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麻生追撃!高市・吉村崖っぷち 終盤国会で始まる「3分の2最終決戦」

通常国会の会期末が迫るなか、高市早苗首相と日本維新の会の吉村洋文代表が正念場を迎えている。

焦点は、自民・維新連立の象徴ともいえる二つの法案だ。ひとつは維新が悲願とする「副首都構想法案」。もうひとつは連立参加の大義名分となった「衆院定数削減法案」である。

両法案は6月24日、自民・維新共同で国会に提出された。しかし、その成立への道のりは決して平坦ではない。むしろ、法案提出はスタートラインにすぎず、本当の戦いはこれから始まる。

その最大の障害となっているのが、自民党内で圧倒的な影響力を持つ麻生太郎副総裁の存在だ。

高市首相と吉村代表は連立合意によって結ばれている。自民党が衆参両院で過半数を割っていた昨年の首相指名選挙で、維新が高市氏に投票した最大の見返りが、この二つの法案の成立だった。

ところが、自民党内には冷ややかな空気が広がっている。

高市首相が旗を振っても、党内は本気で動こうとしない。その背景には、党内最大の実力者となった麻生氏の存在がある。麻生氏は法案成立に積極的とは言い難く、むしろ成立を阻止しようとしているようにも見える。

その背景には「高市・維新連合」と「麻生・国民民主連合」の根深い対立がある。

6月22日に行われた高市首相と吉村代表の党首会談は、その苦しい現状を象徴していた。

最大のテーマは副首都構想だった。

維新は来年春、大阪都構想の是非を問う3度目の住民投票を目指している。過去2回は否決されたことを踏まえ、今回は住民投票の範囲を「大阪市」から「大阪府全域」に広げることを可能とする規定を、副首都構想法案の附則に盛り込み、高市総理との合意をこぎつけた。ところが自民党はこの仕組みに強く反発し、この付則を一方的に削除する修正案を部会で一方的に了承してしまったのだ。

高市首相は自民党内の反発に押されるかたちで、吉村代表との党首会談の場で、法案から住民投票に関する付則部分を削除する修正を求めた。

本来なら維新にとって受け入れ難い内容だった。しかし吉村代表は最終的に譲歩した。

その代わりに得たのが、高市首相による「大阪都構想を含む副首都構想への評価」である。

吉村氏は会談後、「総理から大阪都構想に賛成の立場を伝えられた」と強調した。

だが、その発言に対して自民党内から即座に反論が飛んだ。

萩生田光一幹事長代行は「高市総理が評価したのは副首都構想であり、大阪都構想ではない」と説明。大阪府議会の自民党関係者も同様の見解を示した。

つまり、高市・吉村会談で見えたのは蜜月関係ではなく、双方が追い込まれた末の苦しい妥協だったともいえる。

高市首相は維新との約束を守らなければ政権基盤が揺らぐ。

一方の吉村代表も、副首都構想の前進という成果を持ち帰らなければ党内求心力を維持できない。

両者とも引き返せない状況に置かれているのである。

そこへ追い打ちをかけているのが国民民主党だ。

玉木雄一郎代表は、高市政権が掲げる「食料品消費税1%」について強い疑問を投げかけている。

国民民主党は景気動向に応じて税率を上下させる案を主張してきたが、高市政権案は景気に関係なく2年後に元へ戻す仕組みだ。

玉木氏は「景気が悪いままでも増税するのか」と批判を強めている。

さらに国民民主党は、副首都構想そのものにも警戒感を強めている。維新が目指す来年春の「統一地方選と都構想の住民投票の同日実施」を禁止する法案を提出することを検討しているのだ。

麻生氏との距離を縮める国民民主党が維新包囲網の一翼を担う構図も見え始めている。

問題は、高市首相と吉村代表が約束した2法案が参議院で可決される見通しが極めて厳しいことだ。

現在、与党は参院で過半数を持たない。

立憲民主党、公明党、国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党など野党各党が反対に回れば否決される可能性が高い。

そうなれば残された道はただ一つ。

憲法59条に基づく衆院3分の2による再可決である。

だが、このシナリオにも大きな壁が立ちはだかる。

そもそも自民党内には再可決そのものに消極的な議員が少なくない。

会期延長を否定する鈴木俊一幹事長(麻生氏の義弟)の姿勢も、その表れとみることができる。

特に定数削減法案はさらに難しい。

比例代表を45議席削減する内容であり、自民党と維新への打撃は比較的小さい一方、野党各党には壊滅的な影響を与える。

当然ながら野党の反発は極めて強い。

参院で否決された場合、衆院で再可決するには自民党内の造反を抑え込まなければならない。

高市首相にそこまでの党内統制力があるのか。ここが最大の焦点となる。

一方、維新内部にも不安要素は多い。

吉村代表は党内外で孤立を深めているとの見方がある。

橋下徹氏や松井一郎氏ら創業世代との温度差も指摘されている。

しかも住民投票の対象が大阪市に限定されれば、大阪都構想は過去二度と同じ土俵で三度目の勝負を迎えることになる。

もし再び否決されれば、吉村氏の政治的責任論が浮上する可能性は否定できない。

つまり、副首都構想法案は単なる地域政策ではない。吉村氏自身の政治生命を懸けた戦いでもあるのだ。

そして吉村氏が住民投票に敗れ、政治的ダメージを受ければ、高市首相も大きく傷つくことは避けられない。

終盤国会の本質は政策論争ではない。

高市首相が麻生氏を抑えて自民党を「衆院再可決」でまとめ、吉村代表との約束を果たせるのか。

吉村代表は連立合意を実現し、来春の都構想の住民投票で勝利できるのか。

それとも麻生副総裁は維新2法案を潰し、高市・吉村ラインを弱体化させて政権運営を完全掌握するのか。

終盤国会は、単なる法案審議を超えた政権内部の主導権争いとして、ますます激しさを増していきそうだ。