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片山さつき、財務省エースを生け贄に!?秋の「財務相争奪戦」

「国家公務員が服務命令に従わない場合には、昇進は認められない」

片山さつき財務相が8月14日のネット番組で放ったこの発言が、波紋を広げている。念頭にあるのは、財務省の「10年に1人の逸材」と評された一松旬・主計局次長の人事だ。

一松氏は主計局次長から東京税関長へ異動した。財務省のエース級官僚が本流から外れる異例の人事である。当初は、消費税減税をめぐって高市早苗首相と対立したことへの「報復人事」と見る向きが強かった。

しかし、別の見方が浮上している。キーパーソンは片山財務相だ。

7月31日に閣議承認された財務省の幹部人事では、宇波主計局長の事務次官昇格など、財務省の本流人事がほぼ原案通りに決まった。これを「高市官邸から財務省中枢を守った片山」と見ることができる。

その一方で、8月7日に発表された人事では、一松氏だけが東京税関長へ。もし片山氏が財務省の本流を守る代わりに、高市首相と対立した一松氏を「生け贄」として差し出したのだとすれば――。

一松氏の左遷は、単なる官僚人事ではない。片山氏自身の「財務相留任」をめぐる政治取引だった可能性も出てくる。

もちろん、これは現時点では仮説にすぎない。だが、片山氏が一松氏について「職務命令に従わない場合は昇進を認められない」と語ったことは、この人事を考えるうえで無視できない。

そして、ここから話は秋の内閣改造へとつながる。

最大の焦点は、財務大臣の椅子である。

麻生太郎氏は、財務省との太いパイプを持つキングメーカーだ。その麻生氏の義弟が鈴木俊一氏。現在は自民党幹事長だが、幹事長交代論が浮上している。

もし鈴木氏が幹事長を退くなら、麻生氏はその処遇として財務相を求めるのではないか。

つまり、鈴木俊一氏の財務相就任は、単なる論功行賞ではない。財務省に対する麻生氏の影響力を取り戻す「財務相奪還」と見ることもできる。

一方、高市首相にとって片山氏は、政権発足時の「積極財政」の象徴だった。片山氏を財務相から外せば、高市政権が掲げてきた積極財政路線にも傷がつく。

そこで浮上するのが「玉突き人事」である。

萩生田光一氏を幹事長へ。鈴木俊一氏を財務相へ。片山氏を官房長官あるいは政調会長へ。木原稔氏、小林鷹之氏らも動かす。

あるいは片山氏を財務相に残し、鈴木氏も幹事長に残す。これなら高市と麻生の妥協になる。

逆に、高市首相が主導権を握れば、片山氏を交代させ、財務相に西村康稔氏ら積極財政派を起用する可能性もある。

ここで重要になるのが小林鷹之氏だ。

総裁選の決選投票で麻生氏に同調して高市支持に回り、その後、政調会長に起用された小林氏は、いまや「ポスト高市」を狙う有力候補でもある。今回の改造では、経産相など重量級ポストへの入閣を目指すのではないか。

さらに、幹事長人事では武田良太氏という「ウルトラC」もある。麻生氏と福岡で長年対立してきた武田氏を幹事長に起用すれば、高市首相が麻生氏から距離を置く明確なシグナルになる。

結局、秋の内閣改造は三つのシナリオに集約できる。

麻生氏の勝利なら、萩生田幹事長、鈴木財務相。

高市・麻生の妥協なら、鈴木幹事長、片山財務相の留任。

そして高市氏の勝利なら、武田幹事長、西村財務相――。

一松旬氏の人事は、その前哨戦なのかもしれない。

誰が一松氏を飛ばしたのか。その答えを追っていくと、見えてくるのは一人の官僚の人事ではない。財務省を誰が握るのか。そして、高市政権の主導権を誰が握るのか。

秋の内閣改造は、高市早苗と麻生太郎による「財務相争奪戦」の決着の場になる可能性がある。