここでは深入りしない。ただし、「使い分け」の理由や背景を明確に解説することを怠っているマスコミに、ネット上の諸説を「フェイク」と批判する資格はないだろう。そうしたマスコミの「あいまい報道」が「ワクチンに対する国民の不信感を取り除いて接種を進めたい政府や専門家の意向に沿った報道」との疑念を生み、かえってワクチンに対する不信感に拍車をかけているのではないか。

薬やワクチンが引き起こす「有害な影響」をどう考えるかは、極めて専門的な問題だ。一般の人々が自力で考察するのは難しい。一般のジャーナリストであっても相当な専門知識が必要であろう。だからといって、厚生労働省や専門家の言い分をそのまま垂れ流してはいけない。彼らがつねに「公正な人」である保証はない。いや、多くの場合は「利害関係者」だ。そうした専門家に対抗するために、医療専門記者は存在しているのだ。

医療専門記者の役割は、官僚や医師ら専門家の主張に沿って人々を「啓蒙」することではない。官僚や医師の主張がただしいのか、その背景にどんな事情や思惑があるのかを批判的に見つめ、政策が歪まないように監視するのが責務なのだ。専門家と対等に向き合い、あいまいな部分や矛盾した部分をただすために、専門知識を日々勉強し、国内外の幅広い情報を集めてクロスチェックするのである。そのうえで民主主義や基本的人権といった普遍的価値を重視し、あくまでも一般の人々の立場から報じるのである。それができてこその専門記者だ。

ワクチン報道に溢れる「副反応」という言葉には、当局者たちの意図を感じざるを得ない。その言葉を無造作に使う記事を、私はすんなりと信用する気になれない。

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