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高市「2年後に戻す」が政権の時限爆弾に 消費税減税、自ら退路を断った首相

高市早苗首相がついに悲願だった消費税減税へ踏み出した。食料品の税率を現在の8%から1%へ引き下げる。

実施は2027年4月からで、しかも2年間限定。低・中所得者には残る1%分を現金給付し、「実質ゼロ%」を実現するという。

衆院選では「食料品の消費税ゼロ」を公約に掲げていた高市首相にとっては苦渋の修正だ。背景には、自民党税制調査会や麻生太郎副総裁ら減税慎重派の強い抵抗があった。

しかし、今回の最大の論点は減税そのものではない。記者会見で高市首相はこう断言した。

「2年後には、私が責任を持って、確実に税率を元に戻してまいります」

この発言は、今後の政権運営を縛る「時限爆弾」になる可能性がある。

消費税を下げることよりも、上げることの方が政治的には何倍も難しい。

日本の政治史を振り返れば、消費税率引き上げは常に政権に大きな打撃を与えてきた。増税は有権者の反発を招き、野党の格好の攻撃材料となる。景気が悪ければなおさらだ。

仮に2029年4月、予定どおり8%へ戻そうとしても、その時の経済情勢は誰にも分からない。景気後退に陥っているかもしれない。円安や物価高がさらに加速しているかもしれない。

そんな状況で増税に踏み切れば、景気は悪化し、世論の不満は高まって政権批判が一気に噴き出すだろう。

つまり高市首相は、自ら将来の「増税」という政治的難題を予約してしまったのである。

もちろん、高市首相にも狙いはある。

第一に、党内の慎重派を説得することだ。「必ず元に戻す」と約束することで、「恒久減税ではない」という安心材料を与え、麻生氏や党税調の理解を得ようとしたのだろう。

第二に、市場へのメッセージでもある。大規模減税は財政悪化や円安を招くとの懸念がある。「2年限定」と明言することで、マーケットを落ち着かせたいという思惑も透けて見える。

言わば、高市首相は難しいボールを2年先へ投げたのである。

しかし、そのボールを受け取るのは本当に高市首相自身なのだろうか。

永田町では早くも二つの見方が流れている。

一つは、「2年後まで政権を維持する」という強い決意表明だという見方である。総裁任期を乗り切り、2029年まで政権を担う覚悟を示したという解釈だ。

もう一つは、もっと冷ややかな見方だ。

「2年後には、もう首相ではないかもしれない」

政治の世界では、2年は決して短くない。来年には統一地方選、自民党総裁選、その後には参院選が控える。途中で党内情勢が変われば、高市首相が退陣している可能性も十分ある。その場合、「2年後に戻す」という約束は次の政権へ引き継がれることになる。

だからこそ、この発言は「責任ある約束」なのか、それとも「未来への先送り」なのかという疑問を生んでいる。

党内でも異論は収まっていない。

税制調査会長の小野寺五典氏は、党税調で慎重論が多数だったことを明らかにした。西田昌司参院議員は「石破前総理の二の舞になる」と警鐘を鳴らし、石破茂前首相も社会保障財源への影響を問題視する。稲田朋美元防衛相も「給付の方が優れている」と疑問を呈した。

さらに麻生派の河野太郎元外相は、円安加速や2年後の物価上昇リスクを指摘するなど、経済政策としても厳しい視線を向ける。

一方、野党との連携にも影を落としている。国民民主党の玉木雄一郎代表は「基本政策の一致が難しい」と述べ、榛葉賀津也幹事長も「本当に2年後に上げられるのか」と疑問を呈した。高市政権が期待した連立協議にもブレーキがかかりかねない。

結局、高市減税には三つの大きな論点がある。

第一は財源をどう確保するのか。

第二は、本当に2年後に税率を戻せるのか。

そして第三は、減税が円安やインフレをさらに加速させないかというマクロ経済上の問題である。

このうち、最も政治的な破壊力を持つのは二番目だろう。

減税は決断できても、増税は決断できない。

高市首相は「責任を持って戻す」と言い切った。しかし、その言葉は同時に、自らの政権を縛る重い約束にもなった。

今回の消費税減税は、高市政権の最大の成果になるのか。それとも、2年後に爆発する時限爆弾になるのか。

本当の勝負は、減税を決めた今ではなく、「戻す日」が近づいた時に始まるのである。